こども家族早期発達支援学会会長、明星大学教授の星山麻木先生に
「なぜ支援が必要なのか?特別支援教育は人間理解の教育」というテーマで
2時間にわたり伺った(ACT講習会)。
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集団行動が苦手な発達障害の子供は日本では小学一年生で9.8%、
小学1年生から中学3年生までをあわせると、6.5%いる。
ストックホルムで行われた国際会議では
5歳児の13.6%と言われている。
一見、日本は少ないように見えるが、
実は研究が遅れている国ほど、見落としが多く、
日本ではこの分野の研究は遅れている。
どういうタイプの発達障害か、診断がつくと、どういう支援が必要かわかり、本人も周りも楽になる。
●ASD(キチントさんタイプ)規則性を愛するキチントさん。
人の気持ちがわからない。
知能指数、言語能力が高い場合もある。
支援のポイント
①予定は早めに伝える。
②情報はミエル化しておく。
③才能を伸ばし、個性とする。
④疲れやすいので、充分休ませる。
外交的タイプであるとテレビで活躍する「さかな君」のような研究者タイプとなる。
場合によっては「うざい」と言われ虐められる。
内向的タイプは登校拒否になりやすい。
●AD/HD(注意欠如/多動)動き回る人情家。
支援のポイント①動く。②区切る。③ほめる。
ドラえもんの「のびた君」、多くの芸人さん、黒柳徹子さん。
●HD(多動/衝動)キレやすい。ドラえもんの「ジャイアン」。
●MR(知的障害または学習障害)穏やか、ゆっくりなタイプ。
ダウン症児など。
●愛着障害 親の愛情不足やネグレクトにより心に傷。
いつも寂しい。他者とのかかわり方がわからない。
適切な支援(思いやり)の下、自尊の心を育てられれば、障害者の持つ違いは個性となり、社会の豊かさにつながっていく。
異年齢の子供たちで遊ぶこと、多世代の人々に接することで、違いを受け入れやすくなる。現代社会ではそういう場を大人が設定する必要性が叫ばれてきている。そういう視点から子供食堂や縁側運動などの意味が大きい。
人間の身体は水でできている。身体を回したり、ひねったり、揺らしたりする抗重力運動は大人にも子供にも不可欠であるが、身体の使い方が不器用な障害児にとっては特に重要である。自然の中で遊ぶことで感覚を刺激してリフレッシュさせる。
サポートの要件とは①違いを強みに変える配慮②サポートネット(人のつながり)③コミュニティ(地域力)④権利の尊重⑤学びのスペースつくり(子供食堂や縁側など)。
相談をお受けるときは、まずお子さんの様子を拝見し、次に保護者にお会いする。保護者は特殊なフィルターを通して自分の子供を見ていることが多いので、この順がいい。
最近、インクルーシブ教育の必要性が言われるようになってきている。障害児教育の歴史を考えると、養護学級がない時代は、障害児は就学猶予として扱われ、事実上の就学拒否のあつかいを受けていた。父兄たちの要望が受け入れられ、養護学級ができた。養護学級はこの時代おける大きな成果であった。しかし、現状の障害児を隔離した状態の教育の形は、一般児童の障害児に対する理解を阻害し、多様性を受け入れる社会に逆行する結果となってきている。一般児童生徒と障害児が一緒学ぶインクルーシブ教育を行うには、一人一人に合った支援が必要となってくる。養護教育の教諭の中にも発達障害に対する知識を持つ人は少なく、たいへんな人材不足である。発達障害的な要素は程度の差はあれ、全ての人が持っている。指導者の中にも発達障害の人はいる。その色眼鏡で生徒を見れいることが多い。発達障害について学ぶことで、その色眼鏡に気づき眼鏡を外すことがたいせつである。
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星木先生曰く「大学で40時間かけて行う講義をわずか20時間で話したわけですが。皆さんの理解が深く驚いている」とのこと。たいへん刺激的な時間だった。これは私の備忘録なんで、読みにくいでしょう?ごめんね。