昨年秋、オーマイニュース(以下OMN)の元木昌彦編集長(当時)が、「出版情報」2007年9月号で週刊誌業界に檄を飛ばしがてら、OMNについて語っていた模様です。その原稿に一部加筆したものが、先週と今週の2回にわたってOMNのサイト内別冊であるエムプロに掲載されていました。初出から半年以上が経過し、鮮度が落ちている感は否めませんが、現在は社長となっている元木氏のOMNに対する考え方が散見できるなど、なかなか興味深い記事ではあります。
この記事の第1回は、本家韓国OMNの紹介で埋め尽くされていますが、拙ブログでは日本のOMNについて語られている第2回を見ていきます。(引用部分はイタリック体で表示、フォント変更・太字は筆者)
元木氏はOMNが日本で苦戦している理由を文化の違いとしています。分析にしてはあっさりしすぎているような気もしますが、紙面の都合もあるでしょうし、OMNを紹介する主旨で書かれた原稿でもないはずですから、それはそれでいいのではないかと思います。元木氏が北海道新聞に寄稿したときに述べていたように、韓国で成功したものをそのまま日本に持ってきたからといって、同じように成功するわけではありません。
そして、元木氏はその一例として日韓OMNのコメント欄の違いについて述べています。
韓国では、批判的なコメントに対して、さらに反論し、論争に発展していくことも多く、市民記者たちもこの過程を楽しむことができるようだ。
しかし、日本では、コメントを書いてほしくないと思う市民記者が大半である。ここにも日韓の深い溝がある。
韓国OMNのコメント欄でどのような論争が行われているかは別として、日本の市民記者の大半がコメントを望んでいないというのは初めて目にした情報です。
これまで、市民記者から批判的なコメントを嫌う発言はあっても、コメントそのものを望まないという発言を目にした記憶がありません。仮に表に出ない形でそういった要望があったとしても、市民記者の大半というのはずいぶんとオーバーな表現のようにみえます。そもそも平野日出木編集次長(当時)の調べでも、市民記者の9割前後は1ヶ月の間にOMNへのログインすら行っていなかったという結果が出ています。
大半という表現は読者のミスリードを誘うものです。紙面の都合があるにしても、市民記者の大半というのが何名くらいなのか、全体の何割程度なのか、その程度のデータは示した方がいいでしょう。もし、OMNがコメント欄について市民記者に何らかのリサーチを行ったのであれば、是非そのデータを紹介してもらいたいものです。
ちなみに、今回エムプロに掲載された記事には原則として登録者用のコメント欄が設置されないようです。例外もあるようですが、登録者用のコメント欄を設置せず、未登録者用のコメント欄に一本化というのがデフォルトの設定なのでしょう。OMNは、何故市民記者を登録者用のコメント欄から排除したのか黙して語りませんが、これがログが残るコメントを書いてほしくない、あるいは自らも書きたくないと考える一部編集部員およびOMN認定プロの意向を反映したものでないと信じたいところです。
元木氏は、その後オーマイTVについて書いています。北海道新聞へ寄稿した文章でも具体例を上げてその活動を紹介していましたが、今回の記事では元木氏が動画中継にかける意気込みが更に強く伝わってきます。
「Web現代」では、様々な実験をやったが、中でも、私がやりたかったのは、社内に小さなテレビ局を持つことだった。
Web現代の創刊から雌伏8年、OMNの編集長になったことでようやく元木氏の夢が実現したようです。
次に、元木氏はOMNの最大の問題点に触れました。
そんな「オーマイ」最大の問題は、1日30万前後のPVでは、なかなかビジネスモデルが作れないことだ。だが、まだ創刊1周年。バナー広告よりも「Yahoo!」などにコンテンツを提供するビジネスを広げていきたいと考えている。
ビジネスモデルが作れない。このフレーズはつい先日もエムプロの中で見かけて拙ブログで取り上げました。昨年秋から模索し続けているビジネスモデルとやらはいつになったら発見できるのか、たいへん気になりますが、その進捗状況がOMNから明らかにされる事はまずないでしょう。昨年11月の朝日新聞では、OMNのPVは20万/日と紹介されていました。その数字を5割増やしてもビジネスモデルが作れないとは・・・OMNは本当に大丈夫なのかと一瞬考え込んでしまいました。
そんな中、元木氏の構想が明かされました。元木氏はコンテンツ提供を主たる収入源にしたいと考えているようです。
この構想と似たようなものは、OMNがオープンする以前からオヨンホ社長や長束泰孝営業局長(肩書きはいずれも当時)によって明らかにされていました。当初はバナー広告を中心にしつつ、その後コンテンツ販売にも進出していくというスタイルです。
ただ、リンク先の文章を読むと、オ氏や長束氏の構想では、コンテンツビジネスはバナー広告である程度の収益を上げてからと考えていたような印象を受けます。土台をしっかり作ってから攻めに出るつもりだったのでしょう。しかし、今回明らかになった元木氏の構想では、バナー広告の成否について触れていません。ここまで見た限り、OMNはバナー広告のスポンサー確保にたいそう苦労している感がありますから、満を持してコンテンツビジネスに乗り出すようには思えません。
また、Yahoo! JAPAN(以下引用部分を除いてヤフー)への記事配信は確かに始まったものの、小田光康PJニュース編集長が自らのメディアに寄せた記事によれば、ヤフーから支払われる情報提供料は小額で、投稿システム構築費用は自社負担とのことです。PJニュースと同じ条件がOMNに提示されていたとすれば、コンテンツを提供したからといってそれが大幅な収入増には直結しません。また、小田氏の記事には以下のような一文もあります。
(筆者追記:ヤフー側の)担当者は「ヤフーに掲載することで閲覧数が上がり、広告収入を期待できる」と説明する
PJニュースに対しては、コンテンツ提供がビジネスになるといった説明はなかったようです。コンテンツ販売に関して言えば、ヤフーに記事を配信しているという事が他のメディアにいい印象を与える可能性はありますが、当面の目標になると思われるメディアだけでもこんなにたくさんあります。OMNがここに名を連ねるのはいつの日になるのでしょうか?
とはいえ、先月スタートしたエムプロからは加護亜依氏の復帰ネタが飛び出し、OMNとしては爆発的なPVを叩き出しました。私にとっては想定外の出来事でしたが、こうなるとOMNが私の知らないところで広告収入に頼らないビジネスモデルを完成させている可能性もゼロではありません。元木氏の記事が最初に出たのは昨年秋の話。それから半年以上経っていますから、OMNを取り巻く状況もいろいろ変わっていることでしょう。
いい方に変わっている事を祈りたいものです。
→「加護亜依氏の復帰ネタ」
しかも芸能ネタって…いくら実弾つかったんだか
予想外のアクセスをたたき出しましたが、加護ってその後ブログ盗作問題やセレブ生活が暴露されて「たま」が悪かったですねぇ。
reachで見るとすごいピークですが、pvで見ると4倍程ですね。
ま、ビジネスモデルになるのは難しいようで。
最近j-castもアクセス落としてます。
同じような取り組みが増えてますからね。
http://www.the-commons.jp/commons/main/index.php
「こもんず」なんか始められると、OMNは週刊誌にしか生きる道は無いでしょうね。
市民記者に対するホスピタリティの無さがOMNの失敗でしょう。潜在的脚である市民記者を出入りのフリータまがいの「記者」だって高め目線が払拭されてない。と言うか、社風になってしまった。
それをブースターとして加速したのが藤倉や北澤なんですよ。
#だから、私は泥船に戻る気がない。
ナシモトナシモト雨ナシモトの市民メディアってありえないorz
>実弾
もしぶち込んでたらアホじゃないかと思いますね。
試し撃ち程度ならともかく、加護ちゃんにオマニーの全てを賭けるとかありえないっしょ。
バナー広告もない状態でPVだけ稼いでもその先どうなるかは不明なわけで。
>「たま」が悪かったですねぇ
そこいらへんは長い目で見てあげてもいいかなあ。
単に現時点で失敗と断言できないからって理由しかありませんが。
暴露本がバカ売れしないとも限りませんしw
中の人の気分しだいだと解釈しましたが、そもそも
退会したのかさせられたのかがアタシにははっきりしませんので。
お役に立てずスミマセン。
オーマイニュースをご利用いただきありがとうございます。
本日12月25日付で、市民記者規約違反を理由に、記者1名を退会処分といたしました。そのご報告と併せて、オーマイニュースでのコメント記入、SNS(マイページ)のマイメールを通じたメッセージ送信のマナーについて確認させていただきます。
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今回、退会処分した記者のケースでは、1.特定の市民記者への侮辱、2.不愉快な表現を用いた指摘、3.議論とは関係ない誹謗中傷などが、短期間のうちに多数見られました。過去にも同様の迷惑行為を繰り返していたため、悪質と判断し、退会処分といたしました。
http://www.ohmynews.co.jp/information/10047