中国不滞在記 in 神戸

行って見て聞いて考えた中国のこと

またまた硬い話で恐縮ですけど

2014年07月10日 | 日中関係
帰国して12日目。
やっぱダラダラと日を過ごしてしまった。
根っからの怠け者。

日、前任校の学生5人が神戸の女子大のサマーセミナーに参加するためやってきた。
前任校の学部長に、提携先を持つべきと助言してから1年半。
留学はまだ無理だが、サマーセミナーの参加がようやく実現した。
明日は大学で歓迎会があり、ワタクシも参加させてもらえるそうで学生たちに会うのが楽しみである。

安倍首相がオセアニア諸国を歴訪中。
パプアニューギニアに200億円のODAを行うという。
彼の地には石油資源があるそうだが、そのためなのだろうか。
彼の地では、太平洋戦争で日本軍将兵20万人のうち、18万人が帰らぬ人となった。
そして戦場となった現地の人々にどれほどの被害を与えたか、誰も語らない。

安倍氏の脳裏に200億のODAはその贖罪の意味があるのだろうか。
寡聞にして、戦後、賠償を行ったかどうかは知らないのだが。

一方、オーストラリア首相は、戦後の日本は、法の下に平和主義を守った国家であると称賛し、集団的自衛権の行使を容認した。これが東アジアの反日国家を除く、世界の共通認識であろう。

中国はなぜ、歴史問題をえげつないほど蒸し返すようになったのか。

私見では、野田内閣の軽率な尖閣列島国有化以後であろうと思う。
菅内閣の中国漁船衝突問題は、中国側では収束しつつあった。
当初、英雄のように迎えられた船長は、以後中国メディアに登場することなく、消息不明。
ということは、彼が日本の領海を当局の許可なく侵犯したうえ、飲酒した挙句、巡視船に船を衝突させたことが明確になって、中国側としてはこれ以上事を荒立てたくなかったのであろう。

日本側では正義感にかられた神戸の海上保安官がその映像を暴露し、民主党政権の弱腰が非難されるとともに、国内の嫌中感情が一気に高まった。彼の行為は公務員の守秘義務に反したばかりではなく、国民感情を悪化させたといいう意味で国益を損じる行為だったと思う。外交には駆け引きは当然であり、ときとして相手の非行も知らないふりをした方がよいときもある。

これ以後、中国海監の領海侵入が多発したが、それは実力で阻止すればよい問題だった。尖閣諸島の帰属については、多くの自民党古参の証言にあるように、元々、棚上げの暗黙の合意があったことは確かで、それを国有化すれば、日中関係が決定的に悪化することは分かり切った話だった。当時、丹羽大使は、国有化の及ぼす重大な結果について警告したが、頭に血が昇ったメディアは冷やかで、ほとんど無視されてしまった。そしてポピュリスト元都知事が都政と何の関係もない尖閣を都が購入すると発表したものだから、野田内閣は止む負えず、国有化する羽目になった。

ちなみに、外務省はその結果を軽視し、中国側は暗黙のうちに了解していると考えていたらしい。外務省は、日米開戦の折りに宣戦布告が遅れ、卑劣な日本というイメージを世界中に広めてしまったが、そのころから従軍慰安婦の今に至るまで、クソの役にも立たない役所ではないかと思う。

そして安倍首相。
彼は、日中戦争が自衛のための戦争だったと思っているに違いない。
だが戦争はどんな場合でも自衛のための戦争だという大義名分がある。
ドイツがポーランドに侵入して第二次大戦が始まったときも、ナチスドイツは民族の生存のための自衛戦争だと主張した。

太平洋戦争が自衛のための戦争だとはこれっぽっちも思わないが、少なくとも欧米植民地国家に日本を非難する資格はない。

だが中国に対しては、日本が満州などの利権を守るために戦争を行ったという認識を、為政者として持たなければならない。それが安倍首相には決定的に欠けているように思える。

中国が政治的に反日を利用しているにしても、道義的にやはり責任はあり、だから過去の歴代政権は、機会あるごとに遺憾の意を表明してきた。

30万人はデタラメであるに違いないが、南京で多くの無抵抗の中国兵や市民が日本軍によって殺されたことは間違いのない事実だ。日本の行った戦争犯罪が、ドイツのそれと同等とは全然思わないにしても。

安倍首相は一度、南京「大虐殺」記念館で哀悼の意を表したらいかがか。
日本が中国にもたらした惨禍への反省の象徴として。
ドイツは日本に比べて、反省していると言われるが、実のところ、何から何まで反省しまくっているわけではない。ドイツもひどかったが、ロシアもフランスもポーランドなど他の諸国もユダヤ人差別虐殺について責任がある。だが、ドイツの周到な反省のパフォーマンスは周辺諸国を納得させるものだった。

それにくらべて安倍首相はまるでガキのように個人的信念を表明していたずらに国益を損じ、そしてまずいとみたのか、アメリカから注意されたのか、沈黙を続けている。不信感を持っている相手に、戸はいつでも開いているなどと言ってもだれも飛び込んではくれまい。
反日オンリーの中国や韓国にはうんざりだが、日本という国は、も少しうまく外交をやれないものだろうか。

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