以前、僕と叙景詩 という記事を書きましたが、これはその付録です。
(2012年9月22日の記事にいまさら付録をつけるのですw)
今回は、夏ということで、『夏は来ぬ』について記事を書きます。
夏の訪れを歌い上げた曲で、5番まであります。ただ、1番が8小節で終わります。
(『冬げしき』は3番まで,『おぼろ月夜』は2番まででしたが、1番は16小節ありました)
作詞は佐々木信綱さん,作曲は小山作之助さんです。
作詞の佐々木さんは、万葉集の研究で有名な、古典が大好きな方だったようで、この『夏は来ぬ』の歌詞にも、随所に古典のエッセンスが散りばめられています。
リズムの整った、美しく秀逸な歌詞です。
とても格調高い内容のため、小学生が理解するには、『おぼろ月夜』や『冬げしき』以上に難しいのかもしれません。
また、学習指導要領において《 歌唱共通教材 》の指定もされていません。
戦後は、昭和30年代まで、主に小学校5年生向け教科書に収録されていたようですが、その後は長らく姿を消していたようです。
しかし、10年ほど前に復活を果たし、現在は小学校4年生向けの音楽教科書(教育出版版)に収録されています。
はたして、現代の小学4年生にこの歌詞が分かるのだろうか
1 卯の花の匂う 垣根に
時鳥(ほととぎす) 早も来 鳴きて
忍び音 もらす 夏は来ぬ
2 五月雨の注ぐ 山田に
早乙女が 裳裾濡らして
玉苗 植うる 夏は来ぬ
3 橘の薫る 軒端の
窓近く 蛍飛び交い
おこたり諌(いさ)むる 夏は来ぬ
4 楝散る 川辺の宿の
門遠く 水鶏(くいな)声して
夕月すずしき 夏は来ぬ
5 五月闇 蛍飛び交い
水鶏鳴き 卯の花咲きて
早苗植えわたす 夏は来ぬ
せっかくなので歌詞を順に見ていきましょうか。
(なお、こちらのサイト を参考にさせていただきました)
1番は『万葉集』をモチーフにしているようです。
卯の花+ホトトギス=夏到来 というのは万葉集の定番 とのことで、この曲の歌い出しの歌詞は、これを意識しているはずです。
さすが、万葉集の研究で有名な人物ですね。
2番は『栄華物語』がモチーフではないかと思われます。
『栄華物語』の「御裳着」巻に収録されている、
五月雨に 裳裾濡らして 植うる田を 君が千歳の みまくさにせむ
という和歌があり、夏は来ぬの2番と似ています。
それで、ここをモチーフにしたのだろうと考えられています。
3番は一番わかりやすいですよね。
卒業式の定番歌となっている『蛍の光』の歌い出し、《 蛍の光 窓の雪 》と同じで、蛍雪の功 をモチーフにしていると思われます。
4番は先ほどのリンク先によると確かな情報が無いそうです。何がモチーフになっているのか気になりますよね。
楝はセンダンという木で、初夏に淡紫色の五弁花を多数つけるのだそうです。
5番は……今までの内容をオールスター出場させています。
もうネタが尽きてしまったのでしょうか
五月闇 蛍飛び交い(←3番)
水鶏鳴き(←4番)
卯の花咲きて(←1番)
早苗植えわたす(←2番)
夏は来ぬ
実にてんやわんやですよね。
特に、蛍が飛び交う夜に早苗を植えわたしているというのは、「ん!?」となります。
こういうのって、明るいうちにするもののような気がしますよね。
『あわてんぼうのサンタクロース』 の5番が、1番から4番までの総集編みたいな感じになっているのですが、なんだかそれと近いものを感じます。
(個人的には、『夏は来ぬ』は4番までで終わってもよかったのではないかなあと思ってしまいます)
さて、これで、冬・春・夏と制覇しました。あとは秋を残すのみ。
というわけで、11月ごろに、『紅葉』の記事を書く予定です。
(2012年9月22日の記事にいまさら付録をつけるのですw)
今回は、夏ということで、『夏は来ぬ』について記事を書きます。
夏の訪れを歌い上げた曲で、5番まであります。ただ、1番が8小節で終わります。
(『冬げしき』は3番まで,『おぼろ月夜』は2番まででしたが、1番は16小節ありました)
作詞は佐々木信綱さん,作曲は小山作之助さんです。
作詞の佐々木さんは、万葉集の研究で有名な、古典が大好きな方だったようで、この『夏は来ぬ』の歌詞にも、随所に古典のエッセンスが散りばめられています。
リズムの整った、美しく秀逸な歌詞です。
とても格調高い内容のため、小学生が理解するには、『おぼろ月夜』や『冬げしき』以上に難しいのかもしれません。
また、学習指導要領において《 歌唱共通教材 》の指定もされていません。
戦後は、昭和30年代まで、主に小学校5年生向け教科書に収録されていたようですが、その後は長らく姿を消していたようです。
しかし、10年ほど前に復活を果たし、現在は小学校4年生向けの音楽教科書(教育出版版)に収録されています。
はたして、現代の小学4年生にこの歌詞が分かるのだろうか
1 卯の花の匂う 垣根に
時鳥(ほととぎす) 早も来 鳴きて
忍び音 もらす 夏は来ぬ
2 五月雨の注ぐ 山田に
早乙女が 裳裾濡らして
玉苗 植うる 夏は来ぬ
3 橘の薫る 軒端の
窓近く 蛍飛び交い
おこたり諌(いさ)むる 夏は来ぬ
4 楝散る 川辺の宿の
門遠く 水鶏(くいな)声して
夕月すずしき 夏は来ぬ
5 五月闇 蛍飛び交い
水鶏鳴き 卯の花咲きて
早苗植えわたす 夏は来ぬ
せっかくなので歌詞を順に見ていきましょうか。
(なお、こちらのサイト を参考にさせていただきました)
1番は『万葉集』をモチーフにしているようです。
卯の花+ホトトギス=夏到来 というのは万葉集の定番 とのことで、この曲の歌い出しの歌詞は、これを意識しているはずです。
さすが、万葉集の研究で有名な人物ですね。
2番は『栄華物語』がモチーフではないかと思われます。
『栄華物語』の「御裳着」巻に収録されている、
五月雨に 裳裾濡らして 植うる田を 君が千歳の みまくさにせむ
という和歌があり、夏は来ぬの2番と似ています。
それで、ここをモチーフにしたのだろうと考えられています。
3番は一番わかりやすいですよね。
卒業式の定番歌となっている『蛍の光』の歌い出し、《 蛍の光 窓の雪 》と同じで、蛍雪の功 をモチーフにしていると思われます。
4番は先ほどのリンク先によると確かな情報が無いそうです。何がモチーフになっているのか気になりますよね。
楝はセンダンという木で、初夏に淡紫色の五弁花を多数つけるのだそうです。
5番は……今までの内容をオールスター出場させています。
もうネタが尽きてしまったのでしょうか
五月闇 蛍飛び交い(←3番)
水鶏鳴き(←4番)
卯の花咲きて(←1番)
早苗植えわたす(←2番)
夏は来ぬ
実にてんやわんやですよね。
特に、蛍が飛び交う夜に早苗を植えわたしているというのは、「ん!?」となります。
こういうのって、明るいうちにするもののような気がしますよね。
『あわてんぼうのサンタクロース』 の5番が、1番から4番までの総集編みたいな感じになっているのですが、なんだかそれと近いものを感じます。
(個人的には、『夏は来ぬ』は4番までで終わってもよかったのではないかなあと思ってしまいます)
さて、これで、冬・春・夏と制覇しました。あとは秋を残すのみ。
というわけで、11月ごろに、『紅葉』の記事を書く予定です。