中国不滞在記 in 神戸

行って見て聞いて考えた中国のこと

安陽(続き)

2012年10月05日 | 旅行
 溝だけトイレから出て再びバスに。
どうやらこのバスは安陽に行くまでにあちこちより道をしているようだ。
時々舗装のないでこぼこ道に入って村に行ったりする。
と思うと、急に片側3車線の立派な道路に戻ったりする。
村では収穫したトウモロコシのばらの実を道路上に干している。
早く乾かすためだろうか。片側二車線ある道路が一車線分、
黄色に染まって通行しにくいが、どの車も慎重にトウモロコシを踏まないように
スピードを落としている。農民にとって大切な作業だということを
みんな知っているからだろう。
結局安陽についたのは出発して5時間も経った午後2時前だった。

 ホテルは安彩ホテルという中国スタンダードで4つ星、380元(5000円)朝食付きツイン。
国慶節の連休で海外旅行でいつも利用するネットのエクスペディアやアゴダで予約可能なホテルがなく、
チャイナクラブという中国のホテルサイト(日本語)から予約したが、
これがなかなか質が高くて必要にして十分、ネットも高速で無料だ。
国際的にも4つ星で通用するレベルである。

昼食の後、さっそくタクシーでお目当ての殷墟に出かける。
殷墟は貝塚茂樹(湯川秀樹の兄)の著書「殷帝国」を高校時代に読んで以来、
来たかったところ。おぞましい祭祀のさまにぞっとしながら引き込まれたものだ。
今もその時のことを覚えているが、なんと半世紀近く前なんですよね。あ~年取ったんだ↓

1976年に発見された婦好(huhao)という殷の22代武丁王の妃の墓は未盗掘で発掘され
現在、公開されている。地下に降りていくと発掘された時のままの姿が見られる。
青銅器はイミテーションだと思う。北京に素晴らしいコレクションが陳列されていたから。
王の墓に比べるとかなり小さいが、4000点にのぼる青銅器などの埋葬品と、
殉死させられた多くの奴隷や動物の骨がある。



写真:このような頭を切り離された人骨の入った穴が数十か所もみつかっているそうである。
   もちろん王墓にいけにえとして直接埋められた人々も数多くみつかっている。


 現存する甲骨文の中にこの女性のことが十数か所も触れられていて、
「婦好兵を率いて出陣す。その吉凶如何」とか、
「武丁王、婦好の健康を問う」とかいう占い文があるそうで、
巴午前(源義仲の愛妾にして女武者)のように戦いに従軍し、
王から愛された妃であったようだ。息子から贈られた青銅器もある。
3000年以上前の人だが、何か人間的だな。。
本で読んだ王の墓は埋戻されて場所が明示されているだけだった。残念。



写真:甲骨文字の「見」 身体に目がついている。いかにもプリミティブな感じがするが、
   これが今、我々が使っている「見」の原型だそうだ。甲骨文字は占いを目的として
   亀の甲羅に刻まれた文字で、数千語見つかっており、現在の漢字に対比できるのは1500語ほどだ
   とのこと。清代からの300年以上にわたる研究の成果。白川静氏が100歳近いその生涯をかけて
   甲骨文字の研究から漢字の呪術的な意味を解き明かしたことで有名。
   学問とは甲骨文字の如く骨身を削る作業なのですな~


 同じ日本語教師の方からあらかじめ聞いていた通り、
殷墟の一角で上品そうなお爺さんが面白い商売をしていた。
自分の名前を書くと、名前をいれた七言絶句と水墨画をさらさらと描いて額に入れてくれる。
早速お願いしてみた。100元。聞いていたより2倍以上高いが
管理人にピンハネされているのであろうか。次から次に客がついていたので
きっと月収10000元(13万円)は稼ぐだろう。私たちより高額所得者だ。

ホテルに帰ってから殷墟博物館に行ってないことに気がついた。
地表に入口のある地下博物館らいしが全然気がつかなかった。後の祭り。

安陽では車の後ろに大きな日章旗を付けた車を見かけた。バツ印がついている。
気分よくない。晩御飯はホテルで火鍋。遅かったためか羊肉が欠品。
この国では新鮮な青い野菜がなかなか食べられないので、レタスや青梗菜、
サラダ菜、白菜など何度もお代わりした。美味い。
身体がビタミンをほしがっているのがよくわかる。

明日は朝から鄭州に移動。
おやすみなさい。




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