環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

家電リサイクル法の不適正処理とコンプライアンス

2007-07-31 06:49:20 | リデュース・リユース・リサイクル
2007年7月31日 
 大手家電量販店から、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に基づき引き取った廃家電の一部が製造業者等に引き渡されていない旨の連絡が行政当局へ連絡があったことから、環境省関東地方環境事務所及び経済産業省関東経済産業局が家電リサイクル法第53条に基づき同社配工センターに立入検査を実施。報告どおり引き取った廃家電の一部が製造業者等に引き渡されていないことが判明するという案件が発生しました。
 結果として、環境省及び経済産業省は、家電リサイクル法第10条に基づく小売業者の引渡義務違反に該当することから、平成19年7月30日付で同社に対し厳重注意を行うとともに、今後1年間、廃家電の引取・引渡状況等について報告を求める指導を実施した、と発表しました。以下、家電リサイクル法の罰則規定を振り返りつつ、今回の指導についてみていきます。

家電リサイクル法では、以下の罰則規定が置かれています。
1.50万円以下の罰金
□小売業者が公表する特定家庭用機器廃棄物の収集運搬料金に対し、主務大臣が変更勧告を行い、その小売業者が正当な理由なくその勧告に従わない場合に、主務大臣が勧告に従うよう行う命令に違反した場合(第58条、第14条第2項)
□正当な理由なく、引取り又は引渡しをしない小売業者に対してなされる主務大臣の勧告に対し、その小売業者が正当な理由なくその勧告に従わない場合に、主務大臣が勧告に従うよう行う命令に違反した場合(第58条、第16条第2項)
□製造業者が公表する特定家庭用機器廃棄物の再商品化料金に対し、主務大臣が変更勧告を行い、その製造業者が正当な理由なくその勧告に従わない場合に、主務大臣が勧告に従うよう行う命令に違反した場合(第58条、第21条第2項)
□正当な理由なく、引取り又は再商品化をしない製造業者に対してなされる主務大臣の勧告に対し、その製造業者が正当な理由なくその勧告に従わない場合に、主務大臣が勧告に従うよう行う命令に違反した場合(第58条、第28条第2項)

2.30万円以下の罰金
指定法人の役員又は職員が、①許可を受けないで再商品化等業務の全部を廃止したとき、②規定による帳簿の記載をせず、虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき、③規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき、④規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき(第59条)

3.20万円以下の罰金
□規定による帳簿の記載をせず、虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかった製造業者等(第60条、第51条)
□小売業者又は製造業者等に対してなされる、特定家庭用機器廃棄物の収集若しくは運搬又は再商品化等の実施の状況に関する報告をせず、又は虚偽の報告をした者(第60条、第52条)
□主務大臣が行う小売業者又は製造業者等の事務所、工場、事業場又は倉庫に立ち入り、帳簿、書類その他の物件の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者(第60条、第53条第1項)

4.両罰規定
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、上記1.及び3.の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、上記1.及び3.の刑を科する。

5.10万円以下の科料
特定家庭用機器を販売する時までにする当該特定家庭用機器の製造等をした者としての表示をせず、又は虚偽の表示をした製造業者等

 今回の案件では、『小売業者には、家電リサイクル法第10条の規定に基づき、引き取った廃家電を製造業者等に引き渡す義務が課せられており、本件は、当該引渡義務違反に該当』する、とされています。
これを上記罰則規定に照らすと、1.に掲げた『正当な理由なく、引取り又は引渡しをしない小売業者に対してなされる主務大臣の勧告に対し、その小売業者が正当な理由なくその勧告に従わない場合に、主務大臣が勧告に従うよう行う命令に違反した場合(第58条、第16条第2項)』が適用されることになります。
しかし、環境省及び経済産業省は、当該小売業者が『社内監査により不適正処理が判明した後、当局に相談の上、他の配工センターで同様の不適正処理がないかを調査し、迅速に再発防止策を講じた等の対応を行ったことを勘案し、平成19年7月30日付で同法第10条に基づく引渡義務違反をしたことについて厳重に注意するとともに、このような事態の再発防止策の徹底し、今後1年間、廃家電の引取・引渡状況等について環境省、経済産業省へ報告するよう求め』た、としています。
 つまり、家電リサイクル法上、正当な理由なく、引取り又は引渡しをしない小売業者に対する直罰規定はなく、勧告を経て罰則が適用されることから、今回の措置に至ったといえます。そのなかで、今後1年間、廃家電の引取・引渡状況等について報告するという指導は相応のものであると思います。
 また、『社内監査により不適正処理が判明した後、当局に相談の上、他の配工センターで同様の不適正処理がないかを調査し、迅速に再発防止策を講じた等の対応を行ったこと』が勘案されたように、コンプライアンスの重要性を考えさせられる案件であったといえます。

【官報ウオッチング】
〔省令〕
特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則(経済産業省・環境省令第8号)
民間事業者等が行う保存等(保存、作成、縦覧等又は交付等)の行為について、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成16年法律第149号)第3条第1項、第4条第1項、第5条第1項及び第6条第1項並びに民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行令(平成17年政令第8号)第2条第1項の規定に基づき、電磁的方法により行うことができるようにする。また、電磁的方法による保存をする場合については、民間事業者等が確保するよう努めなければならない基準を告示にて定める。
施行日:平成19年10月1日

特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律施行規則(経済産業省・環境省令第8号/平成13年経済産業省・環境省令第13号の一部改正)
電磁的方法による保存(第10条お呼び第22条)を削除する。
施行日:平成19年10月1日

【行政情報ウオッチング】
環境省
「平成19年度 地域における容器包装廃棄物3R推進モデル事業」の募集結果について
「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令」について
西表国立公園の海中公園地区において捕獲等が規制される動植物の指定等に対する意見の募集(パブリックコメント)について
平成19年度環境技術開発等推進費による新規採択課題の決定について
「環境ビジネスウィメンと環境副大臣との懇談」の開催について
新たな救済策のための実態調査の実施について
家電リサイクル法対象機器の不適正処理に係る厳重注意について

経済産業省
夏の省エネルギーキャンペーンについて
家電リサイクル法対象機器の不適正処理に係る厳重注意について

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「7月23日から7月29日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.7.28
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