麒麟の翼 ～劇場版・新参者～

東野圭吾原作の刑事・加賀恭一郎シリーズの映画『麒麟の翼』を観て来た。
原作は2011年3月に発表され、作者本人がシリーズ最高傑作という作品だ。
加賀恭一郎シリーズは前作『新参者』がTVドラマ化されており、このシリーズが好きだった。
刑事ものだが、事件の謎解きだけでなく、毎回下町に生きる人々の人物描写や心情を明らかにすることに重きを置いていた。
それになんといっても加賀恭一郎を演じる阿部寛がクールでかっこよかった。
その後、東野圭吾のシリーズ最新作『麒麟の翼』を読み、とても良かったので映画化を期待していたのだ。
そして映画化された本作には「～劇場版・新参者～」のサブタイトルがつき、TVシリーズのキャスト陣が再び集結していた。

主人公の日本橋署刑事・加賀恭一郎役に阿部寛、被害者・青柳武明役に中井貴一、容疑者の恋人・中原香織役に新垣結衣、加賀とコンビを組む警視庁の刑事・松宮修平役を溝端淳平が演じている。
その他、山崎努、田中麗奈、松坂桃李、黒木メイサ、劇団ひとりなど豪華な役者陣が脇を固めている。
監督は『涙そうそう』、『ハナミズキ』を手がけた土井裕泰。

そのあらすじを紹介すると・・・。
東京・日本橋の麒麟の像の前でナイフで刺された中年男性・青柳武明が息途絶える。
容疑者として浮かんだ青年・八島冬樹は、現場から逃亡した直後にトラックにひかれ意識不明となってしまう。
事件の捜査に所轄の刑事・加賀恭一郎と警視庁の刑事・松宮修平が乗り出すが、八島の恋人の中原香織は無実の罪を訴える。
やがて被害者・青柳が会社や自宅から離れた日本橋で度々目撃されていたことが判明する。
果たして被害者は日本橋で何をしていて、命果てる時に翼のある麒麟の像の前で何をしようとしていたのか？
そして犯人は容疑者の八島なのか・・・？

うーん、やっぱりいいね、『麒麟の翼』。
内容的にはほぼ原作に忠実に展開してました。
すべてが明らかになるクライマックスでは、原作を読んでいるにも関わらず泣けてしまいました。
捜査が進むにつれて家族や恋人の知らない被害者や容疑者の一面が明らかにされていく。
その時、家族や恋人は何を感じるのか？

原作も良かったけど、劇場版もなかなか良かったです。
自分が読んだ原作のイメージに息が吹き込まれたって感じ。
読者のイメージとしてはもはや完全にシンクロしている加賀恭一郎＝阿部寛はクールで魅力的だった。
やっぱりハマリ役だな。
時にコミカルな溝端淳平とのやりとりもいい。
そのクールな加賀がとても感情的になるシーンがあった。
加賀シリーズのファンの方なら同じく感じられたかもしれないが、これは加賀が中学教師の経験があること、そこで挫折を味わっていたからこそだろう。
興味のある方はシリーズの『悪意』を読んでみて下さい。

そして期待通りの演技をしているキャストの中で特に光ってたのが新垣結衣と田中麗奈だ。
新垣結衣ってこんなにいい役者だったとは知りませんでした。
結構、存在感のある演技をしてますね。
あと田中麗奈ですが、大人の演技が良かったです。
これまた、いままでのイメージと違ってました。
今後の彼女達の活躍にも注目したい。
また、被害者の息子を演じていた松坂桃李の演技も良かった。

あと溝端淳平くん、最後にアクションでいいとこ見せてくれました。
きっとファンにはたまらないシーンでしょうね。

さて、この映画を観て、日本橋散策や七福神巡りをしてみたくなったりしませんか？
実は自分も原作を読んだ後、そう思いゴールデンウィークに舞台となった日本橋を歩いてきました。
その時の様子もブログに書いてますので、興味のある方は東野圭吾 『麒麟の翼』と日本橋七福神巡りをご覧下さい。

さて、加賀シリーズ、次作は日本橋のどのあたりにスポットをあてるのだろうか？
今から次作のリリースが楽しみだ。


映画『麒麟の翼 ～劇場版・新参者～ 』公式サイト


東野圭吾 『麒麟の翼』と日本橋七福神巡り


映画『麒麟の翼』～劇場版・新参者～　予告編