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相談料・着手金無料 新潟の弁護士による交通事故ブログ(新潟県の交通事故) 

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交通事故を原因とした自殺

2016-04-30 11:40:59 | 死亡事故

 福岡地方裁判所平成22年2月16日判決は、交通事故で重傷を負った被害者が自殺をした事案について、交通事故と自殺との因果関係を認め、賠償を認めています。

 被害者は、事故により左大腿骨顆上開放骨折等の傷害を負い、数度の手術と3年以上の治療にも関わらず左ひざ関節形態の著しい変動や痛みが残っていました。日常生活に著しい支障も生じていました。そして、祖母には「こんな体になって、生きていてどうする。死ぬよ」との発言を行い、遺言書には「こんな体もこんな性格も自分が一番キライになった」と書かれていました。事故以外に自殺の原因は見当たりませんでした。以上の状況から、裁判所は、自殺と事故との因果関係を認めています。  

 この判決は、精神障害の認定なしに事故と自殺との因果関係を認めています。事故のためにうつ病などのなり、その希死念慮のため自殺した場合には事故と自殺との因果関係は比較的容易に認めることができます。しかし、精神障がいがない場合にはそう簡単ではありません。この事案の場合には、遺言書などの記載が大きな意味を持ったとおもわれます。  

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肺炎による死亡と交通事故との因果関係

2016-04-20 09:50:42 | 死亡事故

 大阪地裁平成23年11月25日判決は、交通事故にあった高齢者が肺炎にり患し死亡した事案について、交通事故と死亡との因果関係を認めました。

 事故は平成19年12月30日です。被害者は事故直後から寝たきりで、回復しないまま、病院で肺炎を原因として死亡しました。亡くなったのは平成20年8月31日です。事故から8ケ月後でした。

 被害者は平成20年1月10日の時点で既に肺炎にり患しました。肺炎はその後も繰り返し発生しました。現認は嚥下機能の低下による誤嚥と考えられます。寝たきりのために嚥下機能が低下したとされています。

 以上の経過を踏まえ、裁判所は、事故と肺炎との因果関係を認めたのです。

 寝たきりにより誤嚥が発生しやすい状況だったことが基礎にあるとしても、事故から間がない時点で肺炎が発生していることがかなり有力な原因となっていると思われます。

 肺炎と交通事故の因果関係を判断する際には丁寧に症状の経過を追っていく必要があるということでしょう。

 

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年金生活者死亡の場合の生活費控除割合について

2016-03-04 18:15:01 | 死亡事故

 年金生活者が死亡した場合、年金給付を受けられなくなったという逸失利益について遺族が賠償請求をすることができる可能性があります。

 人が死亡して、遺族が逸失利益の賠償請求をする場合、一般的に、生活費控除というものがされます。これは生きていれば生活費がかかるものの、死んだ場合にはかからないので、その分を精算するものです。

 赤本によると、一家の支柱で被扶養者1人の場合40パーセント、被扶養者2人以上の場合30パーセント、女性の場合30パーセント、男性の場合50パーセントとされています(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部「民事交通事故訴訟 損害賠償算定基準 上巻 2015」150ページ以下)。

 この点、日弁連交通事故相談センター「交通事故相談ニュースNO36」所収の丸石拓也弁護士の論文「年金逸失利益の生活費控除について」が年金生活者が死亡した場合の生活費控除について触れており、参考になるので紹介します。

 同論文によると、年金生活者の死亡の場合、生活費控除率は30~60パーセント、50または60パーセントが多いとのことです。これは一般の率よりかなり高いと言えます。

 同論文では、稼働収入、年金収入、同居親族の人数・扶養関係等が考慮要素として指摘されていますが、年金生活者の死亡の場合にはこれらの要素を適切に主張し、あまり高い生活費控除率とならないようにすることが肝要と言えます。

 

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内縁の夫が交通事故死亡した場合の損害賠償

2015-12-27 18:58:33 | 死亡事故

 夫婦のどちらかが交通事故で死亡した場合、他方は損害賠償請求権を相続し、かつ、固有の慰謝料請求権を取得することになります。

 しかし、内縁の夫婦の場合、相続が発生しませんので、法的な夫婦よりも不利に扱われるのではないか問題となりえます。

 この点、東京地裁平成27年5月19日判決は、内縁の夫が交通事故が死亡した場合において、内縁の妻が扶養請求権を侵害されたとして損害賠償を認めています。具体的には、29年間同居してきて主に内縁の夫の収入で生活してきた内縁の妻について、内縁の夫の死亡により、月6万円(内縁の夫が内縁の妻に渡していた生活費の半分)の10年分(内縁の夫の平均余命の半分)の扶養請求権の侵害を認めました。

 また、慰謝料500万円の支払も命じています。

 内縁の夫婦の一方が交通事故で死亡した場合でも扶養請求権が侵害されたという構成をとって生き残った配偶者を一定程度保護しようというのが判例・裁判例の流れではあります。この東京地裁の判決もその流れに位置づけることができます。

 しかし、法的な夫婦関係にある場合に比べ内縁の夫婦の方が損害額は格段に低くなっています。LGBTの権利保障が進められつつある現在、そのような観点も含め今後の検討がなされるべき領域と思われます。

 

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逸失利益と定期昇給(交通事故)

2015-12-18 13:09:08 | 死亡事故

 交通事故で死亡等した場合、逸失利益が損害賠償の対象となりますが、通常は事故前の収入をもとに逸失利益が算定されます。

 この点、東京高裁平成22年10月28日判決は、交通死亡事故の被害者について、定期昇給をするという前提での逸失利益算定を行っており注目されます。

 同判決は、被害者がJR東日本という大企業に勤務していたこと、13年間勤務してきたこと、JR東日本では毎年4号俸以内の昇級がありうるとされていたことなどを前提に、定期昇級を前提とした逸失利益算定を行っています。決して一般化できない判断ですが、昇級についてきちんと決められている大企業に勤務している被害者の場合、同様に定期昇給をするという前提での逸失利益の主張をすることも検討されるべきでしょう。

 

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逸失利益はいつの賃金センサスを使って計算するか

2015-09-26 17:17:58 | 死亡事故

 交通事故で死亡等した場合、本来であればそれ以降得られたであろう収入が損害として認められます。これを逸失利益と言います。

 若い被害者の場合、この逸失利益が賃金センサスという統計により計算されることがあります。

 この賃金センサスは、当然ながら毎年数値が違ってきます。そこでどの時点の賃金センサスを基準に逸失利益を計算すべきかが問題となります。

 東京高裁平成27年4月15日判決は、加害者側において事故が発生した平成22年の賃金センサスを基準とすべきと主張したのに対して、口頭弁論終結(審理終結)時に近い平成24年の賃金センサスを基準とすべきとの判断をしました。

 東京高裁は一般論を述べているわけではなく、被害者が大規模企業に勤務していたこと、大規模企業の賃金水準が上昇傾向にあることを踏まえ、平成24年の賃金センサスを基準とすべきとの判断をしています。ですから、被害者の属性、その時点での賃金額の一般的推移等によっては異なる結論もあり得ることになろかと思います。

 

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1年半勤務の24歳被害者と退職金の損害(逸失利益)

2015-09-14 13:04:42 | 死亡事故

 東京高等裁判所平成27年4月15日判決は、大手証券会社に大学卒業後すぐにUターン・就職し、1年半勤務していた24歳男性が交通事故で死亡した事故について、退職金の損害賠償を認めています。

 退職金について損害賠償が認められるかどうかについては、被害者の年齢、勤続年数、定年退職までの期間、勤務先の経営環境等が考慮されると考えられます。

 この点、東京高裁の事例では、被害者の年齢が若く、定年までの期間も長期間です。しかし、東京高裁は、就職先が大手証券会社で安定していること、会社での評価が高かったこと、転職の話もなかったこと、新卒採用であること等を考慮し、被害者が定年退職まで勤務する蓋然性が高かったとし、退職金についての損害賠償を認めています。

 当判決は、若年者であっても必ずしも退職金についての賠償を諦めなければならないわけではないことを示しています。

 

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トンネル入口壁面への衝突死亡事故と死亡保険金

2015-08-19 16:51:28 | 死亡事故

 福井地裁平成25年10月4日判決は、自動車がトンネル入り口壁面へ衝突し、運転者が死亡した事故について、保険会社に死亡保険金の支払いを命じています。

 保険会社は、事故態様及び運転者が多額の借金を負っていたこと等から、自殺であり、保険金請求は許されないと主張していました。

 しかし、裁判所は、

 カーブが続く峠道であり、過失による事故もあり得る

 運転者が、事故時以降の予定を立てる等していたこと

 借金はあったが、資金繰りの目途もついていたこと

等から、自殺等であるとの合理的疑いを持たせる事情はないとして、保険金請求を認めました。

 事故現場の状況や運転者の言動から自殺の意思がないことを認定しており、事実認定上参考になる裁判例と言えます。

 

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センターラインを超えた自動車と衝突した自動車を運行に供していた者の損害賠償責任

2015-05-29 19:22:56 | 死亡事故

 福井地裁平成27年4月13日判決は、センターラインを超えてきた自動車と衝突した自動車を運行に供用していた者について、自動車損害賠償保障法3条による賠償責任を認めました。一般的には過失がないとも思われる側に賠償責任を認めた事例として報道もされた事例です。

 前提として、自動車損害賠償保障法3条の規定を見ておきましょう。同条は、「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者または運転者以外の第三者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったことなら身に自動車に構造上の欠陥又は機能の障害があったことを証明したときは、この限りではない」としています。つまり、自動車を運行の用に供する者は原則損害賠償責任を負うことになっているのです。例外的に、注意を怠らなかった場合に損害賠償責任を負わないことになります。

 さて、福井地裁判決は、センターラインを超えてきた自動車を発見することができた地点を特定することができないことを前提に、それと衝突した自動車の運転手が前方不注視の過失がなかったとは言えないとします。つまり、過失があったとも言えないが、なかったとも言えないとして、上記自動車損害賠償保障法3条の規定にあてはめをして賠償責任を認めたのです。

 つまり、同判決は、事実関係がはっきりしないことが前提のものであり、一般的にセンターラインを超えて走行してきた自動車側が損害賠償請求をすることができるとの判断をしたものではありません。それにしても、被害者救済にとって一定の意味を持つとは思います。

 

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医学部学生が被害者である交通事故での逸失利益

2014-06-20 19:46:08 | 死亡事故

 交通事故で学生が死亡した場合、賃金センサスという統計をもとに将来得られるはずだった収入に関わる損害(逸失利益)が算定されます。この場合、将来、どのような職業につくかということは考慮されないのが通常です。

 この点、京都地裁平成12年3月23日判決は、大学医学部3回生の女子学生の死亡事故について、男性医師の統計上の収入をもとに逸失利益を算定すべきとしました。女性医師については統計がないため、男性医師の統計をもとにしたのです。

 医学部は専門性が高く、また、医師国家試験もさほど落ちる者がいないため、医学生は高度の蓋然性をもって医師になると考えられます。ですから、医学生について特に将来就くであろう職業をもとにした逸失利益算定を行ったことは妥当だと言えるでしょう。

 

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