
監督: ミロス・フォアマン
出演: F.マーリー・エイブラハム/トム・ハルス/エリザベス・ベリッジ
天才作曲家モーツァルトの才能に嫉妬した末に殺してしまった
宮廷作曲家サリエリの物語。
絢爛豪華な映像と芳醇な音楽が溢れる、視覚的にも聴覚的にも
たいへん贅沢なステキ映画です。
わたくしが一番大好きな映画でもあります。
(二番目に好きなのは『グリーン・デスティニー』です。ドウデモイイ?)
モーツァルトといえばクラシック音楽愛好家でなくてもファンは多く、
特に日本人には大変人気がある作曲家ですね。
ただ、コアなクラシックファンである自分には、モーツァルトの音楽は
軽すぎて物足りませんが…。陰鬱な激情に満ちたロシア音楽や、
華麗で優雅で軽薄なロマン派の音楽が好きよ♪ ドウデモイイ?
さて。
この映画は、モーツァルトの人物像を、非常にリアルに描いていることでも
話題になりました。つまり、下品で変態で酒乱な男。しかしモーツアルトが
変人であったという事実は、クラシックマニアの間では周知で羞恥なこととして
知られています。(モーツアルトにはスカトロ趣味があったということです)
一方、
もう一人の主人公である宮廷作曲家アントニオ・サリエリについては
その音楽も人物像も、クラシックマニアの間でもほとんど知られておりません。
つまり歴史に名を残すことが出来なかった、負け組作曲家というわけです。
そんな負け犬サリエリが、勝ち犬作曲家モーツアルトに激しい嫉妬の炎を燃やし
殺害を計画。げに恐ろしきは男の嫉妬、というわけですね。
しかし、よくよく映画を見てみると、サリエリがモーツァルトを殺してやりたい
と思っている本当の理由は
音楽的才能への嫉妬ではなく、そのバカっぷりが許せないという
非常に低次元な理由であることがよくわかるのです。
サリエリが所属する当時(1700年代)の貴族社会においては、
なによりも高潔で敬虔な人間性が必要不可欠であったのはよくわかります。
そんな中に、礼儀も常識も欠いた無邪気なバカであるモーツァルトが
「音楽的天分」のみを武器に乗り込んできて、貴族や皇帝の尊敬を得、
サリエリの作曲した音楽までもコケにする・・・・・。
人一倍禁欲的で礼節を重んじるサリエリにとっては耐えられない屈辱だった
のでしょう。挙句に、片想いしていた女まで寝取られて、サリエリの怒りは
ついに爆発するわけです。
「偉大な才能と人間性は必ずも比例しない」
劇中でサリエリがそう嘆いた言葉が非常に印象的でした。
現代ではむしろ、突出した才能の持ち主は変態ばかりである
という事実が公に認知されております。それは芸能界を見ればよくわかります。
サリエリの悲劇の原因は「凡庸な才能」ではなく、その「生真面目な性格」に
あったということを、この映画はゴージャスな映像の中で教えてくれるのです。
クソ真面目な堅物よりもあけすけな馬鹿が愛される
のは、昔も今も変わらないのかもしれませんね☆
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