「リリオーさん、ほんまに女の子のこと悪口言ってないの?お客様のことも?そんな、聖人君子で新地のママが勤まらないし」
まあ、そうね、40年近く新地にいてエエカッコばかりで過ごせないよね。でも、まだまし、まともな方だったのではと首を振り。
たとえば、まだ、携帯が普及されていなかったとき(自動車電話あり、携帯はその自動車電話を外した大きな重たいのはあったかもの時)
お客様は女の子の住まいに電話を掛けていた。
「もしもし」とお客様は言ったとき、「モシモシ」と男の声が聞こえてきた。女の子の部屋に電話をして男が出てきたら、その子の男・・・当たり前だろう。
でも、「あ・ちょっと待って下さい」と女の子に変わった。
「あ・あ・今日、法事があって親戚が来ているから、あれ、弟なの」と言った。
「そうか、弟か、法事なら忙しいから、食事はだめやな」
「良いのよ、行くわ」
「そうか、じゃ、同伴しよう」でチャンチャンとなった。
「ママ、ビックリするわ、主人が電話に出て、出ないのが常識で出たことないのに、主人も丁度、掛かってくる時間だったみたいだったから、失敗したわ、上手いことごまかしたけど」
と、あとで女の子はリリオーに言った。
お水の世界は前にも書いているが、同業者同士の夫婦が多い。マネージャーとチーママ、チーフと女の子、店長とママという風に。
だから、その客も女の子の男やと気が付くのが普通、でも、人の良い方であった。
リリオーもなんぼでも、そのお客様に言えた。あれは籍の入った主人じゃないの、アホ!と。
でも、リリオーは「あ・法事と言っていたわね」と答えた。
そのお客様は店の一番クラスの上客で、女の子は店の客を寝取って、いや、寝取られて、リリオーは腹が立っていたのに、どうして言わなかったんだろうね・・・・
そんなことを今日、掛かってきた元客様に電話で話したら、笑って、「俺は大丈夫だったかな?昔の事だから、もう、どうでもええけれど」
「あなたの付き合っていた、あの子はまじめなエエ子やったじゃないですか、店をやめてから見合いして結婚して、エエ子でしたよ」
「そうやな、そうやな」
それでええんじゃないですか。夢を売るお水の世界ですから。
お客様みなさまに満足して頂くよう、それがお水の世界ですから。口の堅いのがお水の世界ですから・・・崩れつつありますが。
お電話頂き、面白かったです。有り難うございます。
「今日のことブログに書いて良いの?」
「別に良いんじゃないの、みんなあることだから、ただし名前、イニシャルはやめて」
「解りました」
それでこんなブログになりました。