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日暮しトンボは日々MUSOUする

私の母の名はヘンタイです。 

私の母は6年前にこの世を去りました。 入院中の病室で医師の死亡確認を得て、葬儀屋の搬送車を待つ間、霊安室で母と共に医師の死亡診断書が発行されるのを待つわけだが、その死亡診断書の作成がかなり手間取った。 夕方4時くらいから、外が暗くなるまで殺風景な白い部屋で母の亡骸と二人きり。 その間に、後から運ばれた二組のご遺体さんが先に運ばれて行った。 なんでウチだけこんなに待たされるのだろう…  看護師さん曰く、私の母の名前に問題があるのだと言う。 母の出生記録に記されている名前は、現代のパソコンのフォントでは用意されていないのだそうだ。 私の母は昭和7年生まれの東京の浅草生まれ。 古い時代の戸籍、とりわけ戦前の戸籍は手書きで書かれている上にかなりのくずし字で書かれていることがある。 手書きの崩し文字のことを「変体仮名」と言う。 
これが母の名前だ。 なんて読むかわかりますか?

「てい子」と読みます。 もちろん今の戸籍にはひらがなで「てい子」となっているが、やはり公文書なので、本籍に記されている名前が一致しないと死亡診断書が書けません。
この変体仮名は元になる漢字が何文字もあります。 また、元になる漢字が同じでも文字の崩し方は様々であり、役所ごとに当時の役所の担当者の書く文字にクセがあるので、様々なパターンが確認されているそうです。 
これは主に多く使われている文字の一覧です。
 
最近ではパソコンで打てるように、変体仮名のフォントがあるそうで、あの時このプログラムを探して、インストールするのに色々と手間取ったと思われます。 
父の戸籍には、ちやんと現代平仮名の「てい子」になってました。 結婚届を出した時にそう書いたのでしょう。 母本人も自分の出生記録を今まで確認したことがなかったので知らなかったと言うことか。 
ちなみに戸籍に登場する変体仮名は、おもに女性の名前が多いそうです。 戦前か戦後間近の生まれの方は一度確認してみると良いですよ。 本人が申し出れば修正できますから。 霊安室で何時間も待たされるのは結構キツイです。 涙がボロボロ出ます。

見出しの画像は、私が母の誕生日にあげた首振り人形です。 頭がおかしくなってからこの舞妓ちゃん人形の前に座って、まるで子供のようにニコニコしながら首を振るのをずっと眺めてました。


今思うと、その時の大学病院は県下に名高い北里大学病院です。 いくら巨大な病院とはいえ、待ってる間に2体の仏様を見送るなんて…   そんなに多いの?  と思ってしまった。



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