17日、午前7時半頃、大坂空港で羽田発の ANA985 便 (Boeing 787) が、着陸後に左右のエンジンが停止し、滑走路上で動けなくなった。 同機は自走できず、トーイングにより駐機場まで移動した。
このニュースをテレビで見たが、何とも不可解な事故だ。
まずは左右のエンジンがなぜ停止したのだろうか? 人為的なミスも考えられるが、この場合は物理的な何らかの異常で燃料が遮断されてしまったのだろう。
それと私が 「オヤッ?」 と不思議に思ったのが、逆推力装置 (ぎゃくすいりょくそうち Thrust Reverser) 作動時にバイパス空気流を前方に噴射するリング状の隙間 (上画像の赤楕円の部分) が開いたままだったことだった。
通常、パイロットが逆推力装置作動後にスラストレバーをアイドル位置に戻せば、この隙間はクローズされるから、このように開いたままの状態を見るのはまず無いのが普通だ。
因みににパイロットはアイドル位置からスラストレバーを手前に引けば逆推力装置が作動するようなシーケンスになっている。
航空機が着陸時、接地した瞬間に体を座席に押しつけられるような制動を感じるが、それが逆推力装置を作動した時に機体を減速させる役目を果たしているが、その作動は短い時間で終る。
下の画像にあるようにエンジンはカウリングと呼ばれる外板にカバーされているから、上画像のような隙間が開くのは逆推力装置を作動させた瞬間だけである。
おそらくは機体内のシークエンスに異常発生、燃料を遮断する機能が働いてエンジ停止、その異常な作動が逆推力装置に連動して不具合が発生したのだろうか?
一般に逆推力装置は着陸時のみに作動させると思われるが、過去には流線型のスマートな機体で人気のあったダグラス DC-8 型機は飛行中、二番、三番エンジンのみ逆推力装置を作動させて制動減速したことはあまり知られていないだろう。
この事故、何と言っても着陸後に発生したのは不幸中の幸いだった。もし、飛行中に発生したら大きな犠牲を伴ったことだろう。
私は在職中、JAL、ANA、JASDF などの JT8D エンジンを多数テストしたが、民間企業で修理する場合は、機体部品である逆推力装置は取り外されて搬入される。だがエンジンテスト中、スラストレバーをアイドル位置から手前に引けば、逆推力使用時のスラストを発生する。 そのため、地上テストではスラストレバーを手前に引くことは厳禁されていた。
しかし、ANA がかつて使用していた3発ジェット機 「トライスター」 に搭載されていた RR 製 RB211-22B エンジンは丸ごと搬入されたが、テスト中は逆推力装置が作動しないように物理的に厳重なロック機能が働いていた。
この RB211-22B エンジンは私が始めて経験したスラストが 35,000 ポンド級の巨大エンジンだった。
以上、いろいろと説明したが、私はエンジン屋で機体の構造・機能などは全くの素人なので、もし違った説明だったらご容赦ください。
でもこの ANA985 便事故の原因は何か? 気になります。
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320型が多いので今回の飛行機あまり縁が
ありませんが・・航空機のトラブルはホント
怖いですよね 航空関係のお仕事をなさっていて
このような事故には興味津々でしょう・・
徹底した事故原因の追求と再発防止に
再チェックをお願いしたいものです。
タキシング中のようですが
その途中でエンジン二基停止とは
不思議な現象です。
このような状態ではエンジン停止するには
エンジンに供給される燃料を遮断しないと
停止できないはずです。
またリバース用のドアが開き放しなのも
不思議なことです。
何が起きたのか? 興味津々です。
接地以前に、何かがあったとしか思えないタッチダウンでした。風的に右にクラブとるべきところ左に10°近く振ったまま、小型機によくある横風が強い時の片側だけの設置着陸でした。
その後どうだったのか原因は分かっていないのでしょうか?