一般にあまり知られていませんが、RZが登場する前(1978年)にスズキからRG250Eという2ストロークライトウエイトの250をデビューさせていました。これはバランスのとれたバイクで2ストの軽さとパワーを生かした一皮むけたバイクで通の間でちょっとマークされていました(車重126kgで30PS)。
しかしよく出来てはいましたが空冷エンジンで、煙もそれなりでした。
そして変革の火種となったRZ250がデビューします。乾燥重量139kg、トルク3.0kg/mの水冷2ストロークエンジン。兄貴分は350ccでトルク3.8kg/mですから4スト換算だと車重の軽さからトルクウエイトレシオはそれぞれ400ccと600ccぐらいに相当しました。
RZ250(RZ350)
エンジン出力 :35ps/8500rpm(45ps/8500rpm)
エンジントルク:3.0kg・m/8000rpm(3.8kg・m/8000rpm)
乾燥重量139kg(143kg)
初めての自前2ストで、お店から出る時にさっぱり吹け上がらず、回転上げたらケツが流れてあせった記憶が有ります。新車にはタイヤワックスが塗ってありなおのこと滑ります。実際、店のおっちゃんがこの事実を言ったのに翌週、お客さんが店の前でタコ踊り転倒したそうな。(多分全国で結構有ったと思う)
とにかく印象的だったのはパワーではなく、①軽い、②低速トルクが無い、③面白い であります。
③の面白い理由は、とにかくまともにうまく走らせられないので、パワーバンドというものを初めてしっかり意識させられました。ブレーキもシャーシも貧弱なので今時のバイクの突っ込みとは程遠いブレーキングで車速を落とし、パワーバンドを外さないシフトダウンで飛び込んで、いかに早く長くアクセルを開けてリアに荷重を掛け続けるか、が面白かったのです。
峠ではとにかく脱出命なので、あまり危険ではなくスローインファーストアウトの見本のような走りで楽しめました。また、今のSSとは違いちょっと前傾のパイプハンドルですから、モタード的な感じで狭い峠は得意でした。RZで学んだことは、「面白い」という中身が、「あらゆるコントロールをライダーが行う」という原始的な乗り物の面白さでした。水冷で安定したとはいえ、冬はラジエターを段ボールで半分塞ぎ、水温を上げ、雨ではアクセルを間合いを取って開けないと「ぐももっ」と吹けてくれないところとか、それらのパラメータを頭に入れて乗りこなすという醍醐味が有りました。その分人馬一体感が有ったんでしょうね。
会社の諸事情から、転勤となりRZ250はわずか14カ月程で手放すことになり、これまたわけ有りのRG250Γを再生し、3カ月だけオーナーになりました。その話は次回に