中国不滞在記 in 神戸

行って見て聞いて考えた中国のこと

ディスカッションをさせてみたらそこは白熱教室

2013年12月19日 | 授業


今日は、外教公寓の玄関でクリスマスツリーの飾りつけ。
左の黄色のコートの方はお世話になっている外事処職員のFさん。いつも感謝である。

外事処の担当のF老師とM老師が来てくれて、子供たちと大きなツリーにオーナメントを飾っていた。ぼくは同僚のM先生と世話係の中国人老師の3人で食事会で参加しなかったが、
公寓に帰ってきたら、もうほとんど出来上がっていた。
子供がいる外教はきっと嬉しいことだろう。

ありがたいこってす。余り比較はしたくないけど、前任校とえらい違いだ。
異国で安い給料で働いている外教に、気を配ってくれる姿勢があるのとないのとでは
働く意欲も違ってくるやんか。

一昨日の3年写作(作文)の授業は、初めてディスカッションをした。
テーマは事実婚。第一週目は事実婚についての日本語の記事を紹介し、賛成、反対の意見文を
宿題にしておいた。第二週目はそれを添削して返却してから、優れたものを何篇か読ませて
意見を出させた。第三週目に賛成と反対に分かれて、討論開始。
司会は4年生と3年生の男子学生にしてもらった。討論参加者は13人全員女子学生ばかり。

意見がちょうど賛成と反対のほぼ半々に分かれていたので、みんなそれぞれ自分の意見を
素直に言うことができる。ディベートはあまり好きではない。論理的な立論の訓練にはなるのだろうが。。。

議論は白熱した、というか、もう喧嘩寸前といった状態。。。。
司会を抜きにして勝手に発言するは、途中でときどき中国語に切り替わるは、
司会は「先生、ケンカしています」と呆然と立ち尽くしている。

司会にアドバイスしている間も、猛烈なスピードと大声で意見が飛び交う。
ただし中国語だが。。。
何とか日本語にひき戻して意見が出なくなったところで終了。

反対:「中国人は保守派ですから、事実婚は受け入れられません」
賛成:「君たちは封建的です」
反対:「事実婚で生まれた未婚っ子(婚外子のことらしい)は法律の保護がありません」
賛成:「法律で認められています。知らないのですか」
反対:「未婚っ子は社会で認められません」
賛成:「この頃、たくさん未婚っ子が生まれているからみんな認めています」
反対:「事実婚はかんたんに別れてしまいます」
賛成:「きらいなら別れて新しい彼氏と結婚すればいいです」
反対:「じゃ、みんなは事実婚しますか」
賛成:「します」と数人が大きな声。。。(ほんまかいな)

ざっとこんな具合でその他、いろいろな意見が出たが、
司会の判定は事実婚賛成派に軍配が上がった。聞いていてもそう思えた。

もちろん論理は未熟だし、大体興奮しすぎだ。
日本の大学でこれをやったらどうなるだろうか。
もじもじして意見が出ないのではないかな。
そもそも白熱しないでしらける可能性大だ。

中国人学生はストレートで打てば響くところがあるから面白い。
日本の学生のように、響いているか響いていないかわからないより
教師としてはずっと楽しい。

後から学生に聞いてみると、ディスカッションを一回もしたことがないそうだ。
子供のころから詰め込み一辺倒の教育ばかりだし、自分で考えたりする時間も余裕も
なかった。今日、一緒に食事した中国人の先生は、
「学生は自分で情報を集めたり考えたりすることができません」
と仰っていた。
だから響く音は単純で、複雑な和音は出にくいだろう。
白熱教室になるのは当たり前かもしれない。

ぼくの学生時代は授業そっちのけでイデオロギー的なディスカッションばかりだったよな~
毎日が白熱教室だった。

もちろんぼくはだんまりだったけど。

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2 コメント

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白熱教室 (武漢オナガ)
2013-12-21 06:56:14
外事処の対応は、重要です。私の場合も、「困ったことがあったら何でも言ってください」と言われ、いろいろ言ったら、すぐに対応してくれました。そこに担当者の「人」を見ました。やる気にも大きく影響しますね。
討論授業は、中国の学生に切り込むカギの一つだと思います。これからの人材として必要な資質の一つ、一斉授業に慣れきっている、自分の意見を発表しようとしない、すぐ模範解答を借りようとする、等々、さまざまな理由からです。そういう意味で、この授業実践は、興味深いです。
これからもこのブログで発信されることを期待しています。
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討論 (金華かもめ)
2013-12-22 23:03:31
討論と言っても未熟なものですが、始めての経験でエキサイトしたようです。中国の教育は上から教えられることを従順にこなすように仕向けています。だから自発性や創造力に乏しく、4年の論文の授業ではコピペのオンパレードです。自分の頭で考えるという習慣がありませんね。メディアの発信したことを何の疑いもなく信じている学生が大部分です。まず、何よりも必要なのは自立した批判精神がではないでしょうか。これは日本人にも言えることですけど。
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