携帯向け漫画配信拡大、出版大手、若者読者取り込み――昨年度、電子書籍市場3倍に

2007年05月28日 | e-book関連
若い女性中心に拡大
 電子書籍は高速大容量通信ができる携帯電話やパケット通信料の定額制普及で市場が急拡大している。インプレスR&Dの調べによると二〇〇六年度の市場規模は前年比三倍の二百七十億円に達したもよう。市場拡大をけん引しているのは携帯向けの電子コミック。利用者は若い女性が多く、移動中や就寝前などに読んでいる。
 一方、出版科学研究所(東京・新宿)によると紙の漫画の市場規模はヒット作の有無で増減を繰り返しており、大きな成長は見られない。新作漫画を掲載する漫画雑誌の販売額は十一年連続で減少し、二〇〇六年は前年比約六%減の二千二百七十七億円となった。
 電子書籍は(1)紙と比べ大量の作品を低コストで保管でき、長期的な収益が見込める(2)電子書籍で配信し人気だった作品だけを出版すれば、出版社は低リスクで新作を発掘できる(3)海外向けの配信も簡単――などの利点がある。ただ、まだ人気ジャンルや利用者は限られている。