斬り捨て御免塾!!

☆エンタメ毒舌レビュー集☆

同窓会

2005年11月05日 | ドラマ

1993年NTV
《脚本》井沢満
《出演》斉藤由貴/高嶋政宏/西村和彦/田中美奈子/
別所哲也/山口達也/国分太一/荻野目慶子/松村達雄


いや~。濃いぃドラマだった。 1993年という時代の寛容さを見たような気がした。
「同性愛」をテーマにしているせいなのかどうかは知らないけど、とにかく登場人物たち
の言動が過激で生々しく、むせ返るような精液の匂いが画面から漂ってくるのである。

ストーリーはと言うと、真性ホモの西村和彦が高校時代の親友(高嶋政宏)に十二年間
片思いした末についに壊れ、親友の彼女(斉藤由貴)に強引にプロポーズして結婚。
しかし女を抱けるはずもなく新宿二丁目に出入りするようになり、ホモ街道まっしぐら。
一方妻の方も欲求不満がたまって、行きずりの少年と工事現場でファック。
しかし実はその少年は主人公のホモの愛人であり、親友の新しい彼女の弟でもあって・・・・

・・・・と、人物相関図がやたら複雑なのである。
しかしこのドラマの見所は、ストーリーではない。俳優たちの「壊れっぷり」である。
苦悩するホモを演じた西村和彦の、恥も外聞も捨てた力技の芝居は驚きを通り越して
笑ってしまうし、精神が崩壊する一歩手前の女を演じた斉藤由貴のリアリティーは相当なもんだ。
硬派なノンケを装いながらも次第に内なるオカマを目覚めさせていく高嶋政宏の暴走っぷりも
かなりキテるし、トキオとしてデビューする前の山口達也のチンピラホモっぷりと国分太一の
大オネエぶりも衝撃的である。

すべての役者が、俳優という職業がいかにプライドを捨てることに重きをおいているかが
わかるような仕事ぶりである。
骨董鑑定の権威である中島誠之助がこのドラマを見たら間違いなく、
「いい仕事してますね~」と唸ること間違いなしだ。

とにかく登場人物のほとんどが理性も常識もなく、ひたすらアブノーマルだ。
本能のままに身勝手に生きるって素敵ですよ!!
そんなメッセージを常に訴えかけられているようで、なんとも下半身がこそばゆい。
だが間違いなく、彼らの生き方に憧れている自分がいる。 思慮深く慎ましく生きることが
最大の美徳とされている風潮がますます強くなる現代において、このドラマの持つ破廉恥さ
は逆に清々しい。
ドラマを見終わった後、退屈な自分の生活にほとほと嫌気がさしてしまうほどに、
「同窓会」は現実を忘れさせてくれる最高のエンターテイメントなのである。

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