Nikkoh の 徒然日記

ゲイ(=男性同性愛者)の Nikkoh が、日々の雑感やまじめなこと、少し性的なことなどを、そこはかとなく書きつくります

2つのニュース ~アメリカとロシア~

2013-08-22 10:57:05 | ゲイ(同性愛)のことIII (ニュースとか)
ここ数日のうちに見かけた、《 同性愛者 》のフレーズの入った新聞記事から、アメリカとロシアのことを取り上げた記事を紹介してみようと思います。

[1] アメリカにおける同性愛者への寛容

米、広がる同性愛者寛容の姿勢 ボーイスカウト、大手企業も(産経新聞) - goo ニュース

【ニューヨーク=黒沢潤】同性婚を事実上容認する最高裁判決が出た米国で、同性愛者に寛容な風潮が強まりつつある。米ボーイスカウト連盟が同性愛者の少年の入隊を認める方針を決めたほか、大手企業も同性愛者への権利付与を支持する姿勢を次々と打ち出している。
英国が発祥のボーイスカウト連盟は米国でも100年以上の歴史を持ち、約370万人(うち青少年約270万人)の会員を抱える。連盟は最近開催した総会で、同性愛者の少年の入隊を認めることを約6割の賛成多数で決定、来年1月から正式に受け入れる方針だ。
総会では、米北部や東部の参加者に賛成者が多かったものの、南部の“伝統重視”のキリスト教保守派メンバーらが反対を表明した。フロリダ州の会員(弁護士)は「連盟の新方針は(同性愛者以外の)子供たちへの影響を全く考慮していない。私は今日限りで、ボーイスカウトの服を脱ぐ」と宣言した。
連盟が方針を転換したのは、米社会で同性愛者への理解が深まっていることに加え、連盟の会員数が最盛期(1972年)に比べて半数程度に落ち込み、組織の立て直しを迫られたからでもある。昨年の米大統領選の際、オバマ、ロムニー両候補も連盟に方針転換を促していた。
大手企業でも姿勢に変化がみられる。6月の時点で、同性カップルへの権利付与禁止に異議を唱える企業は200社を超えた。金融大手ゴールドマン・サックス幹部は「社員がゲイやレズビアンという理由だけで解雇されることがあってはならない」と強調。大手コーヒーチェーン・スターバックス幹部も「『平等』はわが社が大切にする価値観だ」と述べている。
一方、西部カリフォルニア州では今月12日、心と体の性が一致しない性同一性障害を抱える小中学生を対象に、学校施設を自分の心の性別通り使わせるよう学校側に義務付ける州法が全米で初めて成立した。外見上は女性に見えても、自分が男性であると認識していれば男性用ロッカールームを使用でき、野球やサッカーなどの男性チームに所属できるようになる。
東部マサチューセッツ、コネティカット両州は州法での規定はないものの、同様の施策を行っている。カリフォルニア州での州法成立により、性差の問題に悩む人々への寛容な姿勢は米国内でさらに強まるとみられる。


この記事を読んだ印象として、1人の同性愛者としては、やはり嬉しかったです。
とはいえ、このような社会の《 空気 》が、同性愛者の存在を快く思えない人々に対して過度に抑圧的にはたらくようになれば、それはそれで問題なのではないかとも危惧します。

同性愛者が不当に差別されたり、憎悪犯罪(ヘイトクライム)の対象とされたりすることは、アメリカでは横行してきました。この点は日本とは大きく違うと思います。
(日本の場合はタブー視されている面が強く、良識ある人々は「見ざる言わざる」を貫き、そうでなければネタにして笑いの対象としているような感じがします。後者は問題とも言えそうですが、差別というよりは、嘲笑や蔑視に近そうですよね)
そのような国で、同性愛者が社会の中で恐怖を感じずに生きていけるようになることは素晴らしいことです。
ただ、それが、同性愛者に対して生理的な嫌悪を覚える人たちにとっては、もしかしたら計り知れない苦痛かもしれないということは認識しておいた方がいいと思うのです。
嫌悪感情は他者がとやかく言えるものでもできるものでもありませんから。制度上の差別を無くしたり、実体的な暴力・暴言を無くしたりすることはできても、他者の内面にまで土足で立ち入ることはできませんし、してはならないことだといえそうです。
(制度上の差別は憲法14条で規定する平等権の侵害ですし、実体的な暴力・暴言は暴行罪や侮辱罪や名誉毀損罪などに該当しますよね。一方、各人の内面の好悪感情にまで踏み込むことは、思想・良心の自由の侵害に該当しそうです)

うまくまとまりませんが、同性愛者への寛容が広がりを見せていることは同性愛者の1人としてはやはり嬉しいことです。ただ、それがある種の人々にとっての苦痛や恐怖となりうるということからも目を背けてはいけないという思いもあります。

[2] ロシアにおける同性愛者の人権をめぐる問題

同性愛者に人権なし? ロシアの実態 (産経新聞) - goo ニュース

同性愛:露で宣伝禁止法 ソチ五輪開催へ波紋 選手ら反発(毎日新聞)

これらの記事をお読みいただけば分かるとおり、ロシアにおいては、今年(2013年)6月に、「同性愛の宣伝を禁止する法律」が成立したそうです。
この法律では、同性愛者の権利主張など宣伝行為を禁じていて、もちろん罰則規定もあるようです。

確かに、権利主張の中には過激なものがあり、僕からしたら《 行き過ぎ 》に感じるものもあります。
ただ、だからといって、法律で禁じて取り締まると言うやり方は、おかしいと言わざるを得ません。
このような法律があっては、自分の意見すらも述べることができなくなってしまいます。仮にも民主的な国家において、意見の表明すらもはばかられるというようなことがあっていいのでしょうか。

「未成年への同性愛の宣伝を禁ずる」 とありますが、どういう宣伝なのかにもよるでしょう。
未成年者に対してことさらに性的な感情を刺激し、未熟なままでの性的関係を持たせるよう仕向けるようなことについては、僕も懐疑的です。子どもには発達段階というものがあるので、それに合わせていく必要があるでしょう。性についての知識の前に、道徳性や倫理観がきちんと育っていなければ、危険ですらあるはずです。そして、このことは、異性愛だろうが同性愛だろうが同じだと思うわけです。
一方、同性愛者として生まれてくる子どもは一定の割合で存在します。この子たちが自己受容を図り、周りの子たちからも受容される中で、自己肯定感を高めていくためには、どうしても知識が必要でしょう。「世の中には同性愛というものがある」とか「同性愛者として生まれてくる人間が一定の割合で存在する」とかいった程度のことは、中高生に知らせておくことが有益だと思います。
ロシアの法律に則れば、前者も後者も一律に取り締まってしまうことになりそうです。ミソもクソも一緒くたにしてしまっていて、きわめて残念なことです。

また、「ロシアでは、同性愛の宣伝を禁ずる法律のほか、信仰心を侮辱する法律などが発効するなど、適用を間違えれば人権を抑圧しかねない法律が相次ぎ導入されている」 とあるとおり、個人の属性や思想・良心にまで介入して弾圧するような法律が続々と成立しているようです。
ロシアはどうなっていってしまうのでしょうか。なんだか危険な感じがします。

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