さいとうゆたか法律事務所(新潟県弁護士会) 労働災害(労災)ブログ

新潟市の弁護士齋藤裕のブログです。労働災害(労災)に関する記事を掲載しています。
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国立病院勤務職員の過労死事案で逆転で過労死認定

2018-11-06 09:45:05 | 当事務所の事件簿

 この度、私が担当した国立病院勤務職員の過労死事案で逆転で過労死認定がなされたのでご報告します。

 事案は、北関東地方の国立病院に勤務していた中越地方出身20代男性が過労自殺したというものです。

 パソコンのログ記録からはつき154時間42分の時間外労働が認められます。

 しかし、労働基準監督署は、男性が仕事中に家に帰るなどしていたとして、ログ記録どおりの労働時間を認めませんでした。

 そのため、当方は審査請求、再審査請求を行い、過労死であると争いました。

 使用者側は男性は仕事ではなく、職場で本を読むなどして時間をつぶしていたと主張していました。それに対し、当方は、業務のための必要に迫られて(時には上司からも言われ)本を読んでいたので、それも含めて労働時間が認定されるべきだと主張しました。

 平成30年10月19日に出された裁決では、当方の主張が認められ、1ケ月154時間42分の時間外労働があったとして過労死が認められました。

 本を読むなどの研鑽が労働時間に該当するかどうかについては市民病院過労死事件でも問題になっていますが、業務にとって必要な研鑽は労働に該当するというのが一般的な見方です。労基署はそのような一般的な見方を否定したもので、到底維持できないものだったと思います。

 今後、労働基準監督署の判断が適正化されること、また、各事業者が研鑽も含めて労務時間管理をすることを期待します。

 

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台風で通勤中の労働者が負傷などした場合と安全配慮義務違反(労災)

2018-09-07 11:34:10 | 損害賠償

 この間の台風21号では、労働者を自宅待機としたり、早引けさせたりした使用者も多かったと思います。

 この点、逆に自宅待機などとせず、その結果労働者が負傷などした場合、労働者は法的責任を負うのでしょうか?

 労働者が業務が原因で傷害などを負った場合、労災保険から支給がなされるのみならず、安全配慮義務違反があれば賠償責任が発生することになります。

 他方、労働者が通勤が原因で傷害などを負った場合、通勤災害として労災保険から支給はなされますが、賠償責任があるとは通常されません。

 この点、過労のため帰宅途中にバイク事故を起こした労働者から会社に対する損害賠償が問題となった事件で損害賠償を認める和解勧告がなされています(横浜地方裁判所川崎支部平成30年2月8日決定)。同決定では、使用者には適切な通勤方法を指示などする義務があったとされています。つまり、通勤のあり方自体について安全配慮義務を認めているといえます。

 しかし、この事案は、業務について過労させるという安全配慮義務違反があったという事案であり、この和解勧告をもって通勤についても使用者の安全配慮義務違反が一般的に認められるかどうかは疑問があります。

 思うに、労働者は、有給休暇などの行使をしない限り、労働を提供する義務があります。そして、出勤は労働に必然的に伴うものです。また、特に多忙な職場では、労働者の方から、「今日は台風だから休みます」とは言えないという事情もあるでしょう。よって、使用者が労働者の通勤中の安全に配慮しなければ労働者の安全が害されるという関係にあり、使用者としては通勤時間帯において暴風警報が発令されることが確実な状況などにおいては自宅待機・途中退社を指示するか、少なくとも自宅待機・途中退社をしても構わないということを周知すべきではないかと思います。逆に、労働者が暴風警報発令が確実な状況下において使用者において出勤を強く求め、その結果労働者が負傷などすれば、安全配慮義務違反として使用者に賠償責任が認められる可能性はあるように思います。

 なお、

ⅰ 出勤ができない事情がないのに使用者が出勤をしないよう指示した場合、労働者は賃金を失わない

ⅱ 出勤ができない事情がないのに労働者が出勤をしなかった場合、労働者は有給休暇を利用しない限り賃金を失う

ⅲ 出勤や勤務がおよそ不可能な場合に出勤をしなかった場合には労働者は有給休暇を利用しない限り賃金を失う

ということになると思われます(就業規則などで異なる定めがあればそれに従うことになります)。

 問題は出勤や業務が不可能ではないものの、安全に配慮して自宅待機などさせることに合理性がある場合ですが、使用者の責に帰すべき事由があるとして給料の60パーセントの休業手当が支払われるべきではないかと考えます。

 実際には判断が難しい場合が多いと思います。予め、「○警報発令が見込まれる場合については自宅待機とする。その場合の賃金は○とする」というように就業規則で明確に定めておくべきだと思います。取り決めに当たっては、安全配慮義務の存在及び労働者のモチベーションを考慮し、なるべく有給となる方向で考えるべきだと思います。

 


眼球の運動障害(労災)

2018-07-23 16:12:29 | 労災保険

 労災で、両眼の眼球に著しい運動障害を残す場合は11級、1眼の眼球に著しい運動障害を残す場合は12級で認定されることになります。

 そこでこの眼球の著しい運動障害とは何かが問題となります。

 この点、眼球の著しい運動障害とは、眼球の注視野の広さが2分の1に減じたものをいいます。ここで注視野とは眼球を運動させて直視することのできる範囲を言います。

 この注視野は個人差があるものの、一般的に単眼視では各方面約50度、両眼視では各方面約45度とされます。

 

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眼内レンズ・人工水晶体を移植した場合と後遺障害(労災)

2018-07-23 12:45:52 | 労災保険

 労災により眼内レンズ・人工水晶体を眼に移植した場合、どのように後遺障害認定されるでしょうか。

 この点、労働基準局長昭和54年6月12日付回答は、矯正後視力が0・6を超える場合には後遺障害はないものとしています。これは労災において視力が矯正視力によるものとされているのと軌を一にしています。

 また、同回答は、水晶体移植により眼の調節力は完全に失われるため、1眼の眼球について水晶体移植をした場合、一眼の眼球に著しい調節機能障害が残るものとして12級の等級認定すべきものとしています。

 ただし、現在は多焦点眼内レンズという遠近に焦点が合うようになっている眼内レンズ・人工水晶体も存在します。まだ一般化はしていないようですが、これについてどう扱うかはこれからの課題といえます。

 

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眼球の調整機能障害(労災)

2018-07-22 07:03:05 | 労災保険

 両眼の眼球に著しい調節機能障害がある場合は11級、1眼の場合は12級の後遺障害があることとされます。

 ここで著しい調節機能障害とは、調節力が通常の場合の2分の1以下になることをいいます。

 調節力とは、明視できる遠点から近点までの距離的な範囲であり、単位はシオプトリー(D)です。

 1眼だけ障害がある場合、健常な眼との比較で調整力を判断します(健常な1眼が1・5D以下の場合、障害補償の対象となりません)。

 両眼に障害がある場合、以下の年齢別調整力との対比で判断します(55歳以上のときは障害補償の対象となりません)。

 15歳  9・7

 20歳  9・0

 25歳  7・6

 30歳  6・3

 35歳  5・3

 40歳  4・4

 45歳  3・1

 50歳  2・2

 55歳  1・5

 60歳  1・35

 65歳  1・3

 

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