[御領遺跡(第6次調査)]
―遺跡見学会―
現地説明会:平成25<2013>年6月29日(土)
13;30~14:10
主催:公益財団法人 広島県教育事業団
福山市教育委員会
解説員:辻 満久氏(調査主任)
[現地説明会概要]
今回の調査は、国道313号道路改良事業に伴う調査で、
平成20年から実施し、今年度で6年目の調査になり、
前年度までの調査は、御領遺跡の西側と東側で行いました。
今年度の調査は、御領遺跡の東端に当たる場所の調査を行っています。
この後、本年度の調査は、第7次調査区を予定しています。
第6次調査は、調査区のほぼ真ん中にあるSD1の溝に遺物が集積した状況を確認しましたが、それ以外の遺構は、土取跡が多くの部分を占めて、
明確な遺構の検出とはならず遺跡の性格を把握するまでには至っていません。
しかし、このSD1の溝は、西側へ続きそこらか90度南へ曲がっていることを確認しています。
直線部分は、20mあり、そこから南へ90度曲がり、コーナまでは35mあります。
環濠遺跡の早い時期のものは、丸形の環濠から時代が経つと角形の環濠へと移ります。
この溝は環濠集落にある環濠と考えられて、西日本で多く見られる環濠と考えています。
遺構面の上部は、土取により削平されて明確な事は不明ですが、
現状で見た状況は、U字の底部と見えます。
しかし、上部が削平された状況を考えた場合、環濠の底部の残り状態を考慮すれば、西日本に多いV字遺構と考えられ、二本の溝を構築したと見る事も可能です。
このSD1の溝の状況を上面の削平前を考えると、高さが約2mとして、
幅が約4~5mとなり溝の深さが約2~3mと考える事が出来ます。
現状の溝の深さが浅く、環濠とは考えにくいかもしれませんが、
土取り面を考慮するとその様な環濠を考えています。
またこの近辺では、環濠集落の遺跡が少なく(亀山遺跡、大宮遺跡)、
しかも時代的には、弥生中期後半から弥生後期前半の遺跡で、
環濠内に建物跡が無く、貯蔵穴が認められ人が住んでいる状況が良く掴めない。
しかし、溝の中の土器の量が半端な量では無く、
異常に多いのがこの遺跡の特徴と言えます。
調査区内に木の一部が出土していますが、これは新しい時代の暗渠
(大正、昭和頃の水抜き跡)と考えています。
[出土遺物について]
今回出土した遺物はテント内に展示しています。
特徴的な土器として、尖底に穴の開いている土器は、広島では出土例が少なく、この遺跡では、ある一定数出土しています。
この様な土器が纏って出土しているのは、ここだけです。
この様な土器は用途が決まっています。
石器については、石斧が出土していますが、この石斧もかなり使い込まれていて、使用痕が残っていて、両方の刃がかなり摩耗し、
刃の状況がかなり「なまけ」てい状態となっています。
石切としては標準的な加工をしています。
[土層の状況]
浅い部分には、粘土層が堆積し、それより深い部分には、
グライド層(粘性の無い土)となっていて、
この層に当ると土取りを止めています。
土取りは、「瓦」を造るために行っていました。
(概略は以上です。資料は、現地説明会資料を参照しました)
(文責 椿庵遍照)
(遺跡調査場所)
(遺跡調査範囲)
(遺跡調査区)
(現地説明会 風景 南より)
(解説風景)
(調査区 SD1より北側)
(SD1 西から東を望む)
(SD1 東より西を望む)
(SD1 検出状況)
(出土 土器)
(出土 土器)
(出土 土器)
(出土 土器)
(出土 石器)
(出土 土器)
(出土 遺物)
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