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SPECTACLE DIARY

かわいいお客様や今日あった症例などを紹介しています

硝子体剥離

2010年04月22日 09時52分09秒 | 医療用眼鏡

硝子体剥離術後(ガス挿入)のお客様。

本来はIOL(眼内レンズ)を硝子体手術と同時に行いますが、このお客様は無水晶体眼です。

度数の見方

完全矯正値

R(右)S+9.00 C-5.50 AX170

L(左)S+11.75

眼鏡処方箋値

R(右)S+7.50 C+3.00 AX75

L(左)S+11.75

眼鏡処方箋値×SCL (ソフトコンタクトレンズ装用時の眼鏡処方)

R(右)S+1.50 C-5.50 AX170

L(左)Plane(±0.00)

矯正視力は良好で両眼共に(1.5)です。

但し、無水晶体眼なので調節機能はありません。

  

硝子体剥離とは?

硝子体とは目の中にあるゼリー状の物体です。

硝子体は通常網膜と癒着しています。

硝子体剥離とは網膜と硝子体が虚脱する事により、硝子体が網膜から外れていく事を意味します。

硝子体が網膜から外れる際、網膜が硝子体に牽引され網膜裂孔が出来ます。

この網膜裂孔(網膜に出来た穴)から硝子体が網膜下に潜り込み網膜剥離に至ります。

  

症状 飛蚊症、光視症、視力低下、視野欠損

治療方法 光凝固術、網膜復位術、硝子体手術

  

次回は網膜、硝子体剥離の治療方法についてお話しします。


調光レンズ トランジションズ

2010年04月16日 14時22分23秒 | 医療用眼鏡

調光レンズとは紫外線によりレンズに組み込まれている調光素材が化学反応を起こし、レンズ自体の色が変化する機能レンズです。

無色レンズから様々な色へと変化します。

サングラスとメガネが一緒になったものとお考え頂くと分かりやすいと思います。

夜間にはほとんど色が抜けるため、夜間運転にもお使いいただけます。

Dscf1012

                ↓

Dscf1016

今回はHOYA社の「FD1.60サンテックNGY」を使用しました。

ビジョンケアと言う視点から考えれば素晴らしいレンズだと思います。

紫外線や可視光線(短波長)は目に有害とされています。

紫外線は白内障、可視光線(短波長)は翼状片、網膜に影響があると考えられています。

HOYA社の調光レンズは可視光線(短波長)をカットする効果が実証されています、ビジョンケアには最適なレンズではないでしょうか?

調光レンズ(トランジションズ)は常に視覚のクオリティを保つので、濃度が濃くなっても自分では気づかないくらい違和感がありません。

また濃度変化も早いので、常用レンズとして最適です。日常はもちろん、ゴルフなどのアウトドアスポーツなど、あらゆるシーンでお使いいただけます。


角膜移植

2010年04月05日 10時07分02秒 | 医療用眼鏡

先日の続き、角膜移植について。

  

角膜とは?

目の最も前のいわゆる黒目の前にある、透明な膜です。

厚さは中央部で約0.5mm、周辺部の白目に近いところで0.7mm程度で、直径は11~12mmです。

目に入った光の焦点を合わせるための屈折は、水晶体(レンズ)で行っていると思われがちですが、目の屈折力の多くはこの角膜の部分で行われています。

したがって、ごくわずかな変形や混濁が視力には非常に大きく影響してしまいます。

  

角膜の構造は?

角膜は約0.5mmの透明な膜ですが、その構造は大きく5層に分けられます。

眼の表面から、角膜上皮細胞層:数層の角膜上皮細胞からできている層で、その表面は涙液により保護されています。

①上皮細胞 細菌などの付着から眼を守っています。

②ボーマン(Bowman)膜 角膜上皮細胞層の基底膜となっています。

③角膜実質層 角膜全体のほぼ95%は、角膜実質層で構築されていて、ほとんどが繊維で形成されていてところどころに実質細胞があります。

④デスメ(Descemet)膜 角膜の構造の保持に重要な膜で、実質層の内側に位置しています。

⑤角膜内皮細胞層 角膜の最も内側にある、一層の細胞層です。蜂の巣の様な六角形構造をしているのが理想です。

この細胞はポンプの役割をしていて、眼の中から角膜にしみてくる水分を、再度、眼の中に戻してあげる役割をします。

しかし、内皮細胞の機能が衰えてくると、角膜中に水分が溜まる状態になります。

この病気を水疱性角膜症と呼びますが、現在、我が国で角膜移植を受ける患者さんの中で最も多い疾患です。

  

角膜の病気は?

①外因的疾患によるもの、ウイルスの感染や細菌の感染等により透明性を失ってしまうもの。

②遺伝的疾患によるもの、角膜の変成や変形等で、原因が遺伝的なもの。

③外傷によるもの、酸やアルカリによる外傷、火傷、眼を傷つけるような事故、薬物の副作用によるもの。

  

角膜移植とは?

角膜移植とは、角膜が外傷や感染症、遺伝的疾患などにより透明性を失ったり、変成や変形により目のフィルムに当たる網膜に、像を結ぶことができなくなった場合に行われる手術のことです。

大きく2通りの方法があります。

変成や混濁している箇所が浅い場合には、患者さんの角膜の表層を交換する、表層角膜移植手術を行います。

しかし、全体が濁ったり変性を起こしている場合には、全体を入れ替える全層角膜移植手術を行う必要があります。

又、最近では歯根部利用人工角膜手術や人工角膜など新しい治療方法も出て来ています。


網膜剥離 + 角膜移植

2010年03月31日 10時22分05秒 | 医療用眼鏡

網膜剥離、L(左)角膜移植もされているお客様。

完全矯正値

R(右)S-1.00 C-2.75 AX110

L(左)S+5.00

眼鏡処方箋値

R(右)S+3.00 → バランスレンズ

L(左)S+5.00

度数の見方

本来、角膜移植をしている左目には角膜移植後の乱視が入るはずです。

しかし、レフケラト(オートレフ、角膜曲率半径)共に計測不可の為、矯正が難しいのが現状です。

矯正視力も両眼(0.01)と出にくいため、ルーペや拡大読書器が必須になります。

難しい症例です、弱視鏡を使用の予定でしたが、本人の強い希望(外見上の問題)により眼鏡とルーペの組み合わせになりました。

   

網膜剥離とは?

①裂孔原性網膜剥離

網膜剥離の中で最も多くみられるもので、網膜に孔(網膜裂孔・網膜円孔)が開いてしまい、目の中にある水(液化硝子体)がその孔を通って網膜の下に入り込むことで発生します。

一般に、はじめのうちは剥離した網膜の範囲は小さく、時間とともにだんだんこの範囲が拡大するというような経過をたどりますが、孔が大きいと一気に進みます。

剥離が進行すればすべての網膜が剥がれてしまいます。網膜に孔が開く原因として、老化・網膜の萎縮・外傷などがあります。

剥がれた網膜は光の刺激を脳に伝えることができません。

また、剥がれた網膜には栄養が十分行き渡らなくなるため、網膜剥離の状態が長く続くと徐々に網膜の働きが低下してしまいます。

そうなると、たとえ手術によって網膜が元の位置に戻せたとしても、見え方の回復が悪いといった後遺症を残すことがあります。

遠視・正視よりも近視、特に強度近視でより多くみられ、どの年齢でも網膜剥離になる可能性がありますが20代と50代の人に多いといわれています。

②非裂孔原性網膜剥離

牽引性網膜剥離と滲出性網膜剥離があります。

裂孔原性網膜剥離と同様に網膜剥離が起きた状態ですが、原因、経過はさまざまであり裂孔原性網膜剥離とは大きく異なります。

牽引性網膜剥離は眼内に形成された増殖膜あるいは硝子体などが網膜を牽引することにより網膜が剥離して起きます。重症の糖尿病網膜症などでみられます。

滲出性網膜剥離は、網膜内あるいは網膜色素上皮側から何らかの原因で滲出液が溢れてきたために網膜が剥離してしまった状態です。

ぶどう膜炎などでみられます。

   

症状 飛蚊症、光視症、視力低下、視野欠損

治療方法 光凝固術、網膜復位術、硝子体手術

  

次回は角膜移植についてお話しします。


円錐角膜

2010年02月24日 16時42分33秒 | 医療用眼鏡

円錐角膜のお客様。

完全矯正値

R(右)S-1.50 C-2.50 AX130

L(左)S+4.50 C-9.50 AX150

眼鏡処方箋値

R(右)S-1.50 C-2.50 AX130

L(左)S-1.50 → バランスレンズ

度数の見方

近々、ハードコンタクトレンズ(HCL)を製作されるそうです。

ハードコンタクトレンズは異物感が強いため、予備に眼鏡を使用します。

円錐角膜に気付かれたのは6年前、その後現在に至るまで放置されていました。

円錐角膜は主に、思春期に発症します。

男女別で見てみると 男3:女1 の割合です。

 

治療方法

ハードコンタクトレンズ(軽度~中度)→角膜移植(重度)

最近では伝導性角膜形成術(CK)も行われています。

 

円錐角膜は進行すると角膜不正乱視を伴います。

眼鏡では不正乱視は矯正出来ないため、進行すれば眼鏡矯正に限界が生じます。

お客様のQOLを少しでも改善出来る様、アドバイスさせて頂きたいと思います。

詳しくはこちら(円錐角膜)をご覧下さい。