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斬り捨て御免塾!!

☆エンタメ毒舌レビュー集☆

SAYURI

2005年12月22日 | 映画

観てきました『SAYURI』。(原題『Memoirs of a Geisha』)
普段はあまり劇場まで足を運ぶことのないわたくしですが、日本が舞台になっているハリウッド映画で、
しかも主役がチャン・ツィイーとくれば、劇場まで観にいかないわけにはまいりません。



太平洋戦争の足音が忍び寄る京都の花街を舞台に、芸者たちの哀しい生き様を描いたこの映画。
外国映画(特にハリウッド映画)が描く日本の風景が正確であっためしはないというセオリー通りに、
この『SAYURI』で描かれた日本も、微妙に実際の日本とは違ったエキゾチックジャパン。
戦前の京都というよりも、映画『ブレードランナー』で描かれた近未来都市内のリトル東京といった趣。

誤った日本観をそのまんま確信犯的に映像化する無知なハリウッド関係者に怒りを覚えるのは、日本人として当然の心理。
しかし、一番大切なのは日本の外面を正しく描写することではなく、日本人の魂を正しく描写することなのです!!
ですからわたくしは、「これって京都じゃなくて香港の貧民窟じゃん!!」などとイチイチ目くじら立てるような無粋な真似は
いたしません。

 

とは言え。
日本人の美意識の体現者である芸者の生き様を、『SAYURI』が寸分の狂いもなく正確に表現できているのかと問われれば、
正直、「微妙~」と言わざるを得ない部分もなきにしもあらず。
この映画に出てくる女性たちは「芸者」というよりもむしろ、「花魁」といった方が正しいような気が・・・・。
それほどまでに、出てくる芸者のテンションは高い。

いっそ
「京都の花街」を舞台にするのではなく、「江戸の吉原」を舞台にしたハリウッド版『吉原炎上』
してくれたほうが、個人的には楽しめたように思うのです。

劇場版 吉原炎上DSTD-2128 


吉原炎上

吉原の遊郭に売られてきた貧しい女たちが、哀しい運命に
人生を翻弄されながらも逞しく生きる様を豪華絢爛な映像で
描いた壮大なドラマ。

ビッチを演じさせたら天下一品な
かたせ梨乃、西川峰子、藤真利子、二宮さよ子、名取裕子などが
血ヘドを吐きながら迫真の演技を披露している傑作。


【商品情報】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00006F23W/249-8786804-6069925



さてさて。
『SAYURI』の見所は、なんといっても豪華な女優たちの競演!!
これにつきると思います。

世界を代表するアジアンビューティー、チャン・ツッイーはもちろんのこと、


中国映画界きっての実力派コン・リー


マレーシア生まれの香港スターミシェル・ヨー

日本からは個性派女優として大人気の桃井かおり


そして今、最もハリウッド女優に近い日本人、工藤夕貴


東洋を代表する女優たちが一堂に会するなんて夢のようではありませんか。彼女たちの火花を散らす演技合戦は、
見ていて本当にワクワクしました。もうストーリーなんか、どーでもいいんです。



遊女にしか見えないコン・リーのアッパレな崩れ方も良かったし、
映画『グリーン・デスティニー』に引き続いて姉妹の契りを結んだチャン・ツッイーミシェル・ヨーにも興奮。
いつ二人が剣を構えて戦い出すのかとハラハラ。(戦いません)

英語のセリフを話しているにも係わらず相変わらず「かおり」ワールドを全身から醸し出していた桃井かおりの存在感も凄い。
コン・リーやミシェル・ヨーと互角以上に張り合ってました!!

そして工藤夕貴。「カボチャ」というニックネームの不細工な芸者を、ハリウッド仕込みの貫禄のセリフ回しで演じきってました。
「東洋の神秘」が通用しないブスな夕貴が、ちょっと気の毒。
かつては『ヒマラヤ杉に降る雪』というハリウッド映画で主演を務め、殺人事件の容疑者にしてイーサン・ホークに長年慕われ
続ける神秘の美女という難しい役どころを演じていた夕貴。やはり役に無理があったのか、その後ハリウッド映画に出演する
機会に恵まれませんでしたが、『SAYURI』をきっかけにまた、ハリウッド映画関係者の目にとまるといいですネ。

それと、SAYURIの少女時代を演じていた大後寿々花もとても素晴らしい。
将来の大女優を期待させる、とても雰囲気のある瑞々しいオーラのある女優さんではないでしょうか。




『SAYURI』には他にも、チョイ役で「舞の海」が出てました。

ストーリーとはあまり関係のない、大相撲のシーンで出ていたのですが、舞の海がスクリーンに映った瞬間、
観客はどよめいてました。現役を引退したものの、ハリウッド映画の中で元気に相撲をとるシーンを見られたことで、
わたくしを含めた観客の皆さんは大盛り上がり。

このように、ハリウッド映画の中に思わぬを有名日本人を発見して盛り上がってしまったという経験が、かつてありました。

昔、『アルマゲドン』という映画を劇場で見ていたとき。なぜか唐突に「松田聖子」が出てきて、観客が大きくどよめいた
ことがございます。間の悪いことにそのシーンは、ニューヨークに大量の隕石が降り注いで街を破壊するという
緊迫の場面であり、しかも松田聖子は呑気にタクシーの中で「早くショッピングしたいわ!!」と叫んでいたのです。
「なぜ松田聖子が、こんなところに!!!」
観客の動揺がピークに達した瞬間、松田聖子は落ちてきた隕石に潰されて無事にスクリーンから消えていなくなりましたが。

あの時すべての観客が共有していた白けきった気まずい空気感・・・。今思い出しても居たたまれません。
もう二度と松田聖子はハリウッド映画には顔を出さないでもらいたいと、今更ながら思います。


話しがだいぶそれてしまいましたが、『SAYURI』は豪華出演陣を楽しむという意味では、とてもよく出来た映画です。
ストーリー自体は、それほど面白いという感じではなく、泣けるラブストーリーを期待すると失望するかもしれません。
しかし、映像は美しい。そして俳優たちの動きが絵のように決まっています。

「異国情緒あふれる耽美な京都」を堪能するには最高の映画だと思いますので、恋人同士、または夫婦で『SAYURI』を
観に行って、郷ひろみの如くエキゾチックジャパーーン体験してみてはいかがでしょうか☆

【関連リンク】
SAYURI 公式サイト


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