さいとうゆたか法律事務所(新潟県弁護士会) 労働災害(労災)ブログ

新潟市の弁護士齋藤裕のブログです。労働災害(労災)に関する記事を掲載しています。
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グリーンディスプレイ事件和解について

2018-02-11 07:04:21 | 過労死

 2月8日、横浜地裁川崎支部で、グリーンディスプレイ事件の和解が成立しました。これは過労状態で運転していた労働者が帰宅中にバイク事故で亡くなった件について、会社に賠償義務を負わせたものです。

 過労状態にあった労働者が交通事故でなくなった場合に使用者が責任を負うのは初めてではありません

 鳥取地裁平成21年10月16日判決は以下のように述べて、過労状態にあった医師の交通事故について使用者の責任を認めています。

「上記のような分量、性質の業務を継続して行なった場合、亡Bが、いずれ極度の疲労状態に陥り、心身に異常を来たしたり、又は過労状態や極度の睡眠不足が原因で本件事故(交通事故)を発生させたりすることが起り得ることは、業務に従事させていた被告において、十分予測することが可能であったということができる。そうすると、被告は、亡Bの指導官を通じて、亡Bが極度の過労状態に陥ることを予見し、亡BのA大病院や外部病院における業務の軽減を図るなどの適切な措置を講ずるなどにより、亡Bが極度の疲労状態、睡眠不足に陥ることを回避すべきことを具体的な安全配慮義務として負っていたというべきである。しかるに、被告は、上記適切な措置を講じることなく漫然と放置し、亡Bを相当の長期間にわたり継続して過重な業務に従事させ、とりわけ本件事故の直前1週間には極度の睡眠不足を招来するような態様で業務に従事させて、亡Bを過労状態に陥らせ、さらに本件事故の前日である3月7日から8日にかけては、緊急手術及び学会の研究会の開催による人手不足という事情があったにせよ、▲病院でのアルバイト当直が予定されていた亡Bを徹夜の手術に従事させたものであって、被告には上記安全配慮義務に対する違反があったと認められる。そして、本件事故は、上記のとおり、A大病院又は外部病院での過重な業務による極度の睡眠不足又は過労のため居眠り状態に陥ったことであるが原因で発生したと認められるから、被告の安全配慮義務違反と本件事故との因果関係も認められる」

     「これに対し、被告は、①亡BはA大病院で自由意思によって医療研修に参加したものであって、何時でも自由に辞められたから被告の指揮監督下にはなかった、②外部病院でのアルバイト当直は、本人の希望によるものであり、A大病院の指揮監督が及ぶものではない、③A大病院では、アルバイト先へ向かう際に公共交通機関を利用すること等を指導していたにもかかわらず、亡Bは自家用車を運転して本件事故を惹起したものであるとして、安全配慮義務違反又は本件事故との因果関係を争う主張をする」

    「しかしながら、上記①の点については、前記のとおり、亡Bは、入院患者を受け持ち、A大病院における多様な医療業務に従事していたものであって、その業務内容は、法的性質についてはともかく、実態において勤務医に近いものであり、亡Bの自由意思で業務を辞めることができたとはいえず、被告の指揮監督又は指導が及んでいたことは明らかであって、同主張を採用することはできない」

    「②の点については、外部病院でのアルバイト当直自体は、外部病院と医師との雇用契約に基づいて行なわれるものであり、被告の指揮監督又は指導が及ぶとまではいえないとしても、外部病院でのアルバイトは、A大病院第2外科の医局長が取りまとめ、勤務医及び大学院生らに割り当てをしており、アルバイト先及び日時はA大病院の「業務出張予定」に記載されていたこと、A大病院は、地域医療の基幹病院であり、外部病院に対し、休日や夜間に当直を行なう医師を供給することは、A大学病院に期待される役割であったというべきこと、A大病院から給与の支給を受けない大学院生にとって、親からの仕送りなどがない限り、外部病院でアルバイトをすることは生活上必要なことであり、医局長もそのことを十分に承知して大学院生に対して勤務医より多くのアルバイト当直を割り当てていたことなどに鑑みれば、外部病院でのアルバイトに被告の指揮監督又は指導が及ぶか否かを問わず、被告において、大学院生らが現実に従事している外部病院でのアルバイト当直の時間及び内容を把握し、それらを考慮に入れた上で、大学院生らが過労状態に陥らないよう適切な措置を構ずべきことは当然」

 しかし、そうはいっても、中々過労状態にあった労働者による交通事故について使用者責任を問うことは珍しいですし、そのため責任が認められることもまれであることは間違いありません。

 もう少し弁護士側もこのような事件を掘り起こす必要があると反省させられる事件でした

 

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介護用品の存在により介護費用が減額されるとした裁判例(労災)

2018-02-10 14:33:06 | 損害賠償

 労災で重度な後遺症が残ったとき、必要に応じて介護用品の購入費用と介護費用に関する賠償が認められます。

 東京地裁平成28年9月12日判決は、四肢体幹麻痺の後遺障害のために体交用エアマットレスや電動車イスを購入した被災労働者について、家族による介護費用を減額すべきものとしました。

 被告らは、24時間介護は必要ないと主張しましたが、裁判所は体温調整や体交が必要であり、ほぼ一日の介護が必要だとしました。

 ただし、体交用エアマットレスや電動車イスのために家族による在宅介護の負担は多少軽減されているとし、一日8000円の介護費用を認定しました。

 介護用品があっても介護者が一日拘束されることにかわりはなく、安易に介護費用を減額することには疑問が残ります。

 

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樹木の剪定作業中の転落事故について、使用者に三点指示について指導しなかった過失が認められた事例(労災)

2018-02-09 17:05:53 | 損害賠償

 東京地方裁判所平成28年9月12日判決は、樹木の剪定作業中の転落事故について、使用者が三点指示について指導しなかったとして、使用者に過失を認めました。

 裁判所はまず、樹木の剪定作業においては、安全帯を使用して作業をし、別の枝に安全帯を架け替える際、三点指示の方法によって落下を防ぐことが一般的だったとしました。

 その上で、被災労働者は剪定作業の経験がなく、使用者側には三点指示の方法を具体的に教える義務があったとしました。

 ところが、現場代理人は三点指示の方法を具体的に教えることはなく、ただ単に自分がしているのを見せるだけでした。裁判所はそのため安全配慮義務違反があったとしました。

 経験のない労働者が分かるように安全対策を指導すべきは当然であり、判決は妥当かと思います。

 

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学校でのトラブルで教員の精神的負荷(過労死)

2018-02-07 17:12:28 | 労災保険

 東京高等裁判所平成29年2月23日判決は、うつ病に罹患し自殺をした教員の公務起因性が争われた事件です。

 この訴訟では労働時間なども争われていますが、学校でのトラブルをどう評価するかも問題となっています。

 被災労働者が担当していた学級では、平成18年4月から7月に、

・給食費滞納

・教材費滞納

・万引き疑惑事件

・上履き・体操着隠し事件

などが発生しました。

 控訴人は、これらはそれぞれ早期に解決した単発的なものであり、短期間に連続して起った事象とは評価できない、被災労働者の精神的負荷を強めるものとは評価できないとしました。

 しかし、裁判所は、担任になって間がない新任教諭にとっては相当の精神的負荷を与えるものであったとして、このような事情も含め公務災害を認めました。

 上記したようにトラブルが頻発した場合に新人教諭がストレスを感じることは常識的に想定されるところであり、裁判所の判断は穏当だったと思います。

 

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うつ病の発症時期(労災、過労死)

2018-02-05 16:38:25 | 過労死

 過労死などにおいてうつ病の発症時期が争点となることがありえます。

 これは、発症時期から遡って一定期間の残業時間の量が労災認定において重視されるため、発症時期がずれることによりうつ病罹患が労災なのか否かかわってくる場合もあるからです。

 この点、東京高裁平成29年2月23日判決は、公務外認定処分取消請求事件において、うつ病の症状の2つ以上が2週間以上持続したと考えられる平成18年7月初旬を発症時期とし、同年4月~5月が発症時期だとする控訴人(被告)の主張を退けました。

 この判断は、場合によっては労働者の不利に働くこともありうるので微妙ではあるのですが、この事案においては妥当な判断だったとは思います。

 

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