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自動車の名義貸しと運行供用者責任(交通事故)

2018-12-29 16:18:31 | その他

 自動車損害賠償保障法は以下のとおり定めます。

 第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。

 ですから、自分が運転していたわけではないとしても、運行供用者とされると、人身被害について賠償責任を負うことになります。

 最高裁平成30年12月17日判決は、この運行供用者に該当するかどうかについて判断を示しています。

 事案は、生活保護受給者(兄)が、自動車を所有すると生活保護が受給できなくなると考え、弟から名義を借りていたところ、兄が人身事故を起こしたというものです。

 被害者が弟に対し賠償請求を行いました。

 これについて、最高裁は、名義貸与は兄による自動車の所有を可能とし事故の危険の発生に寄与するものであった、弟が名義貸しを拒否できない事情もなかったとして、兄弟が別居し生計を別にしていたとしても、弟が兄による自動車の運行を事実上支配、管理することができたなどとして、運行供用者該当性を認めました。

 今後の運行供用者該当性判断に影響を及ぼす重大な判例と考えられます。


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10級の後遺障害で家屋改造費が認められた事例(交通事故)

2018-12-15 11:45:38 | 傷害事故

 重度の後遺障害が残る交通事故の場合、家屋改造費の賠償が認められることがあります。

 それほど重度の後遺障害ではなくとも、必要性によっては家屋改造費の賠償が認められることもあります。

 例えば、東京地裁平成28年1月22日判決は、事故当時75歳の被害者に左股間接の機能障害(10級)が残ったという事案で家屋改造費の賠償を認めました。

 原告は、段差の昇降が困難になったとして、玄関・浴室の手すり工事費用、外階段の手すり取り付け費用、階段昇降機設置費用、バスルーム改修費用などの請求をしました。

 それに対し、裁判所は、以下のとおり家屋改造の必要性を認めました。

原告は,本件事故により,① (a)施行令別表第2第10級11号相当の後遺障害(左股関節の機能障害)が残り,(b)杖歩行によることとなり,歩行が不安定となるとともにしゃがむ動作が困難となり,② 自宅内における移動や基本的な生活動作を行う際の転倒防止のため,自宅内の段差を解消したり,トイレや浴室等に手すりを設置する必要が生じたことが認められ

 しかし、同居家族も改造により一定の利便を享受しているとし、おおむね費用の70パーセントの賠償を認めました。

 このように、等級が必ずしも高くない場合でも家屋改造費が認められることがありますので、家屋改造をした場合にはとりあえず請求してみる姿勢が必要です。

 

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妊娠初期の交通事故と妊娠中絶に伴う損害賠償

2018-12-14 16:31:43 | 傷害事故

 妊娠中にレントゲン検査などにより放射線を受けると奇形が生じやすくなると指摘されています。

 そのため、妊婦が交通事故でケガをし、その治療の過程で放射線を浴びるような場合、損害賠償においてどのように扱うかが問題となります。

 大阪地裁平成17年1月31日判決は、交通事故により傷害を負い、肛門括約筋再建術を受けた妊婦が、妊娠に気づかないままレントゲン撮影などを受け、そのため胎児奇形などの不安を抱き、中絶をするに至ったという事案について、中絶費用は賠償の対象となるとしました。

 この裁判例では中絶による慰謝料については特に判断していないようです。かなり妊娠初期だったことがうかがわれ、そのため中絶に伴う慰謝料の請求自体なかったものものとも推測できます。しかし、やはり中絶自体の慰謝料についても一定程度認められるべきだったのではないかと考えます。

 なお、同判決では、後遺障害のため出産が困難となったことも考慮し、8級の等級で1200万円(通常より400万くらい高い)の慰謝料が認められていることもあわせてご紹介します。

 

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交通事故による後遺障害により一生排尿管理の必要がある場合と将来治療費

2018-12-13 09:55:40 | 傷害事故

 交通事故で傷害を負い、症状が固定し、後遺障害認定がなされた場合、それ以降の治療費は賠償されないのが原則です。症状固定はそれ以降症状が良くなることはないということであり、治療の意味がないからです。

 しかし、現実には治療費が必要な場合もあり、裁判所も場合によって症状固定後の治療費の賠償を認めています。

 例えば、東京地裁平成26年12月24日判決は、頚髄損傷による神経因性膀胱などの傷害を負った被害者が交通事故による後遺障害のため一生自己導尿が必要だとの医師の見解を踏まえ、これにかかる治療費や薬剤費について賠償の対象となるとしました。

 その上で、実際にかかった治療費のうち、自己導尿にかかった治療費・薬剤費とそれ以外とをよりわけ、自己導尿にかかった治療費・薬剤費が平均余命までかかるとして計算をし(中間利息は控除)、約150万円の将来治療費を認めました。

 症状固定後は治療費が賠償されることはないという原則に過剰にこだわることなく、症状固定後も必要な治療費などについて適切に請求していくことが必要です。

 

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搭乗者傷害保険金の支払いと慰謝料(交通事故)

2018-12-12 18:51:59 | 傷害事故

 

 自動車保険で搭乗者傷害保険をつけており、被害者が搭乗者傷害保険金を受領したとしても、その金額は損害額から控除されないというのが最高裁判例です。

 しかし、それが慰謝料に反映されるのかどうか、裁判例により分かれています。

 慰謝料額を低減する要素として働くとする裁判例もあります。

 しかし、慰謝料減額はできないとする裁判例もあります。

 例えば、広島高裁岡山支部平成24年9月28日判決は、被害者に搭乗者傷害保険1697万7500円の支払いがあった事案において、保険料を負担していたのが加害者ではないとして、慰謝料額の算定においても搭乗者傷害保険の受領は考慮されないとしました。

 考慮されるとすると、せっかく保険料を余計に払って特約に加入してもその効果が減殺されるわけですから、考慮されないという見解にも十分に根拠があるように思います。

 被害者側としては一切考慮されないという立場を堅持すべきことになるでしょう。

 

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醜状障害(14級)について250万円の慰謝料を認めた事例(交通事故)

2018-12-10 09:31:20 | 傷害事故

 交通事故で障害が残った場合、その等級に応じて慰謝料が払われるのが通常です。

 例えば、14級の後遺障害の場合、一般的には110万円程度の慰謝料となります。

 しかし、個々のケースにより、等級で想定される慰謝料より高額の慰謝料が認められることもあります。

 横浜地裁平成21年4月23日判決は、事故当時9歳の女児の右足部の醜状障害について、250万円の慰謝料を認めています。

  判決は以下のとおり指摘します。

 原告の背中には,皮膚移植の際に皮膚を切り取った部分(9センチメートル×6センチメートルよりやや大きい状況)が周囲より盛り上がり白くなっており,他の部分と異なり,目立つこと(甲26,27),ちょうど,キャミソールを着た場合,背中の空いた部分になり,半分くらい瘢痕が判ること,右足については傷跡があるため,新しい革靴を履くと傷跡がすれ,痛むこと,ハイヒールやバックバンドの靴も,傷跡に靴の部分があたり,履くと皮膚がめくれ出血し,痛いこと,学校において,平成20年夏,運動会の時期,裸足で行う行事があった際,他の生徒から「こいつの足汚いんだよな」と言われたこと,プールの際にも男子生徒から「こいつの足気持ち悪いんだぞ」などと言われたこと,原告は,温泉など知らない人の入るお風呂に行くと,じろじろと足の傷や背中の傷を見られることから,温泉等の公衆の集まる風呂やプール等を嫌がっていることが認められる(甲37,B)。原告が思春期にかかる年頃であり,同級生等から足の傷を指摘されている様子や年頃の女性として,服装が限られるといったこと,先に認められたように,再手術により形成手術を受けたとしても,きれいに回復するかは不明な模様であることを加えて考慮すると,原告の後遺障害は,14級に相当する慰謝料のみではなく,上記事情を加え,250万円が相当である。

 あくまで等級は一つの目安でしかなく、被害者の属性や実際の経験などにより通常より強く精神的苦痛を感じるような事情があるのであれば慰謝料を増額させるということは極めて妥当だと思います。


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胎児が死亡した場合の慰謝料(交通事故)

2018-12-08 13:20:25 | 死亡事故

 

 出産を楽しみにしていたお腹の赤ちゃんが交通事故で死亡した場合のご遺族の悲しみは察するにあまりあります。

 しかし、胎児は法律的には人とは扱われないので、慰謝料請求の場面では母親らの慰謝料に胎児分の慰謝料を上乗せすることになります。

 この点、高松高等裁判所平成4年9月17日判決は、胎児が死亡したことについて、母親の慰謝料に800万円の上乗せをしています。

 胎児は10ケ月目に入っていました。

 安定期まで来るとやはり相応の慰謝料が上乗せされるということになるでしょう。慰謝料額は妊娠月数によってかなり影響される可能性があると考えます。

 

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事故態様の悪質さと慰謝料額(交通事故)

2018-12-07 15:41:35 | 死亡事故

 

 交通事故で被害者が死亡した場合、一般的には慰謝料額は2000~2800万円とされます。

 人の命は皆同じ価値です。ですから慰謝料額に極端な差がないというのは合理的ともいえます。

 他方、やはり悪質な事故については被害者の憤りも大きいため、そのような感情に対する配慮が必要となります。

 そのため、特に悪質な態様の交通事故については通常より慰謝料額が大きくなることがあります。

 例えば、東京地裁平成28年4月27日判決では、被害者本人の死亡慰謝料3200万円、遺族の固有慰謝料300万円としており、かなり高い慰謝料額となっています。

 裁判所は、酒酔い運転であったこと、指定制限速度50キロメートルの道路で時速85~95キロメートルの速度で走行していたこと、センターラインオーバーであったことなどの事情を踏まえて慰謝料を決定しています。

 特に重大な結果を招いた事故については事故態様の悪質性についてきちんと主張立証することは重要なのです。

 

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家族の介護に従事していた主婦の逸失利益(交通事故)

2018-12-06 08:56:02 | 死亡事故

 

 交通事故で被害者が死亡した場合、収入を得られる能力が失われたとして逸失利益の賠償がなされます。給与所得者であれば給与を基準に算定がされますが、主婦の場合には女性の平均賃金をもとに計算がなされることになります。家事労働を女性の平均賃金で評価することになるからです。

 この点、家族の介護にも従事していた主婦の逸失利益の算定をどうすべきか問題となります。

 東京地裁平成28年4月27日判決は、女性の平均賃金に、介護分(一日1000円)を加算した上で逸失利益を算定すべきとしました。

 主婦の中でも、介護に従事していた人とそうでない人を区別することの合理性には疑問もありえます。小さいお子様がいらっしゃる被害者との均衡上も不合理感は否めません。他方、介護に従事していた人が亡くなった場合、現実に施設などの入所し介護費用が増加するという現実と考えた場合、首肯する余地のある裁判例であると考えます。

 

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後遺障害等級不認定の場合と後遺障害慰謝料(交通事故)

2018-12-05 11:51:18 | 傷害事故

 

 交通事故で後遺障害が残った場合、後遺障害の等級に応じて慰謝料が発生することになります。

 そして、後遺障害の等級認定については基準があるため、後遺障害はあっても等級の認定がされない場合があります。

 通常は、そのような場合、後遺障害があることを理由とした慰謝料は発生しないことになりますが、少額の慰謝料が発生することもあります。

 例えば、大阪地裁平成28年10月28日判決は、被害者の右眉付近に前額部挫創後の線状痕が残ったという事例について判断しています。

 被害者の線状痕は約2センチメートルであり、長さ3センチメートルという後遺障害の基準を満たしませんでした。

 しかし、裁判所は、被害者について、「本件業務を廃業するまで約20年間美容関係の業務に従事してきたほか、芸能プロダクションに登録して広告やCMに出演するなどしてきたことが認められる」として慰謝料30万円を認めました。

 このように、たとえ基準を満たさないとしても、被害者の属性によっては後遺障害が大きな意味を持つことがありえますので、等級認定がされない場合でも後遺障害の慰謝料を広く認めるべきだと考えます。

 

 

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