Nikkoh の 徒然日記

ゲイ(=男性同性愛者)の Nikkoh が、日々の雑感やまじめなこと、少し性的なことなどを、そこはかとなく書きつくります

NHKクローズアップ現代で 〈 男性問題 〉 が取り上げられる

2014-08-02 06:30:56 | 男性差別 I (概観・総論・横断的内容)
NHKの番組、クローズアップ現代 が、2014年7月31日(木)放送分で、〈 男性問題 〉を取り上げました。

男はつらいよ 2014
1000人“心の声”


男性の幸福度は、女性よりも低く、特に、妻が主婦の場合、幸福度の差が大きい―。
先月、国が発表した「平成26年版男女共同参画白書」。平成13年の発行以来初めて「男性」をテーマにした特集が組まれ、様々なデータをもとに男性の幸福度を分析している。
また、各国国民の意識を調べ比較している国際調査で、日本の男性の幸福度は先進国の中で低いレベルにある ことが明らかになっている。この調査でも際立っているのが「幸福度の男女差」。その差は、イラクやエジプトなど、男性が戦争や内戦で死と向き合う危険な状況にある国々よりも大きくなっている。
いま、なぜ日本の男性は生きづらさを抱えているのか。取材を進めて見えてきたのは、社会の急激な構造変化の中で、古くからある「求められる男性像」と「現実」とのギャップに苦悩する男性たちの姿 である。
番組では、男の生きづらさを描いて人気を呼ぶ「舞台」に引きよられる人々や、男性専用の悩み相談所に集う人々など、様々な現場をルポ。現代ニッポンで男の幸せとは何かを見つめていく。


放送内容全文を読むことも出来ます(公式サイト内)


マスキュリストとしては、興味津々の内容であったのですが、残念なことに僕は放送を見逃してしまいました。
でも、こうやって公式サイトに掲載して貰えると、たいへんありがたいですね。

この番組でも紹介されている、『平成26年版男女共同参画白書』についても、興味はありながら、まだ目を通せていません。
できるだけ早く読みたいなあとは思っています。
男性をテーマにした特集が組まれたことは、一つの大きな前進だと思いますし、喜ばしく思います。
(もちろん、〈 男女共同参画 〉を標榜しながら、13年間にわたって男性問題の特集が為されてこなかったわけですから、「今更か・・・」とか「ようやく・・・」という思いも当然あります)

ワレン・ファレル氏の名著『男性権力の神話――《男性差別》の可視化と撤廃のための学問』が、出版から約20年経った今年になってようやく邦訳されたのもあわせて、今年はマスキュリズムや男性運動に関わるうごきがたくさんあるなあと、改めて思います。

※ ワレン・ファレル氏は、アメリカの社会学者で、マスキュリズムの大御所のような人物です。
〈 女性学 〉の別称としての〈 男性学 〉ではなく、男性の被害者性や男性の苦しみなどにきちんと光を当て、そこからの解放を目指しておられます。
〈 ガラスの地下室 〉という語の生みの親でもあります。
ぜひ、『男性権力の神話――《男性差別》の可視化と撤廃のための学問』を手に取ってみてください。

男性権力の神話――《男性差別》の可視化と撤廃のための学問
ワレン・ファレル(著),久米 泰介(翻訳)
作品社


話をクローズアップ現代のことに戻すと、ゲストに伊藤公雄氏が呼ばれていますね。
彼の解説の内容については、ちょっと「うーん・・・」と思えてしまう部分がやはりあります。それは、著書を読んだときと同じですね。

例えば、伊藤さんは、

やっぱりこの40年くらい、1970年代から男女の関係とか、社会の在り方とか、家族の在り方とか、やっぱりすごく変化してきてるんですけども、なかなかやっぱり男性の側が、男はこうあるべきという意識から脱出できない。

とおっしゃっています。
これは決して間違ってはいないと思いますが、〈 男性の側が 〉というのがどうしても気になります。
〈 男はこうあるべき 〉という意識に縛られているのは、本当に男性側だけなのでしょうか。僕にはそうは思えません。
男性に対して、ジェンダーハラスメントを平然として憚らない女性は、確実に存在します。
パートナーには自分よりも高収入を求めるという異性愛女性も、相変わらず多いようです。
もし、〈 男はこうあるべき 〉という意識からの脱却を求めるのならば、男性側だけでなく、女性側の意識改革も必須であると、僕は思うのですが、どうでしょう。

伊藤さんの話からは、そこが全く欠落している印象を受けます。
なんだか、「全部男が悪いのであり女は悪くない」と、「男が自縄自縛に陥っているだけだ」と、「女は進んでいるのに男は遅れている」と、そういう風に読めてしまう(聞こえてしまう)のが非常に残念です。

女性解放にあたって、男性の側の意識改革も必須であったのと同じように、
男性解放にあたって、女性の側の意識改革も必須となるでしょう。

その辺り、もうお一方のゲストである、赤坂真理さんは、女性の側の問題にも言及しておられたようで、僕としては好感が持てました。
例えば、以下の如く。

1つ問題だなと思ったのは、女性が求める男性像というのがころころ変わる。
例えば、俗にいう草食男子という、すごく性とかに消極的で優しい男性というのは、優しい男性が求められてきて、男性がこう、10年とか20年とか10年単位でかけて頑張ってきて、なった結果だと思うんですよ。
なってみたら、お前たちは弱いとか。


ところで、〈 男性問題 〉などと一口で言っても、世代間の差異も大きそうです。
例えば、50代と20代では、生きてきた時代背景が全く異なります。
人はみな、時代という名のヒドゥン・カリキュラム(隠れたカリキュラム)に教育されているともいえるわけですから当然ともいえます。

1990年代以降、ジェンダーに関する社会の意識は飛躍的に変化しました。

現在36歳以下の世代(1978年4月2日以降に生まれた人)は、高校の家庭科を男女共修で学習した世代です。社会科の授業などでも、折に触れて、いわゆるフェミニズムの影響を受けた〈 男女平等教育 〉にふれて育ってきた世代です。
したがって、37歳以上の世代とは大きな違いが出てくることになります。

また、現在27歳以下の世代(1987年4月2日以降に生まれた人)は、男女共同参画社会基本法の施行後に中学校へ入学した世代です。
調べてみて知ったのですが、僕の学年が最初なんですね。
現在21歳以下の世代(1993年4月2日以降に生まれた人)は、男女共同参画社会基本法の施行後に小学校へ入学した世代です。

世代間の差異については、クローズアップ現代の放送の中では、赤坂真理さんが触れておられたようです。

今の、特に若い男性が育ってきたのは、優しさが善である世界であって、そこではコミュニケーションがうまい人がよい人であって、優しい人であって、求められる。
それも内化して、本来はコミュニケーションはそんな得意なほうではないです、男性は。
コミュニケーション下手であるにもかかわらず、それと社会性とか、経済性とかをどうしても両立させなければいけないと思ってしまうようなところが、現代的なつらさではないかと思いました。


さて、このブログでは、今後も男性の苦しみや男として生きることの〈 痛み 〉にフォーカスしていくつもりです。じっくりと考えを深めていきたいと思っています。
これまでの記事とあわせて、引き続きご愛読いただけましたら幸いです。

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