日暮らし通信


その日暮らしの生活でも、感謝しています

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イギリス in 1977 (その20)

2022年10月12日 09時06分24秒 | 日暮らし通信

発信元:  赤とんぼ






● この項のタイトル:
       高度 35,000 フィート、入口温度マイナス 35 度 ●

いろいろな高度を想定しての試験であったが多くは忘れてしまったので、意識を呼び起こしながらこの文を作っている。

しかし、高度 35,000 フィート、入口温度マイナス 35 度の中で運転された FJR710 エンジンの性能を確認するこの試験で鮮明に覚えていることがある。


それはこの運転終了後、エンジン点検のためにチャンバーの中に入った時にびっくりしたのは入口ダクトが氷結して真っ白だったこと。

長く伸びたダクトの白さが妙に幾何学的に綺麗な光景であったことを忘れていない。

そして私がスロットルレバーを操作する装置の作動油が低温で影響を受けないかと心配したが、スムーズに作動したことに安堵した。

全ての試験が終った時、私は重く感じていた肩の荷が一気に消え、無事に試験が終ったことを感謝した。

そしてこの試験で多くの事を学んで、ジェットエンジンへの知識を深めることになった。
     (この項終わり)

今日は赤と白のベゴニアをアップしました。
赤いベゴニアの花言葉は 「公平」。白いベゴニアの花言葉は 「親切」。思うに、修身の教科書に載せたいようなベゴニアです。







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      写真説明:  赤と白のベゴニア

      撮影場所:  神代植物公園・大温室にて  (2018.1.18)







イギリス in 1977 (その19)

2022年10月11日 14時21分15秒 | 日暮らし通信

発信元:  赤とんぼ






● この項のタイトル: 再着火試験 ●

ジェットエンジンは如何なる場合でも連続燃焼しているが、それでも飛行中に火が消えることは想定しておかなければならない。

火が消えることは当然推力の減少を招くから機長は再着火を試みる。しかしながらどんな高空条件下でも再着火が可能と言う訳でもない。

その再着火エンベローブを探るのも今回の試験目的でもあった。即ち横軸を機体速度 (機速)、縦軸を高度のグラフを想定するならば機速に対して如何なる高度で着火可能なのかを確認し、その点を結んだ範囲が再着火可能なエンベローブなのである。

飛行中に4発のエンジンの火が消えたのは現実に起こった。

年代は忘れたがインドシナ半島上空を飛行していたイギリス BA 航空のジャンボジェット機の全てのエンジン4基が停止した。

幸い高度が充分にあったため機長は急降下しながら再着火始動を試みた。

20分以上も掛けてやっと4基のエンジンの再着火に成功し推力を得ることができた。

火が消えた原因は火山噴火により空中に飛散した火山灰をエンジンが多量に吸い込んで、燃焼が止まったためだった。

おそらくは火山噴火を知っていても航路には異常は無いだろうとの判断から飛行したのだろうが、それ以後は噴火情報は航空機の運航に欠かせない情報となった。

以上の文中で推力 (すいりょく) との言葉があったが、ジェットエンジンの場合、出力を現わすのは馬力ではなく、推力またはスラストを用いる。
その単位はポンドだが、日本で開発されたエンジンはキログラムが使われることもある。

因みにボーイング B747 に搭載されているエンジンは PW-4000-94 だが、その推力は 56,750 ポンド (25,765 Kg) と表示される。    (この項終わり)

今日は赤系統のベゴニアをアップしました。







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      写真説明:  赤系統のベゴニア

      撮影場所:  神代植物公園・大温室にて  (2018.1.18)







イギリス in 1977 (その18)

2022年10月10日 09時15分43秒 | 日暮らし通信

発信元:  赤とんぼ






● この項のタイトル: 高空性能試験 ●

この研究所の如何なる設備で高空条件を設定しているのかは判らないが、その装置を動かすためには膨大な電力を使用するとのことである。

ここではチャンバー後方より空気を抜いて減圧しているのかも知れない。また入口空気温度を下げるのはアンモニアを用いている。

しかし、リクエストされた高空状態にシュミレートするのは意外と時間が掛かるようであった。まして複数のチャンバーで同時に試験することも可能であろうから、短時間で設定することは難しいことだろう。

私たちは地上運転場のみでのエンジン試験 (大気圧状態での運転) の経験しか無かったのでここでの試験は非常に興味深いものがあった。

エンジン後方から空気を抜くと当然エンジン入口では空気が流れ込むことになる。そのためエンジンは風車のような状態になって回転を始める。この事象をウインドミル (WM) と呼んでいる。


いわばエンジンが飛行中のような状態になる。エンジン回転数は徐々に上昇する。着火していない状態でエンジンが回転することは問題無いことなのだが、前述したように高空条件が設定するまでには時間を要する場合もあり、低速での潤滑油ポンプの性能などが未知数のためオイルレベルの減少が心配であったがそれも杞憂に終わりホッとした。


予定された高空条件が整うとそこでエンジン・スタートする。WM により回転数は上昇していたが当然スタータのアシストは必要であり、スタートはスムーズで問題無くアイドルに到達したことは感動すら覚えた。


このような状況の中で幾つもの想定したスケジュールで性能試験を終えることができた。      (この項終わり)


この温室を訪れてベゴニアにも多くの種類があるのを知りましたが、このような薄いピンク系のベゴニアは如何でしょうか?







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      写真説明:  ピンク系のベゴニア

      撮影場所:  神代植物公園・大温室にて  (2018.1.18)







イギリス in 1977 (その17)

2022年10月09日 08時53分37秒 | 日暮らし通信

発信元:  赤とんぼ






● この項のタイトル: 運転中のオイル洩れ ●

エンジン運転中、エンジンは数台のカメラによってテレビで監視するのみで直接見ることはできない。


最初の運転時、アイドルからゆっくり回転数を上げていったが突然何かの液体が噴射する事象が発生、直ちにエンジンを停止した。


実はこの時、私は心中穏やかではなかった。もし、私が関わった所で締め付け忘れでもあったらどうしようか。いい恥さらしになってしまう? と不安だった。

そんな思いが交差する気持ちで停止後チャンバーに入ってほっとした。英国人作業者のミスでオイル配管に締め忘れがあったのである。これには後日談がある。

試験契約によれば研究所側にミスがあった場合はそれなりの損害責任が発生るというのである。

この場合、明らかに英国側のミスであるから日本側からクレームを指摘すれば作業を指揮したフォアーマン (職長) は解職になる可能性があるというのである。おそらくは穏便にとお願いがあったのだろうがこの辺は厳しいのである。

このフォアーマンはジャクソンと言う人で私はたいへんお世話になった。まずは解職にならくて良かったのと、私のミスで無くて幸いでした。   (この項終わり)

今日は白と赤のベゴニアをアップしました。
名前を知りたいが、ラベルはありませんでした。通常、街中でベゴニアを見ることもあるが、この温室に来てこのように多くの種類があることを知りました。







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      写真説明:  白と赤のベゴニア

      撮影場所:  神代植物公園・大温室にて  (2018.1.18)







イギリス in 1977 (その16)

2022年10月08日 08時35分35秒 | 日暮らし通信


発信元:  赤とんぼ






● この項のタイトル: 運転オペレーター ●

エンジンの運転操作をする人をオペレーターと呼んでいる。

日本での FJR710 エンジンの運転は私がオペレーターを勤めるが、この試験では英国人がオペレーターである。

赤ら顔で長身の老人だが何かアル中みたいな人で、グローブのような大きな手でスロットルレバー (車に例えればアクセルペタルに相当する) を操作する。

では私のミッションは? エンジン・パラメーターを監視し、同時にオペレーターの操作も監視し、必要に応じてアドバイスすることである。

FJR710 エンジンのスタート手順は他のエンジンと違って少し厄介な操作がある。

最初のスタート時、その操作がもたついて排気温度が上昇してしまった。
ジェットエンジンの排気温度には厳しい制限があってその上限を超えることは絶対許されないことなのである。

その時の上昇は制限値を越えそうなので私は "レバーを下げろ" とコールした。

しかし、このオペレーターは頑としてレバーを下げる気配がない。私の指示は通用せず、英国人のコントローラー (試験を統括する人) からの指示でなければ操作しないのである。

これは契約違反なのでこれには日本の試験統括者からもクレームが出たのは当然である。

しかし、考えて見れば英国のオペレーターは可哀想である。自分の意志では操作できないロボットのような存在なのだから。

日本人なら大幅な権限を持たされてエンジン・スロットルレバーを操作する。しかし、ここではコントローラーの指示がエンジン作動を制御しているのだ。

以後、私の監視は厳しくなった。そんな事情もあるので、緊急時には私がレバーを操作できるような位置で監視することになった。

試験も進んでくると現場のメカニックたちとは意気が通じるようになったが、この赤ら顔のオペレーターだけは懇意になることもなかった。

小作りな日本人が操作に口だしすることが我慢できなかったのだろう。でも私にも言い分がある、「俺の言う通りに操作しろ」 と、お説教したかったが、何せその言葉が英語で出てこないからどうにもならない。

でもそんな雰囲気の中で日本人の試験統括者 (この人は私の直属の課長だった) が、英国人の目線に怯むこともなく試験を続けた態度に私は勇気を貰った。素晴らしい統制だった。
      (この項終わり)

今日はピンク系統のベゴニアをアップしました。
鮮やかでふっくらと咲いている八重のベゴニアからは優雅で清楚な雰囲気が醸し出されていました。







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      写真説明:  ピンク系統のベゴニア

      撮影場所:  神代植物公園・大温室にて  (2018.1.18)







イギリス in 1977 (その15)

2022年10月07日 08時54分59秒 | 日暮らし通信

発信元:  赤とんぼ






● この項のタイトル: 鍵 ●

このページ以降では 「エンジン高空性能試験」 時のエピソードを纏めてみよう。


英国へ来てから何とも不思議なこと (私たちの慣習と違うこと) をたくさん見聞きしたがこの研究所でもたくさんあった。その一つが何をするにしても鍵の出番が多いことだった。


私たちの日常生活を考えても鍵が無いわけではない。ただ、私たちが朝会社へ出勤しても早く来た人が配電盤を開け、電源を投入し、照明を付けるのが当たりまえなので配電盤には鍵など掛かっていないのが日本の現状でもある。

ところがこの英国の研究所では配電盤には鍵が掛かっていて誰もが電源の投入などできないのである。ではどうするのか?

朝、鍵束を持った品質管理スタッフがまずやって来る。その人が持つ鍵の数はおよそ80個以上あってガチャガチャ音を立てながらやって来る。

その人が自ら配電盤を開け、電源を投入するのである。この人の役職は判らないがおそらく高い役職の人かも知れない。万事がこの調子、誰でも自由にスイッチを入れたり切ったりはできないのである。

日本人から見ればいささか悠長でやりきれない感じがするが、他国の慣習を反古にする気など毛頭ない。どこの国にも独特のしきたりがあるのは致し方無いことである。
     (この項終わり)

今日も黄色いベゴニアをアップしました。八重の黄色いベゴニアは近くで見ると優雅な雰囲気に満ち溢れていました。







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      写真説明:  黄色いベゴニア

      撮影場所:  神代植物公園・大温室にて  (2018.1.18)







イギリス in 1977 (その14)

2022年10月06日 10時53分09秒 | 日暮らし通信

発信元:  赤とんぼ






● この項のタイトル: スロットル・レバーの油圧系統 ●

据え付けの殆どは英国人のメカニックが行ったが、ただ一つスロットル・レバー (車のアクセルペダルに相当する) の油圧系統だけは私が取り付け作業した。

これはアーデル式と呼ばれる油圧装置で計測室内からオペレーターがエンジンの FCU (Fuel Control Unit:燃料制御装置) を遠隔操作する大事な装置である。

計測室内にある制御装置とエンジン側に取り付くトランスミッターを二本の銅管で接続し、充填された作動油を加圧することによりオペレーターが操作するレバーの動きが同一角度でエンジン側に伝わるようになっている。

この装置については実績があるので作動についての心配は無かったが、高空性能試験なので大気条件35,000フィート、マイナス35度の試験の時に銅管も冷やされて中の作動油がどのように変化するのかが一つの懸念であった。


さて据え付けの終わりはエンジン入口ダクト内の点検である。

これは私の確認を求められたが、ここにも英国式のしきたりがあった。私が呼ばれて行ってみるとインスペクターのスタッフと中年の掃除人が待っていた。

この掃除の人もやっと出番なのである。その持ち物を見ると小さな箒とちり取りである。三人でダクト内へ。長いダクト内を丁寧に点検し、小さなゴミも掃除して貰った。日本なら私一人で充分なのにと思った。

因みにジェットエンジンは異物を吸い込むことが一番の弱点でもある。吸い込むとエンジン内部を損傷する。だからエンジン前方は念入りな掃除を行なってクリーンな状況を確認する。(この項終わり)

今日は黄色いベゴニアをアップしました。この公園の大温室ではいろいろなベゴニアと逢うことができます。







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      写真説明:  黄色いベゴニア

      撮影場所:  神代植物公園・大温室にて  (2018.1.18)







イギリス in 1977 (その13)

2022年10月05日 08時23分20秒 | 日暮らし通信


発信元:  赤とんぼ






● この項のタイトル: 喫煙しながら作業してる ●

私がチャンバー内でエンジン計測系統を点検していたら何か灰のようなものが落ちてきた。

見上げたら顔見知りのメカニックが片目でウインクしている。愛嬌者である。が、びっくり仰天した。彼は仕事をしながら葉巻をくわえていたのだ。

私の頭はまだ切り替わっていなかった。日本だったら喫煙所以外は禁煙。まして工場内でタバコを吸うなんて罰金ものである。

だがここは英国。チャンバー内は喫煙可なのだ。葉巻を吸うのは珍しいが多くの人は箱入りの既製のタバコではなく紙巻きタバコを愛用する。

紙の上にタバコの粉をならべて舌で紙の端を濡らしてくるくると巻くのである。あっという間に小さな細いタバコが完成する。私もこの道具を買って巻きタバコに挑戦したが帰るまでにとうとう習得できなかった。

タバコを吸いながらエンジンを据え付けるなんて私には別世界にいるようだった。勿論、灰皿なんて無いから適当にあちらこちらに捨てている。

燃料配管も近くにあるだろうから実際の話、私はあまり気持ち良かった訳ではありませんでした。

日本の我が工場の運転場は危険物取扱所、消防署のお達しもあって火気厳禁だが、この所内ではエンジン据え付けが終るまでは喫煙は自由だった。

しかし、エンジン据え付けが終ると完全な禁煙環境となり、所内の消防隊が査察に来たのにはまたびっくりした。 (この項終わり)

今日からはベゴニアの世界をご紹介します。 「ベゴニアの分類」 との表示板を見て、実際に花を観察してみましょう。

花を愛でる方法はたくさんあるでしょうが、皆さんはどうしてますか。この写真のように花びらを水の中に浮かべると、その花の再生を見ることができます。







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ベゴニアの分類は?




こんなに沢山のベゴニアがあります




花びらをこのように水面に浮かべるのもどうでしょうか



      写真説明:  ベゴニア

      撮影場所:  神代植物公園・大温室にて  (2018.1.18)








イギリス in 1977 (その12)

2022年10月04日 11時13分45秒 | 日暮らし通信

発信元:  赤とんぼ






● この項のタイトル: エンジンの据え付け ●

日本から運んだ供試エンジンはチャンバーと呼ばれる試験施設に据え付けられる。

このチャンバーは円形断面で、簡単に説明するとビール瓶を横にした状態と仮定するとその太い部分にエンジンを据え付けるのである。

栓が付いている細い部分が吸気部でそれは高空状態をシュミレートするための施設と結合されている。勿論、この高空性能セルは膨大な施設で簡単に説明できそうもないが何箇所かのチャンバーが同時に使用できるのかも知れない。

チャンバーは個室であるが空気通路で繋がっている。私たちが大気開放の地上運転場でエンジンと付き合っているのとは違っていかなる高空条件での性能を提供するために密閉された中での特殊な環境、それがチャンバーである。

繰り返すがチャンバーは円形断面の鉄板に覆われた空間であり、その中にエンジンを据えつけてその性能が確認されようとしているのである。

さて、ここでの私の仕事は主に立会監督で実際に作業するわけではない。

据え付けは英国人のメカニックにより行われる。だが、彼らを見ていると日本とは全く違った感覚であることに驚かされる。最も彼らが私たちの仕事ぶりを見たら驚くのかもしれない。

私たちは配線もすれば配管もする、掃除もする、検査もする、運転もする。いわゆる多能的な能力を求められているのだが彼らの世界は全く異なる。

配線する人は一日中配線ばかり、配管する人は終日配管しているようだ。自分の領域が決まっているのである。

だから掃除する必要はない。いわば自分のミッションが確立されているのである。

私たちのように何でも屋ではないので遅れている部分を助けに行くなんて考えられないのであろう。

良い言い方をすればその担当部分のオーソリティで確実で精度の高い仕事をしているに違いない。

日本人から見れば非常に非効率的なようだが、永い歴史の中で生まれた仕組みであろうから良い悪いで論ずるものでもないのかも知れない。(この項終わり)

今日も洋ランの写真をアップしました。
ラベルの学名には Phalaenopsis Memoria Anne Fajen と表示されているからコチョウラン属の洋ランのようです。







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      写真説明:  洋ラン

      撮影場所:  神代植物公園・大温室にて  (2018.1.18)







イギリス in 1977 (その11)

2022年10月03日 09時31分46秒 | 日暮らし通信

発信元:  赤とんぼ







● この項のタイトル: エンジン高空性能試験 ●

 「エンジン高空性能試験」 が行われた英国の NGTE (National Gass Turbine Eatablishment:国立ガスタービン研究所) は広大な敷地の中にあり、その詳細は判らないが世界有数の研究所である。

私たちも所内での通行は担当者のエスコートが必要で経路も決められた道路以外は通行できなかった。

ある時、同行スタッフの一人が軽い気持ちで皆が集まっているのを写真で撮ったがそれが契約違反とのことでカメラは没収、フィルムは抜き取られてしまった。

口頭だけの注意で済んだが一時は日本への送還もあり得るとの情報もあって冷や汗ものだった。だがその写真を焼き増ししてくれたのは粋な計らいでもあった。

ここでは技術スタッフ部門と現場部門では日本以上にその階級がはっきりしているようだ。私としてはどうしても現場での想い出がたくさんある。

私は Mr.○○○ と呼ばれると思っていたのだが会ってすぐ私に名前を付けてくれた。私の名前はハリー (ハロルド) 。以後 Mr.○○○ なんて呼ばれたことはない。ハリーさんになってしまった。でもこの方が親しみ易くていいのかもしれない。

だが技術スタッフ部門の事務所に行くと、私は Mr.○○○ と呼ばれた。

現場の人は誰でも人が良さそうで気さくな人ばかりである。現場の人がいる部屋に私たちの机も準備してくれたが必ず鍵を掛けるらしい。私たち日本人には鍵を掛ける感覚があまり無いのだが英国人は違うらしい。

驚いたことにこの部屋には灰皿が無い。

なのに誰もがタバコを吸っている。灰や吸い殻はどうするかと見ていたら床の上に無造作に捨てるのである。

灰皿を置いておけばよさそうだがここに英国式の不思議さがある。床の上を掃除する人に仕事を与えるために床の上に吸い殻を捨てるらしい。日本人にはついて行けそうにもない感覚でした。

だが技術スタッフのいる事務所には机上に灰皿があった。

現場の人の中にはいろいろな趣味の人がいた。ジャクソンと言う50年代の人は模型飛行機が好きでハリーに見せたいからと、車のトランク一杯に模型飛行機を積んできた。皆良い人ばかりであった。(この項終わり)

今日も白い洋ランの花をアップしました。
学名の Phalaenopsis はコチョウラン属で熱帯域に分布するラン科植物の一群を意味します。







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      写真説明:  白い洋ラン

      撮影場所:  神代植物公園・大温室にて  (2018.1.18)







イギリス in 1977 (その10)

2022年10月02日 09時03分16秒 | 日暮らし通信

発信元:  赤とんぼ






● この項のタイトル: 英国雑感 ●

私たちはロンドン南西20キロほどのファンボローと言う所のホテルに滞在していた。

この地は田舎の雰囲気のある所で人々も優しく接してくれた。英国は世界各地に植民地を持っていたのでいろいろな人種も混じっていたが日本人を初めて見たと言う人がいたのには驚いた。

ロンドンの町中へ行ったら何事にも注意するように言われていたのだが田舎の人は日本と同じように親切であった。


ある日、ホテルの駐車場に留めておいた私たちのレンタカーに誰かが接触したようだが、車には名刺が貼り付けてあり、お詫びと電話番号がメモしてあった。日本だったらそんな行為にお目に掛かれるであろうか。


西暦1977年はエリザベス二世女王陛下が即位してから25年目であった。第二次世界大戦後、かつて栄華を誇った大英帝国も翳りが見えてきたようだが当時はまだ王室内のスキャンダルも聞かれず平穏な空気であった。

私は毎日ホテルに戻ると鶴を折った。

折り紙がなかったが機内でもらったBA航空の情報誌を細かく裁断して折り紙代りにしてせっせと折り続けた。

そして日本に帰る時、現場でお世話になった人へそれを贈った。1977年に因んで10本の糸に7個ずつ通した77個の立派な折り鶴であった。

余談だが折り紙は好評で私の三倍もあるような大きな手で英国人が必死に鶴を折っている姿は和やかな雰囲気で、最も安らいだ時でもあった。英語では鶴のことをクレーンと言う。

このページで書いたことはもうだいぶ前の話し。当時と今とではずいぶんと変わったことだろうが、私が初めて外国へ行った時の印象は何年経っても忘れることのできない素敵な想い出として残っている。 (この項終わり)

今日も洋ランの写真をアップしました。白い洋ランは清純で清楚で見る人に落ち着きを与えます。
学名の Angraecum は、マレー語で 「着生ラン」 を意味しています。
         (神代植物公園・大温室内にて撮影 2018.1.18)







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      写真説明:  洋ラン

      撮影場所:  神代植物公園・大温室にて  (2018.1.18)







金木犀 咲く

2022年10月01日 09時58分18秒 | 日暮らし通信

発信元:  赤とんぼ






今日から10月、今年のカレンダーも残り三枚となった。

ニュースなどではたくさんの品目が値上げされたと伝えられた。

妻と二人暮らしの時は毎日、近くの食品スーパーへ買い物に行ったが、長男夫婦と同居するようになってからは私の買い物も減って、今は日常用品くらいの買い物となっている。

先日、そのスーパーに行って驚いたのは殆どの食品物が値上げされていたことだった。

今、我が家では食に関することは嫁さんに全て任せてあるので、私が食品物を買うことは無いが、嫁さんのやりくりも大変では? と思いました。

コロナ騒動、ロシアのウクライナ侵攻と重大な出来事が多いに影響しているのだろうが、もっと安心して暮らせる世の中になるようにと願いました。

NHK のラジオ番組を聴いていると、各地から金木犀が咲いたとの便りが寄せられていた。

そうか、金木犀の咲く時期か? と思ったが、私の散歩コースではまだ咲いていないと思っていた。

昨日、近くの金木犀を見に行くと、やっと咲き出していた。

昨年は9月13日に撮った写真があるから、今年は遅咲きの年のようだ。

金木犀は意外と咲く期間が短くて、やがては樹の根元に金色の花が落ちて、絨毯を敷いたように地に花を咲かせる。

今年もあと三ヶ月、大きな出来事が起こらずに今年を終りたいものです。







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      写真説明:  金木犀

      撮影場所:  空堀川沿いにて  (2022.9.30)







イギリス in 1977 (その9)

2022年10月01日 08時54分09秒 | 日暮らし通信

発信元:  赤とんぼ






● この項のタイトル: 英国の車事情 ●

外国は初めての私にとっては見るのも聞くのも珍しいことばかり。特に日本製の車が多いのには目を丸くした。車種はホンダのシビックが殆ど。それと日本では考えられない古い木製のフレームみたいなものを付けた時代物の自動車が走っている。


私たちが最初に借りたレンタカーはミニクーパー。運転席に丸形の計器が一個あるだけのシンプル過ぎるこの自動車は英国でも多く走っていた。

また高級車のロールスロイスも走っている。英国の高速道路は無料。ミニクーパーでロールスロイスを追い抜いても罪にならないかどうか? なんて冗談を言いながら走ったが、何と言っても性能は今一つ足りない。

何しろ加速するためにアクセルが床にピッタリくっついているのにスピードが加速しない。日本の車では考えられない性能である。

当時私はスカイライン 2000GT に乗っていたのだが、小柄な私がそのような車に乗っていること自体が英国人には信じられないようであった。

英国では左側通行だから日本と同じ感覚で運転することができた。ただし、踏切は確認だけで一時停止無しだから要注意。日本と同じに停止すると玉突きされるとのこと。

また信号も少なく、殆どがロータリー式の交差点だから出る道が判らなければその中でぐるぐる回って出口を選ぶこともできる。

土、日曜日は仕事が休みだからもっぱらドライブしていたが困るのは食事。

日本だと何処でもドライブインのような休憩所があるがここでは全く判らない。場合によっては空腹で運転を続けるしかない。

英国北部のスコットランドの方に行けば山も川もあるようだが、南部の方は起伏が少なく単調な景色でドライブ気分なんてあまり湧いてこない。

渋滞などないから100キロくらいはすぐ走ることができた。英国では違反だけはしないようにと心掛けていたが、一方通行を反対から入ったことは二度、三度あったが、幸い注意してくれた人がいて助かった。

この時期、ロンドンと言えば霧が有名。私たちはM3と言う高速道路を度々利用していたがそこで私は霧に遭遇した。

少し霧を見くびっていた感もあった私だが実際恐ろしくなってしまった。突然霧が発生し、霧がぐるぐると巻き上がり、それがまた激しく流れている。

とにかく動きの速い複雑な形の霧である。日本では濃い霧で難渋したことがあったが、この霧はそんなレベルではない。もう霧に遭うのは御免だと運転するのも嫌になってしまったほどだ。 (この項終わり)

今日は洋ランをアップしました。ラベルにある学名のリカステ Lycaste は、ラン科植物の一つ。大きな偽球茎に大きな葉をつけ、多くはシュンランに似た大きな花をつけるが、あまり見たことの無かった洋ランでした。







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      写真説明:  洋ラン

      撮影場所:  神代植物公園・大温室内にて  (2018.1.18)