沖縄のたたかいと連帯する東京南部の会

辺野古新基地・高江ヘリパット建設反対。東京南部の地で、尊厳をかけて島ぐるみでたたかっている沖縄の人々と連帯していきます。

沖縄県が国交大臣に公開質問状

2015-11-08 10:36:52 | 日記

 11月6日の翁長沖縄県知事の記者会見について琉球新報の記事から抜粋して紹介します。

 石井啓一国土交通相が翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しを取り消すよう求めた是正勧告について、沖縄県は11月6日、拒否する文書を石井国交相宛てに送付した。翁長知事は同日開いた記者会見で「取り消しは適法と考えていて勧告に従うことはできない」と述べた。翁長知事が勧告の次の段階で出される是正指示にも従わない方針を示したことから、石井国交相が今月中にも翁長知事の承認取り消し処分を国が代わりに取り消す代執行を求めて高裁に提訴する公算が大きくなった。
 また、沖縄県は、石井国交相が、審査請求と執行停止を申し立てた沖縄防衛局を「私人」と認める一方で、代執行手続きでは防衛局を「行政機関」と位置付けていることの整合性など5項目を問う公開質問状も国交相宛てに送付し、11月13日までに回答するよう求めている。県が大臣に公開質問状を送るのは異例のこと。
 県弁護団は同日の翁長知事の記者会見の席で、来月にも開かれる代執行訴訟の口頭弁論に翁長知事が出廷し、意見陳述することを検討していると明らかにした。
 公開質問状を送付したことについて、翁長知事は「沖縄防衛局長のみならず国交相までもが自らの都合に応じて立場を使い分けている。さらに警視庁の機動隊員を大量投入するなど、なりふり構わず移設を強行しようとしている。政府は通り一遍の言葉ではなく、国民、県民に対し明確に説明責任を果たすべきだ」と述べた。
 沖縄防衛局が設置した環境監視等委員会の一部委員が辺野古移設工事の受注業者から寄付などを受けていた問題に関し、翁長知事は「県の質問に対する防衛局の回答は既存の議事要旨などを基に指導助言機能は適切に果たされていると主張するのみだ。国民、県民の疑念は払拭(ふっしょく)されるどころかますます深まっていく」と指摘し、十分な内容の報告をするよう再度求めていく姿勢を示した。

知事冒頭発言全文
 国土交通大臣が行った辺野古新基地建設に係る公有水面埋立承認取消処分を取り消せとの勧告などについて報告する。
 1点目に是正の勧告の拒否について。本日、去る10月28日付けで国土交通大臣が地方自治法第245条の8第1項の規定により行った「辺野古新基地建設に係る公有水面埋立承認取消処分を取り消せ」との勧告について、勧告には従わない旨の文書を同大臣宛て発送した。
 県は、本年7月の第三者委員会の検討結果を受けてこれを精査した結果、承認には取り消し得べき瑕疵(かし)があるものと認め、取り消しを行った。従って、本件取り消しは適法と考えており、勧告に従うことはできない。
 2点目に公開質問状について。承認取り消しに対する審査請求、審査請求手続における執行停止決定および代執行手続きへの移行といった一連の政府の対応において、沖縄防衛局長のみならず、国土交通大臣までが、自らの都合に応じて立場を使い分け、さらに警視庁の機動隊員を大量投入するなど、まさしくなりふり構わず移設を強行しようとしている。
 政府は、これらの対応について、通り一遍の言葉ではなく、国民、県民に対して明確に説明責任を果たすべきであると考える。そこで県では、本日、国土交通大臣に対して、この点についての公開質問を行うこととし、公開質問状を送付したので、報告する。
 3点目に環境監視等委員会の寄付等について。昨日、本県から沖縄防衛局長に照会した環境監視等委員会への寄付および報酬に対する回答があった。既存の議事要旨などを基に委員会の指導助言機能は適切に果たされていると主張するのみで、委員就任後に寄付金が大幅に増額された委員がいるにもかかわらず、議事録の公表もない。
 国民、県民の疑念は払拭(ふっしょく)されるどころか、ますます深まっていくのではないか。あらためて、十分な内容の調査結果の報告や、議事録の公開などを強く求めていく。今後も、辺野古に新基地は造らせないという公約の実現に向け、全力で取り組む考えだ。

公開質問状の全文
〈審査請求に関し〉
 質問1 辺野古沿岸部の埋め立て事業は、日本政府が日米両政府間合意の履行として、閣議決定に基づき実施されている「国家の事業」であることは明らかだと考えるがいかが。
 質問2 上記埋め立て事業が「国家の事業」であるとすると、沖縄防衛局の埋め立て申請は必然的に「国」(固有の資格)としての埋め立て申請と解されるのが自然であるかと考える。何ゆえに、同申請が「私人」としての申請と解されることになるのか。
 質問3 公有水面埋立法が、埋め立て申請につき、「私人」の申請と「国」の申請を区別していないということであれば、同法で、「国以外の者」の申請と「国」の申請を区別して定めている理由をどのように考えればよいか。貴職の見解を明らかにしてほしい。
 質問4 平成11年の地方分権一括法により、地方自治法の中に国が地方自治体の判断に介入する「関与の制度」(第11章 国と地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係)が新設されている。国と地方公共団体との紛争は、同手続きを利用して解決されるべきであるというのが同制度の趣旨と思われるが、貴職は何ゆえに同制度の利用にとどめず、あえて行政不服審査法に基づく審査請求制度を利用して、行政内部で「執行停止」の決定をしたのか、その意図を明らかにしてほしい。
〈関与の制度に関し〉
 質問5 地方自治法245条の8第1項は、国による代執行等の手続きについて、「本項から第8項までに規定する措置以外の方法によってその是正を図ることが困難」な場合に限って勧告、指示を行うことができ、同指示に知事が従わないときに高等裁判所に訴えを提起できると規定されている。
 今回、国土交通大臣は勧告書において「貴職が行った取り消し処分について、法その他の法令には他の機関がこれを取り消す規定はなく」と述べ、代執行等の手続きによらなければ「その是正を図ることが困難」であるとしている。
 その一方、勧告に先立ち、国土交通大臣は沖縄防衛局の行った審査請求を適法な申請と認めて執行停止決定を行っている。この決定は、国土交通大臣が、自らには本件審査請求における裁決によって沖縄県知事の行った埋め立て承認取り消し処分を取り消す権限を有すると判断したことを意味するものと考える。
 すなわち、国土交通大臣は、当該埋め立て承認取り消しに関して、一方では審査請求での解決が可能と考えており、他方では、代執行等の手続きによらなければその解決を図ることが困難として、勧告を行っていることになる。
 何ゆえに、このような矛盾した判断がなされているのか、分かりやすいご説明をいただきたい。