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相談料・着手金無料 新潟の弁護士による交通事故ブログ(新潟県の交通事故) 

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自動車の名義貸しと運行供用者責任(交通事故)

2018-12-29 16:18:31 | その他

 自動車損害賠償保障法は以下のとおり定めます。

 第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。

 ですから、自分が運転していたわけではないとしても、運行供用者とされると、人身被害について賠償責任を負うことになります。

 最高裁平成30年12月17日判決は、この運行供用者に該当するかどうかについて判断を示しています。

 事案は、生活保護受給者(兄)が、自動車を所有すると生活保護が受給できなくなると考え、弟から名義を借りていたところ、兄が人身事故を起こしたというものです。

 被害者が弟に対し賠償請求を行いました。

 これについて、最高裁は、名義貸与は兄による自動車の所有を可能とし事故の危険の発生に寄与するものであった、弟が名義貸しを拒否できない事情もなかったとして、兄弟が別居し生計を別にしていたとしても、弟が兄による自動車の運行を事実上支配、管理することができたなどとして、運行供用者該当性を認めました。

 今後の運行供用者該当性判断に影響を及ぼす重大な判例と考えられます。


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                       弁護士 齋 藤 裕(新潟県弁護士会所属)

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労災と自賠責との調整(交通事故)

2018-11-07 12:52:05 | その他

 

 最高裁平成30年9月27日判決は、労災と自賠責から補償を受ける場合の調整について判断をしています。最高裁判決であるため、今後の実務のルールとなりますので、御紹介します。

 この事案は、勤務中に交通事故に遭った被災者が、まず労災から補償を受け、その後自賠責に対する請求をしたというものです。労災保険でも填補されない損害は傷害分303万5476円、後遺障害分290万円でした。また、自賠責の保険金額は傷害について120万円、後遺障害について224万円でした。

 労災保険で支払われた分について国は損害賠償請求権を取得しました。それを自賠責が支払うとすると、被災者は自賠責の120万円、224万円満額は受け取れないとも考えられます。

 しかし、最高裁は、被害者救済を趣旨とする自賠法の規定の趣旨などを根拠に、被災者は自賠責の保険金額分の支払いを受けることができるとしました。

 被害者救済の観点から肯定できる判決と思います。

 

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運転初心者に運転させたことについて運転者の両親の過失が認められた事例(交通事故)

2018-08-09 05:39:43 | その他

 横浜地方裁判所平成25年3月26日判決は、18歳の自動車運転者が、右折車との衝突を避けようとして交差点で歩道に突っ込み、歩道にいた被害者に自動車を衝突・死亡させた事故について、自動車運転者の両親の過失について判断をしています。

 判決によると、1 運転手は1ケ月前に免許を取得したばかり、2 右足親指の骨折後、左足でアクセル・ブレーキ操作をしていた、両親はそのことを知っていた、3 両親は運転手と同居し、自動車も自宅駐車場に駐車させていた、との事情があったようです。これらを踏まえ、判決は、両親には、骨折が完治するまで運転を止めさせるなど、運転手の運転に関する監督義務を怠った過失があるとし、両親にも賠償責任を認めました。

 18歳の運転手について両親が責任を負うことはあまりないと思いますが、この判決では1から3の事情があり、特に左足でアクセル・ブレーキ操作をしていたとの事情は重要ですから、判断としては妥当なものであったと思います。

 

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路上に木材が置いてあったことによる交通事故と国家賠償責任

2018-04-21 11:35:37 | その他

 大阪地方裁判所平成29年1月30日判決は、原動機付自転車を運転していた人が路側帯に放置されていた材木を踏んでバランスを崩し、自動車に衝突するなどして事故死した件について、市の賠償責任を認めませんでした。

 裁判所は、まず、道路管理者である市としては道路を良好な環境に保つ義務があった、路側帯に材木が放置されていたことで道路の安全性がある程度欠けた状態にあったとしました。

 しかし、市が住民の苦情に応じ道路の維持管理をしていたこと、1週間中5日間は道路の巡視を行っていたことなどから、市としては道路の維持管理を果たしていたといえるとしました。

 市にこれ以上の対応を求めるのは困難でしょうから、市の責任がなかったという結論は妥当だったと考えます。他方、自治体としては管理道路の定期監視などを行わない場合、落下物による事故などの責任を負うことを裏面から認めた裁判例といえるでしょう。

 

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交通事故裁判の情勢

2018-02-24 13:50:08 | その他

 民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準下巻2018(いわゆる赤本)に東京地方裁判所民事第27部部総括裁判官谷口園恵氏による「最近の東京地裁民事交通訴訟の実情」と題する講演録が掲載されています。最近の交通事故裁判の状況を端的にまとめていると思われますので、ご紹介します。

 新受件数は、平成12年度に1000件を超えて以降、ほぼ増加の一途をたどり、平成28年度には2000件に達したとのことです。また、平成29年度については、昭和45年度の2184件の最高記録を上回りそうな状況だそうです。

 このような事件数増加の要因としては、保険会社の払い渋り・当事者の権利意識の向上、将来介護費など示談困難な事案が増えていること、弁護士特約の普及があげられています。

 平成28年度の解決方法としては、判決や約23パーセント、和解が約66パーセントとなっています。従来和解率は70パーセント程度だったということで、激しく争われている事案が増えているため和解率が下がっていると分析されています。

 私自身の経験上は和解で解決する率がもっと高いように思いますが、東京地裁と新潟地裁との和解率の差ということもあるのかもしれません。

 裁判というとドラマで見るような裁判をイメージされる方も多いと思いますが、実情としては双方書面を出し、あとは話し合いで解決する場合が多いということです。交通事故被害者の方は、このような実状も踏まえ裁判をするかどうかを判断していただければと思います。

 

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小学生が小学校の正門前公道で交通事故にあったことと学校側の責任

2018-02-07 17:37:01 | その他

 横浜地裁小田原支部平成29年9月15日判決は、小学生が、図工の時間中、小学校の正門前公道において絵を描いているときに自動車に轢かれて死亡した事故について、学校側に賠償責任を認めました。

 裁判所は、教諭において児童が校外で絵を描くことを認めれば公道上で児童がしゃがみこんで絵を描くことが想定できた、それにもかかわらず教諭において児童らに校外で絵を描くことを許した、これを許さなければ死亡という結果を回避できた、として学校を設置していた平塚市に賠償を命じました。

 なお、この訴訟では過失相殺も争点となりましたが、裁判所は教諭が校外で絵を描くことを認めており、被害児童はそれに従っただけであるとして過失相殺を認めませんでした。

 今後、教育関係者に対して注意をうながす重大な意味を持つ判決だと評価できると思います。

 

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道路とハンドホールとの2センチの段差による事故と賠償責任

2018-01-11 16:11:47 | その他

 東京地裁平成28年11月29日判決は、道路とハンドホール(地中管路中継用地中箱)との間に1・8センチメートルの段差、2センチメートルの段差があったためにスポーツタイプの自転車に乗っていた人が転倒した事故について、安全性がないとはいえないとして、賠償責任を認めませんでした。

 裁判所は2センチメートル程度の段差などについては広く許容されていると判断したのです。

 なお、京都地裁平成26年11月6日判決は、グレーチング間の2・5センチメートルの隙間があったケースについて、道路の設置又は管理の瑕疵を認めました。

 どうも道路に隙間や段差がある場合、2センチメートルというところが判断の分かれ目になっているようです。

 必ずしも今後も2センチメートル基準が絶対視されるわけではないでしょうが、参考になる裁判例です。

 

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自動車による通勤が通常である場合と使用者の責任(交通事故)

2017-08-02 11:29:47 | その他

 業務で自動車に乗っていたときの事故については使用者が賠償責任を負うことになります。しかし、通勤中の事故については使用者の責任を否定するのが一般です。

 ところが前橋地方裁判所高崎支部平成28年6月1日判決は、通勤中の事故について使用者の責任を認めています。

 同判決は、公共交通で職場に通う場合自動車で通う場合よりかなり時間がかかること、経済的にも自動車を使用した方が安くなること、群馬県は成人1人が1台自動車を持っていること、職場の労働者の98・8パーセントが自動車通勤であることなどを根拠に、自動車での通勤が事業の執行につきなされたものだとし、使用者の責任を認めました。

 かなり珍しい裁判例と思います。しかし、新潟県においても同様のケースは多いでしょうし、運転者自身の財力がない場合などには活用できる可能性が大きい裁判例ではあります。

 

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過労による交通事故と使用者の責任

2017-07-07 16:34:13 | その他

 長時間労働などの過労は居眠りなどを引き起こしますし、事故の原因ともなりえます。

 鳥取地裁平成21年10月16日判決は、過労状態で交通事故を起こし、死亡した医師について、使用者である大学側の賠償責任を認めています。

 具体的には、「上記のような分量、性質の業務を継続して行った場合、亡Bが、いずれ極度の疲労状態に陥り、心身に異常を来たしたり、又は過労状態や極度の睡眠不足が原因で本件事故を発生させたりすることが起こりうることは、業務に従事させていた被告において、十分予測することが可能であった」としました。そして、大学側としては業務の軽減をはかるべきであったのにそうしなかったとして、賠償責任を認めました。

 同判決自体は、過労状態にあった人が被害者という事故に関するものです。しかし、過労状態にあった人が加害者という事故についても使用者の賠償責任が発生する余地は十分にあると言うべきでしょう。

 

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過剰請求について被害者に対する賠償請求が認められた事例(交通事故)

2017-05-26 09:14:15 | その他

 広島地裁平成29年2月28日判決は、交通事故の被害者が過剰診療を受けたとして、その診療費として支払われた金額について賠償責任を認めました。  判決は、交通事故による傷害は認めつつ、一定の時期以降の通院について、被害者に痛みがないにも関わらず接骨院に通院していたとして、その治療費分(加害者側の保険会社が支払済)について被害者の賠償責任を認めたのです。    このように被害者側に賠償責任を認める判決が安易になされると、被害者側の正当な権利行使を萎縮させかねません。ただし、この判決の事案は、被害者が治療期間中も野球の試合にピッチャーなどとして出場していたという事例であり、極めて例外的な事例として受け止めるべきだと考えます。

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