環境法令ウオッチング

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『世界最高水準の省資源社会の実現へ向けて』を読む ⑥その他の新たな検討の方向性

2007-11-19 05:49:51 | リデュース・リユース・リサイクル
2007年11月19日  
 『世界最高水準の省資源社会の実現へ向けて』を読む最終回は、その他の新たな検討の方向性、についてです。

1. 素材産業等の副産物対策
(1)課題
製造段階で発生する副産物のうち、素材産業等で生ずる副産物(スラグ・スラッジ、石炭灰)については、部品や最終製品といった製品サプライチェーンとは異なるライフサイクルでリデュースやリサイクルが進められています。本報告書では、リデュース対策、リサイクル対策に分けて下記の通り提示されています。
①リデュース対策
リデュース対策に関しては、特に鉄鋼業や非鉄金属業といった金属資源を取り扱う業種においては、副産物(スラグ)の発生量が原料鉱石の組成に依存する特性を有しています。このため、近年の国際的な需要増大に伴う原材料の品位低下等により、技術的にも副産物の発生抑制が困難化しつつあるといえます。
②リサイクル対策
リサイクル対策に関しては、素材産業等で発生する主要な副産物であるスラグ・スラッジ、石炭灰は、これまで、建設・土木用資材等の用途で再利用を進めてきていますが、主な利用先であるセメント等の需要減少により、将来における有効利用の確保に懸念が生じており、新たな用途の開発・拡大が課題となっています。

(2)新たな方向性
素材産業等において発生する副産物のうち、建設・土木用資材を中心に技術的に利用可能な用途先が既に存在する副産物について、本報告書では『政府のグリーン調達等との連携にも留意しつつ、JISや団体規格を活用するといった製品に加工する際の品質規格の策定等の事業者の取組を通じて、製品としての利用を一層促進することが必要である。また、素材産業等の副産物の主な利用先であるセメント等の需要が縮小する中で、これらの副産物の新規用途の拡大を図るため、技術開発や開発された用途での使用段階における環境への影響についての評価等の取組を促進することが必要である。』としています。

2. 地球温暖化対策等との関係
(1)課題
3R対策の実施に当たっては、これまでも地球温暖化や化学物質対策といった他の環境負荷低減対策への配慮が求められてきており、循環型社会形成推進基本法においてもその旨の規定がなされています。一方、紙製造業における古紙のリサイクルにおいて、古紙利用率の増加によって全体のエネルギー効率は向上するものの、現行の気候変動枠組条約の運用解釈においては、事業者単位では新規の原材料由来のバイオマス燃料(黒液)の利用が減少することで二酸化炭素排出量が増加したものとして取り扱われるといった指摘があることも事実です。こうしたことから本報告書では『電気・電子製品の長期使用(中古利用を含む。)と省エネルギー性能の優れた最新機器への買い換えとのトレードオフをどのように解決するかといった指摘もあり、より一層の一体的な取組の推進が課題となってきている。』としています。

(2)新たな方向性
 3Rの取組を実施するに当たり、二酸化炭素排出量の増加の可能性がある場合には、例えばライフサイクルアセスメント等の評価手法を活用するなど、取組の内容やリサイクル率の水準等に応じた環境負荷の定量的な比較を行い、両者間のバランスを勘案することが必要。
また、特定の化学物質の使用制限を行うことによって使用済製品のリユース・リサイクルが容易になる場合もあるものの、代替する資源が限定される場合には、資源の有効利用の観点から支障を生じることも考えられる。このため、化学物質対策の実施に当たっては、リスク評価を行った上で科学的知見に基づきその必要性の判断を行うことが必要。

3. 資源循環に関連する制度との関係
(1)課題
本報告書では『循環型社会形成推進基本法における3Rの基本原則に沿った取組を進める上で、生活環境の保全の観点等から整備されてきた廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)や他の政策目的から構築された制度のうち資源循環と関連するものに関して、これらの両立を図ることによって、より効果的・効率的に循環型社会の構築を進めるべき』と指摘しています。

(2)新たな方法性
廃棄物処理法については、循環型社会を構築するための法体系の中でも位置付けられており、制度の目的である生活環境の保全等が確保されることを前提として、リユース・リサイクルの一層の促進を図ることも求められてきている。例えば、既存の動脈産業における生産技術や施設、ネットワーク等を活用することによって、リサイクル等が効果的に推進されるとの指摘を踏まえ、再生利用認定制度の対象範囲を拡大するといった取組が行われている。こうした事例のように循環型社会を構築していく上で適切と考えられる場合には、関連制度の目的や趣旨に反しない範囲において、引き続き制度や運用に関して積極的に検討されることが期待される。

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【判例情報ウオッチング】
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