宇都宮地裁平成25年4月24日判決は、クレーン車運転中にてんかん発作で意識を喪失し、歩行中の児童6名を死亡させた事故について、運転手の母に損害賠償責任を認めています。
この事件は大きく報道され、社会的注目を浴びた事件です。のみならず、疾患を持つ者による交通事故について親族が法的責任を負うのか、どのような場合に負うのかという法的問題について重要は判断を示しているのでご紹介します。
運転手の同居の母は、運転手がてんかんであること、薬を飲まないと発作が出てくること、事故前夜に薬を飲んでいないことを認識していました。その他、免許の欠格事由に該当することを知りつつ母が運転手に何度も自動車を買い与えたこと、クレーン車の運転免許試験当日も運転手がてんかんの発作を起こしているにも関わらず母が運転手を自動車で送ったこと、運転手がそれまでてんかん発作による交通事故を5回も起こしていること、交通事故による刑事訴訟の際に母がてんかんによる事故であることを知りつつ寝不足による事故であると証言したこと等の事情がありました。
裁判所は、上記の事情を踏まえ、母には運転を回避するため会社に通報する法的義務があったのにそれを怠ったとして、損害賠償義務を認めました。
母の責任がかなり重大だと思われるケースですので、結論は穏当かと思います。但し、極端な事例ですので、一般化は難しいと思います。
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弁護士 齋 藤 裕(新潟県弁護士会所属)
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