ずれてるよなあ、力の入れどころ

オーマイニュース(以下OMN)が、サイト内別冊empro(以下エムプロ)をスタートさせてから2ヶ月が過ぎました。自サイトだけではあきたらず、配信先のYahoo!ニュースでも自己主張を始めた事は先日のエントリで触れましたが、その他にも、エムプロ組が一般市民記者のそれより手厚く保護されているとみられるデータをYahoo!(以下ヤフー)に配信された記事から見つけてきました。

まずはこちらの2つの記事から。上部の配信時刻と、下部の最終更新時刻に注目して下さい。

記事1：配信時刻　＝　最終更新時刻

記事2：配信時刻　≠　最終更新時刻

となっている事がわかります。

記事1は最初に配信したままのもの、記事2は配信後に何らかの修正が加えられたものであることを意味します。記事2の場合、理由はどうあれ最初の配信時点では未完成だったと言ってもいいでしょう。そこで、記事1のパターンを完成品・記事2のパターンを仕掛品と称します。

そして、今月に入ってからヤフーに配信された記事【註】を一般市民記者とエムプロ枠に分け、それぞれ完成品・仕掛品の本数を調べてみました。配信記事は当エントリ執筆時点で117本、うち市民記者によるものは80本・エムプロ枠のものは37本でした。

そのうち、市民記者の記事は完成品が82.5％(80本中66本)を占め、逆にエムプロ枠の記事は仕掛品が81.1％(37本中30本)を占めるという正反対の数字が出てきます。

 

 

 

まず最初に目が行くのは、エムプロ組の記事の完成度の低さでしょう。しかし、拙ブログでは、自サイト掲載時のファクトチェック・校正作業すら満足に行えず、しばしば一般の市民記者・読者から事実関係の誤認や誤字脱字を指摘されている編集部が、エムプロ組の記事に限ってはヤフーへの配信後もしっかりと目を配り、適宜修正を行っていると推測される点に注目しました。

OMNに掲載される記事に何らかの誤りがあった場合、その殆どが外部からの指摘を受けるまで修正される事はありません。例えばエムプロ組の渋井哲也記者が執筆したこちらの記事では、文中で佐藤真和東村山市議会議員の苗字を2度にわたって佐野と誤記していますが、指摘がない為、今に至るまで修正が行われていません。

ところが、ヤフーに配信された同じ記事を見ると、掲載から約1時間半後に何かしらの修正を行っている事が、配信時刻と最終更新時刻の違いから明らかです。OMNの記事同様、苗字の誤記はそのまま残っていますから、それ以外のどこかに手を入れている事になります。

言うまでもないことですが、エムプロ組はOMNがプロ認定した人の集団です。そこにいる人達は、コメント欄で大立ち回りを演じてもよほどの事がない限り当該コメントを削除されませんし、市民記者規約や市民記者倫理綱領の縛りを受ける事もありません。公表されてはいないものの、原稿料だって市民記者と同額という事はまずありえないでしょう。

エムプロ組がそれだけの待遇を受けられるのは、市民記者にはなかなか書けないジャンルの記事を提供しているだけではなく、記者・ライター・コラムニストとして素人である一般市民記者の手本となる文章を書けるという理由もあるはずです。ところが、編集部ではヤフーに配信されたエムプロ組の記事にせっせと手を入れています。そこだけ見ていると、編集部が常時人手不足に悩まされているというのが信じられなくなるくらいです。

約10日間という短い期間のデータではありますが、記事のうち8割に手が入っているという事は、編集部が配信後の殆ど全てのエムプロ組の記事に目を通し、その場でファクトチェックあるいは校正作業を行ってあげている事を意味します。

編集部にそんな余裕があるのなら、プロにプロらしい仕事をさせて、その分少しでも市民記者の原稿に目を通す時間を増やすべきでしょう。文章でおまんまを食べているプロが雑な仕事で叩かれるのは、ある意味自業自得です。OMNがいくらエムプロに力を入れているといっても、そのあおりを市民記者が食らうのでは市民メディアの名が泣きます。

一応確認しますが、

OMNは今でも市民メディアですよね？

【註】ヤフー配信後に削除された記事は除く

【訂正】
グラフの差し替えを行いました。monkeyさん、ありがとうございます。(5/16　19:20更新)