「ドライアイ」
最近よく聞く言葉です。
ドライアイ=目が乾燥する
この定義は基本的には正解です。
しかしドライアイの要因、症状には様々なパターンがあります。
◎ドライアイの症状◎
目が疲れる、目が乾いた感じがする、目に不快感がある、目が重い等、様々です。
涙液は眼球表面を覆い、目を守るバリアとして活躍しています。
涙液が減少したり成分が変化するとバリアの効果が低下してしまい、角膜や結膜が乾燥し、最終的には眼球表面に傷がついてしまいます。
目の乾燥や眼球表面の傷、これが上記の訴えにつながります。
◎涙(涙液)の構造◎
①油層
まぶたの縁にあるマイボーム線から分泌されている油性の液体。
油層の下にある水層の蒸発を防いでいます。
②水層
涙液の大半(98%)を占める水層、まぶたの裏にある涙腺で作られます。
涙液は眼球表面を潤します。
角結膜に栄養を届け、細菌の進入を防ぐ役割を果たしたり、粘膜に出来た傷を治す働きをしています。水層は油層とムチン層に挟まれる事で、眼球表面を常に覆う事が出来るのです。
③ムチン層
角結膜に1番近い部分、ムチンは角結膜から分泌される粘液です。
ムチン層がベースにある為、水層は表面張力などの影響を受けません。
ムチン層は涙液を隙間無く眼球表面全体に広げる重要な役割を果たしています。
※油層、水層、ムチン層の内、1つでも分泌が低下してしまうとドライアイに進行します。
◎ドライアイの要因について◎
①空気の乾燥
空気が乾燥していると、目の表面から涙液が蒸発しやすく(エアコン等)なります。
②まばたきが少ない
まばたきは通常3秒に1回、これが読書時には6秒に1回、PC使用時には15秒に1回程に低下します。まばたきは目に涙液を供給します、まばたきの回数が低下した状態で目を酷使してしまうVDT症候群(visual display terminal)と言います。
③コンタクトレンズの装用
コンタクトレンズが涙液を弾く為、目が乾燥してしまいます。
④シェーグレン症候群
中年女性に多い病気です。
粘膜(目、口、鼻)が乾燥し、強いドライアイを引きを越します。
⑤マイボーム線機能不全
マイボーム線が何らかの原因で詰まってしまい、油層の形成が不完全になります。
油層の形成が低下すると涙液の蒸発を防ぐことが出来ません。
⑥アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎により、結膜のムチン分泌が低下し、ドライアイを発症します。
⑦レーシック(LASIK)術後(角膜矯正手術)
近年流行の角膜矯正手術です。
レーシックはフラップを作製する時、角膜知覚神経を1度断裂します。
その為、術後は誰でも軽いドライアイになりますが、角膜知覚神経は時間と共に再生します。
しかし、中には再生が不完全な為かドライアイになってしまう場合があります。
◎ドライアイの治療方法◎
①人工涙液(防腐剤フリー、補助的効果) 点眼名 ソフトサンティア、マイティア等
涙液の水層部分を補充します。
※市販目薬(防腐剤入り)は避けます、防腐剤は目の細胞に対しても毒となり働きます。
※角膜表面に傷がある場合(ドライアイ、他の疾患含む)防腐剤の影響を受けやすくなります。
②ヒアルロン酸ナトリウム点眼薬 点眼名 ヒアレイン
人工涙液にヒアルロン酸を配合した点眼薬です。
ヒアルロン酸は角膜上の涙液を3時間程保ち、保水効果により涙液層が安定します。
又、ヒアルロン酸ナトリウムは角膜上皮の傷を治す効果があります。
③涙点プラグ
人工涙液でドライアイが改善されない時に使用し、涙点閉鎖と言う方法を使います。
涙液は目の表面から蒸発する物と、鼻涙管を通じて鼻に抜けていく物の2種類があります。
この鼻涙管に涙点プラグを差込み、涙液が鼻に抜けていくのを防止します。
涙液が鼻涙管に流出せず、角結膜表面を涙液が覆いドライアイを治療します。
次回はドライアイの最新治療方法についてです。