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男性高齢者について女子労働者平均賃金による逸失利益が認められた事例(交通事故)

2018-03-13 18:54:42 | 死亡事故

 横浜地裁平成21年7月2日判決は、交通事故当時82歳の男性が交通事故により死亡したことについて、逸失利益についての判断を行っています。

 裁判所は、男性が6人で暮らしていた、料理と洗濯のほかパーキンソン病に罹患していた妻の看護などをしていたこと、計116万0560円の年金を受給していたことを踏まえ、同年齢の家事従事者より家事の量が多いとしました。その上で、平均余命の半分の期間について賃金センサス女子労働者女子全年齢平均である343万4400円を基礎収入として逸失利益を算定しました。

 その年齢層ではなく、全年齢の賃金センサスを用いて逸失利益を算定したのは被害者救済の観点から妥当といえます。しかし、なぜ男性なのに女子の平均賃金なのか、家事労働=女子の労働という固定観念で判断をしていないかなど疑念の余地がないわけではありません。いずれにしても、低くなりがちな高齢者の逸失利益についても家事の内容を具体的に主張することで一定程度増額させることができることを示しているといえるでしょう。

 

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                       弁護士 齋 藤 裕(新潟県弁護士会所属)

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高校生以上の女子の逸失利益算定(交通事故)

2018-03-02 08:41:19 | 死亡事故

 前回、年少女子の逸失利益算定における基礎収入について述べました。

 今回は、やはり民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準下巻2018所収の影山智彦裁判官「女子年少者の逸失利益算定における基礎収入について」を素材に検討します。

 同裁判官によると、

1 16から18歳まで

  女子の平均賃金を用いるものがあるものの、全労働者の平均を用いるものが多い

2 高校卒業後(25歳くらいまで)

  学歴に応じた女子の平均賃金を使うものが多いが、教員養成課程にいる学生などについては全労働者平均を用いる

という傾向にあるとのことです。

  確かに女性の方が平均賃金が低いという事実は事実として受け止めなければならないでしょう。しかし、逸失利益というものもあくまで公平な解決を趣旨とする不法行為制度における概念でしかないことからすると、より男女平等に近い形での解釈が望ましいのではないかと思います。実践的には、将来定かならぬ18歳以下については全労働者の平均を使うことを大原則として主張し、高校卒業後についてもできる限り全労働者と同様の賃金が得られると推定される事情を汲み取っていく姿勢が必要だと思います。

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女子年少者の逸失利益算定(交通事故)

2018-03-01 16:22:32 | 死亡事故

 従来、小さな女の子が交通事故で死亡したり、後遺障害が残った場合、女子の平均的な収入を前提に逸失利益が計算されてきました。しかし、そのような取扱いは男女の平等な取扱いの要請には反するものです。

 民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準下巻2018所収の影山智彦裁判官「女子年少者の逸失利益算定における基礎収入について」は、この問題について近時における裁判例の傾向を紹介しています。

 同裁判官によると、東京地裁では、義務教育終了時までの女子について(場合によっては高校卒業時まで)、死亡ないし症状固定年の全労働者の平均賃金を基礎収入として逸失利益を算定するものとしているようです。そのうえで、死亡事案については、生活費控除率を通常の女性の30パーセントではなく、45パーセントにしているとのことです。

 基礎収入を全労働者の平均賃金により求めることは妥当と思われますが、生活費控除率を45パーセントとすることにはあまり根拠がないようにも思われます。このあたりは今後もせめぎあいが想定されるものと思われます。

 

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逸失利益と定期金賠償方式(交通事故)

2017-07-14 10:41:28 | 死亡事故

 交通事故によって、事故時あるいは症状固定時から被害者死亡などまでの長い期間にかかる損害については、一括で払われる場合には中間利息控除がなされることになり、被害者らが受け取る金額がかなり小さくなることがありえます。

 他方、定期金賠償方式により定期的に賠償を受け取る方式にした場合、中間利息控除がありませんので、実手取り額が高くなる可能性があります。

 この点、事故による死亡時あるいは症状固定時から就労可能年数にわたり算出される逸失利益について定期金賠償方式によりうるのか問題となりえます。

 名古屋地裁平成26年8月21日判決は、死亡に伴う逸失利益は死亡時に現実化しているとして、定期金賠償方式を認めませんでした。

 東京地裁平成15年7月24日判決は、死亡に伴う逸失利益について定期金賠償を認めていますが、その後には死亡に伴う逸失利益について定期金賠償を認めた事例はほとんどありません。

 後遺障害に伴う逸失利益については、死亡に伴う逸失利益と異なり定期金賠償が認められる余地があるとする裁判例も結構ありますが、実際に認められることはほとんどないようです。

 債権法改正により中間利息控除の利率は下がることになります。しかし、それまでに発生した事故について5パーセントの中間利息控除でかなり金額が低くなるということでは、不公平ともいえます。ですから、逸失利益の定期金賠償という方法も活用されるべきように思います。

 

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飲食店経営者の逸失利益(交通事故)

2016-12-07 16:19:45 | 死亡事故

 交通事故で会社役員が死亡等した場合、必ずしも役員報酬そのものが逸失利益を計算する前提となる基礎収入となるわけではありません。会社役員の報酬には労務対価部分だけではなく、利益配当の部分もあると考えられるからです。

 東京地裁平成27年12月10日判決は、飲食店経営者(有限会社代表者)が死亡した交通事故について、労務対価部分に係る判断を示しています。

 この会社は、資本金300万円、従業員50名の同族会社でした。代表者が受領していた年間報酬は3600万円です。代表者は管理業務だけではなく調理業務も行っていました。

 裁判で、加害者側は、起訴収入を1500万円とする限度では争わないが、それを超える分については争うとしていました。

 裁判所は、賃金センサス上の飲食サービス業の部長級従業員及び調理師の全年齢平均賃金の合計額を勘案し、加害者側が争わないとしている年収1500万円をを超過する労務対価部分はないとして、基礎収入を1500万円と認定しました。

 労務対価部分の認定方法に関して参考になる判断かと思います。

 

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事故の悪質性から3600万円の死亡慰謝料が認められた事例(交通事故)

2016-10-11 06:48:31 | 死亡事故

 東京地裁平成15年3月27日判決は、交通死亡事故の慰謝料として3600万円を認定しています。

 これは、酒に酔ったまま高速道路を逆走したこと、高速道路を走行して帰宅する予定であったのに自ら進んで飲酒したこと、飲酒運転を重ねてきたこと、ご遺族が自殺をはかるなどしていること、加害者はご遺族のところに謝罪に行かないなどご遺族に対する配慮が欠けていることが考慮されたものです。

 赤本では、一家の支柱が死亡した場合の慰謝料は2800万円とされています。それを1000万円近く上回る金額ですので、かなり加害者の悪質性が考慮されたことがうかがわれます。

 悪質な事故であればあるほど精神的苦痛が高まるとはいえるので、極めて妥当な判決かと思います。飲酒等による事故の場合には積極的に慰謝料の増額を求めるべきでしょう。

 

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知的障がいがある方が締結した示談の効力(交通事故)

2016-09-03 12:33:22 | 死亡事故

 大阪高裁平成27年9月30日判決は、交通死亡事故被害者の相続人(知的障がいあり)が保険会社と締結した示談について、相続人に意思能力がなかったとして、示談及びその振り込み先口座への振り込みを無効としました。

 判決は、相続人には中等度の知的障がい等があること、発達年齢は6歳程度であること、計算や読字等はほぼできなかったこと、財産の管理等は不可能であったこと、日常生活上の作業にも一部支障を生ずるような状況であったことを踏まえ、意思能力なしとしました。

 交通事故における示談かどうかを問わず、意思能力がなければ契約が無効になるのは当然のことであり、大阪高裁の判断も当然のものと言えます。

 この事案では明らかに保険会社の対応ミスがあったというべきでしょう。

 知的障がいがある方が交通事故の損害賠償に関わる場合には、速やかに弁護士などの援助が必要なことが明らかであり、システムづくりが求められます。

 

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死亡した方の年齢と慰謝料について その2

2016-08-17 18:22:26 | 死亡事故

 赤本は、一家の支柱が亡くなった場合、母親・配偶者が亡くなった場合、その他の方が亡くなった場合と場合分けし、従来その他の方については死亡慰謝料は2000万円から2200万円とされてきました。2016年版では2000~2500万円と改定されています。

 前回ご紹介した民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(赤本)下巻2016年版所収の「裁判例における死亡・後遺症慰謝料の認定水準」はこのその他の方の慰謝料についても裁判における認定額の分析をしています。

 そこでは、0歳から20歳までの年齢層では、1800万円から3300万円程度とかなり広いばらつきが見られます。しかし、2200~2800万円の間で認定された事例が多いように思われます。

 これが60歳から80歳になると、2000万円から2600万円の範囲にすべて収まります。

 80歳以上となると、2000万円から2400万円の範囲にかなりのものが収まることになります。ただし、2500万円程度の事例もあります。

 その他の方の事例から見ても、裁判所が年齢を重視する傾向にあることが明らかです。

 また、そうはいっても、80歳超で2500万円という赤本基準の上限程度の慰謝料が認められる事例もあるため、個別事情の立証の重要性も確認されるべきでしょう。

 

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死亡した方の年齢と慰謝料について

2016-08-15 18:38:04 | 死亡事故

 いわゆる赤本(民事交通訴訟 損害賠償算定基準)の2016年版下巻に「裁判例における死亡・後遺症慰謝料の認定水準」との論文が掲載されています。

 これは、各種裁判例について統計をとり、実際裁判所でどの程度の慰謝料が認定されているかを検討したもので、参考になるものです。

 今回、同論文中、裁判例における母親・配偶者の慰謝料額の分布について記載した部分について紹介をします。

 赤本2016年版上巻では、母親・配偶者死亡の場合の慰謝料は2500万円とされています(従来は2400万円)。

 上記論文では、母親・配偶者死亡の場合の慰謝料としては2400万円から2500万円の裁判例が多いと紹介されています。

 統計上は、2000万円を下回るものから3200万円を超えるものまで、かなり幅広く分布しています。

 30代から50代までは大部分が2400万円を超えており、2600万円を超える事例も数多くあります。少数ながら各年代で3000万円以上の事例もあります。

 ところが、60代になると2200万円、2300万円という事例も散見されるようになります。2800万円が上限という状況となります。

 70代となると、3000万円を超える事例もありつつ、2200万円以下の事例の割合が増え、2000万円という事例も出てきます。

 80代となると、上限が2500万円であり、2000万円を下回る事例さえ出てきます。

 これらは、

 ⅰ 60代を超えると慰謝料額が低くなる傾向がある、80代を超えるとそれが顕著になる

 ⅱ そうはいっても、個別の要素によっては年代を問わず高額の慰謝料が認められることもありうる

ことをしめしていると思われます。

 おそらく裁判所は平均余命を慰謝料額算定の上で考慮していると思われます。

 60代を超える方の慰謝料については、その方とご遺族との関係性、加害の悪質性などをより丁寧に主張立証していく必要がありそうです。

 

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未成年者による交通事故と親の責任

2016-05-06 10:52:19 | 死亡事故

 京都地裁平成3年4月24日判決は、未成年者による交通事故について、親の責任を肯定しています。

 この事故の加害者は15歳でした。この事故は、加害者が運転するバイクが中央線を越えて歩行者に衝突し、死亡させたというものであり、加害者の責任は明白です。

 加害者の親は、加害者が無免許運転を繰り返すのを知り注意はしたものの、鍵を自ら携帯するなどの措置を取りませんでした。

 裁判所は、親としては厳重に注意するだけではなく、親が鍵を自ら管理するなど加害者に運転させないようにすべき義務があったのに怠ったとして、親に賠償責任を認めました。

 なお、加害者も賠償責任を負い、両者の関係は不真正連帯債務とされました。

 子どもが事故等を起した場合、親に義務違反があると親も賠償責任を負います。その場合、年齢が高くなるほど親の責任を認めるのが困難になります。この判決の事案では、加害者が15歳であり、無免許運転を繰り返していたので、親に賠償責任を負わせたことも穏当かと思います。ただし、これがより年長の加害者の場合には、未成年者であっても同じように親の責任が認められるとは限らないことに注意が必要です。

 

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