新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会) 労働災害(労災)ブログ

新潟市の弁護士齋藤裕のブログです。労働災害(労災)に関する記事を掲載しています。
お悩みの方はお電話ください

運送作業中の負傷と損害賠償(労災)

2016-05-18 10:01:46 | 損害賠償
 東京地裁平成27年7月10日判決は、鏡の搬出作業をしていた従業員が倒れてきた鏡でケガを負ったという事件について、使用者の損害賠償義務を認めています。


 当該従業員は、ホテル経営会社に雇われ、ホテルの改装工事に従事していました。事故当日は、物資を運搬する作業に従事していました。その作業の一環としてトラック荷台で作業をしていたところ、トラック荷台壁面に立てかけられていた鏡が倒れ掛かり、当該従業員は負傷したのです。

 裁判所は、使用者に安全配慮義務を認めた上で、一枚でも重量のある鏡の運搬作業は相当程度危険な作業であった、使用者としてはそのような作業をさせるに当たっては安全のための具体的な作業手順を指導し作業員以外に監督者を置くべきであったがそれを怠った、として安全配慮義務違反があったとしました。

 当該事案は、鏡の運搬というやや特殊な事例ですが、重い物を運搬させる場合については共通する部分があります。この事案の使用者はホテル経営会社であり、運搬を専業にしているものではありません。そのため、杜撰な指導態勢となったと思われますが、運送専業ではないとしても運送作業をさせるに当たっての最低限の安全配慮義務が課せられるべきは当然です。
 

 労災(労働災害)でお悩みの方は当新潟合同法律事務所の弁護士(新潟県弁護士会所属)にご相談下さい。まずはお電話(025−245−0123)かメールでお申込み下さい。

                    弁護士 齋藤裕(新潟県弁護士会所属)

新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属) 労災(労働災害)ブログのトップに行くにはこちらをクリックしてください。





 
 


 

この記事をはてなブックマークに追加

労災でCRPSり患が認められた事例

2016-05-16 16:40:41 | 労災保険
 CRPSは、複合性局所疼痛症候群のことです。これは、骨折などの外傷や神経損傷の後に疼痛が遷延する症候群です(住谷昌彦ほか「CRPSの診断と治療」)。ここには従来、カウザルギー、RSDと呼ばれてきたものが含まれます。

 横浜地裁平成27年3月12日判決は、労災保険の等級が争いになった訴訟ですが、そこではCRPSり患の有無が争点となりました。

 被災労働者は、業務従事中、低い段差に躓き、右足をひねり負傷しました。被災労働者は、症状固定時において、軽い触診で強い疼痛が生じるアロディニアの状態にありました。

 裁判所は、日本版CRPSの判定指標に示された臨床用の判定指標に従い、アロディニアの状態にあったこと、骨萎縮があったこと、関節の可動域制限が認められることなどから、CRPSに該当するとの判断を示しました(なお、裁判所は、ブロック注射によりCRPSにり患したと判断しています)。
 地方労災医員の医師は、被災労働者はカウザルギーないしRSDに該当しないとの診断を示していましたが、裁判所はだからといってCRPSにり患したとの認定は左右されないとしています。

 以上を前提に裁判所は被災労働者について、「通常の労務に服することはできるが、疼痛により時には労働に従事することはできなくなるため、就労可能な職種の範囲が相当程度に制限される」として、9級の障がいを認定しました。

 
 RSDなどに該当しない場合でもCRPSに該当し、それをもとに等級認定されることがあり得ることを明示した点で意義のある裁判例かと思います。


  労災(労働災害)でお悩みの方は当新潟合同法律事務所の弁護士(新潟県弁護士会所属)にご相談下さい。まずはお電話(025−245−0123)かメールでお申込み下さい。

                    弁護士 齋藤裕(新潟県弁護士会所属)

新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属) 労災(労働災害)ブログのトップに行くにはこちらをクリックしてください。





 
 

この記事をはてなブックマークに追加

フォークリフト同士の労災事故

2016-04-27 11:02:15 | 損害賠償
 大阪地裁平成23年3月28日判決は、物流センターにおけるフォークリフト同士の衝突事故について、フォークリフトを提供した物流センター側、ケガをした労働者の派遣先事業主に賠償責任を命じています。

 派遣先には、フォークリフトの作業計画を作成していなかった、アルバイトである被災労働者が実質的に現場を取り仕切っていた、フォークリフトの資格を持たない者らに運転をさせていたなどの点において安全配慮義務違反があるとしました。

 物流センター側には、特段の用途等を制限せずフォークリフトを派遣先に利用させていたので、派遣先がこれを適正に従業員らに使用させているか把握すべき義務があったのにこれを怠ったとして、やはり安全配慮義務違反を認めました。

 物流センター側にも責任を認めた点において有意義な判決かと思われます。フォークリフト労災に活かすことができる裁判例です。

 
 労災(労働災害)でお悩みの方は当新潟合同法律事務所の弁護士(新潟県弁護士会所属)にご相談下さい。まずはお電話(025−245−0123)かメールでお申込み下さい。

                    弁護士 齋藤裕(新潟県弁護士会所属)

新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属) 労災(労働災害)ブログのトップに行くにはこちらをクリックしてください。






この記事をはてなブックマークに追加

プレス機械による手の切断事故と損害賠償

2016-04-04 17:44:53 | 損害賠償
 東京地裁平成27年4月27日判決は、プレス機械による手の切断事故の被害者が企業に対してした損害賠償請求について判断を示しています。

 この事故は、職員が、プレス機の寸動ボタンを右手で押しつつ、左手をプレス部分に差し入れたことが原因となっています。

 しかし、裁判所は、使用者は労働者の身体の一部が危険限界に入らないようにすべき義務を負っていた、具体的には安全カバーの設置等をせず義務を怠ったとして、使用者に過失があったとしました。しかも、安価で比較的容易な措置を講ずれば労働者の安全を守ることができたものであり、使用者に重大な過失があったとしました。

 結論として、裁判所は、職員に4割の過失を認め、使用者側に6割の賠償を認めました。

 どのような職場であっても、職員が常にマニュアル通りに動くということはありません。使用者にはヒューマンエラーを前提とした対策をとる義務があります。ですから、使用者側の過失を認めた上記判決は穏当なものであったと言えます。


 労災(労働災害)でお悩みの方は当新潟合同法律事務所の弁護士(新潟県弁護士会所属)にご相談下さい。まずはお電話(025−245−0123)かメールでお申込み下さい。

                    弁護士 齋藤裕(新潟県弁護士会所属)

新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属) 労災(労働災害)ブログのトップに行くにはこちらをクリックしてください。





この記事をはてなブックマークに追加

雇用形態の選択を迫られた結果のうつ病と労災

2015-12-10 20:03:44 | 労災保険
 大分地方裁判所平成27年7月16日判決は、労働者が雇用形態の選択を迫られその結果うつ病にり患した場合について労災と認めました。

 具体的には、労働者はNTT西日本に勤務していました。そこで、当該労働者は、50歳で退職し関連会社に雇用される雇用形態か、60歳まで勤務する勤務形態を選択しなければなりませんでした。前者は賃金が約3割減少するため、苦しい家計の当該労働者にとっては選択困難なものでした。他方、後者は、全国配転を伴うものであり、母の介護の関係で当該労働者にはやはり選択困難なものでした。このように当該労働者は、究極の選択を迫られていたのです。しかも、会社側は、前者の雇用形態の選択を強要するような発言もしていました。これら全体を見て裁判所は重い心理的負荷があったとして、当該労働者がうつ病にり患したことについて労災と認定したのです。

 雇用形態の選択を原因とする労災認定は比較的珍しいと思われますが、やはり人生の重大事の選択に関わるような場合には相当な心理的負荷があったと見るべき場合が多いと思われます。


 労災(労働災害)でお悩みの方は当新潟合同法律事務所の弁護士(新潟県弁護士会所属)にご相談下さい。まずはお電話(025−245−0123)かメールでお申込み下さい。

                    弁護士 齋藤裕(新潟県弁護士会所属)

新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属) 労災(労働災害)ブログのトップに行くにはこちらをクリックしてください。




 

この記事をはてなブックマークに追加