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採用試験を受けることができなかったことの損害(交通事故)

2016-08-31 17:29:41 | 傷害事故

 交通事故で仕事をすることができなくなり給料をもらえなくなれば、その分について休業損害などの賠償を受けることができることになります。

 しかし、まだ仕事をしていない人が、交通事故により採用試験を受けることができなかったような場合、通常は、採用試験に通るとは限らないので、採用を前提とした賠償請求は認められにくいでしょう(何らかの仕事につくことが想定されたような場合、採用試験を受けていればかなりの確率で採用されたような場合は例外でしょう)。

 この点、東京地裁平成16年9月15日判決は、交通事故のため警察官採用試験を受験できなかった被害者について、採用を前提とした逸失利益は認められないとしました。他方、入通院慰謝料算定の際に受験できなかったことを考慮すべきものとしています。

 このように、採用試験を受験できなかったことについては、慰謝料で考慮される場合もありますので、主張立証はすべきということになりそうです。

 

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夫婦で行っている事業についての休業損害・逸失利益(交通事故)

2016-08-27 11:58:01 | 傷害事故

 交通事故でケガをして働くことができなくなった場合、休業損害・逸失利益が発生します。

 サラリーマンであればその計算は簡単ですが、複数人で自営業をしている場合、それほど簡単に休業損害・逸失利益が算定されるわけではありません。

 この点、松江地方裁判所昭和49年4月15日判決は、夫婦で行っている農業経営について、妻の寄与分を3割とし、逸失利益の算定を行っています。

 具体的には、

ⅰ 夫は栽培した苗木などを3~6月、8~11月にかけ行商していたこと

ⅱ 妻のみがその間植木の育成を担当していたこと

ⅲ 妻は2人の子どもがおり、家事・育児に手を取られていたこと

などの事情から妻の寄与度を3割と認めたのです。

 古い裁判例ですが、寄与度の認定手法としては現在にも通じ、参考になるものとおもわれます。

 

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赤字自営業者の休業損害(交通事故)

2016-08-26 18:51:33 | 傷害事故

 自営業者が交通事故でケガをした場合、減収分について休業損害が認められます。

 すると、赤字の自営業者について、そもそも減収を認めることができず、休業損害が発生しないのではないか問題となります。

 この点、東京地裁平成24年8月29日判決は、赤字の事業者についても休業損害を認めています。

 同判決は、建物の火災により損害を被った借主が貸主に対して行った損害賠償請求に関するものです。

 当該事業者は損失計上を続けてきました。しかし、裁判所は、火災がなければ損失計上額を低く抑えることができたとして、火災がなければ生じたであろう損失額と火災の後の損失額との差から休業損害を算定すべきとしました。

 このように赤字の自営業者だからといって休業損害を諦める必要はないのです。

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自動車損害賠償保障事業について その2

2016-08-24 16:58:03 | 保険

 今回は政府の自動車損害賠償保障事業で支払われる金額についてご説明します。

 自賠法施行令により、保険金の限度額は自賠責保険と同じということになります。

 自賠責保険では、被害者に重過失がある場合に一定割合で支給額げ減額されます。平成19年4月1日以降の事故については、自動車損害賠償保障事業についても、7割以上の重過失がある場合のみ2~5割の減額がなされることになっています(それ以前の事故については、過失割合に応じてそのまま減額がなされていました)。

 以上は自賠責保険との共通点ですが、自動車損害賠償保障事業の特殊性もあります。 

 例えば、自動車損害賠償保障事業については、自動車損害賠償保障法73条において、健康保険法や労災保険法等による支給がなされる(べき)場合には、その分について保障がなされないこととされています。これは支給を受けるべき場合ということであり、実際に支給がなくても健康保険法等による支給分が控除されることに注意が必要です。

 

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自動車損害賠償保障事業について その1

2016-08-23 11:00:05 | 保険

 自動車については自賠責に加入するのが義務付けられているので、交通事故被害者は最低限自賠責の限度で賠償を受けられるのが通常です。

 しかし、自賠責が付保されていない自動車による事故、ひき逃げで加害自動車が判明しない場合もあり得ます。そのような場合には政府の自動車損害賠償保障事業から支払いを受けることができます。

 まず、支払いを受けられる要件については、自動車損害賠償保障法72条において、自動車の運行によって生命又は身体を害された者がある場合であって、

ⅰ 自動車の保有者が明らかではないこと

あるいは

ⅱ 保険の被保険者以外の者のみが損害賠償責任を負う場合

とされています。

 ⅰはひき逃げの場合などです。

 ⅱは、無保険車による事故の場合などです。

 物損のみの場合には保障を受けることはできません。

 なお、2台の自動車から被害を受けた事故で、1台について自賠責に加入していた場合には、政府保障事業が最低限の保障をすることを目的としていることとの関係から、政府保障事業からの支払いは受けることができないとされています。

 

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後遺症2級事案の慰謝料額(交通事故)

2016-08-20 13:13:59 | 傷害事故

 今回は、民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準下巻2016年版所収「裁判例における死亡・後遺症慰謝料の認定基準」に基づき、後遺症2級事案の慰謝料額について検討します。

 赤本では、後遺症2級事案の慰謝料は2370万円が基準とされています。

 上記論文にもとづくと、本人の慰謝料としては、2370~2400万円程度の慰謝料が認定されている事例が圧倒的に多いようです。1700万円、2500万円を認定した事例もありますが、極めて例外的です。

 他方、上記論文は、近親者慰謝料が常に認定されているわけではない、近親者慰謝料が認定される場合には200~300万円のケースが多い、それ以上の額を認定する場合もあるとしています。

 実際、まれですが600万円を超える近親者慰謝料が認定される場合もあるようです。400万円程度の慰謝料のケースは少数ながら一定割合で存在するということのようです。

 やはり後遺症2級の事案について、本人の慰謝料が基準より大幅に増えることは簡単ではないものの、近親者慰謝料については立証次第でそれなりの金額となる可能性はあるようです。

 

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後遺症1級事案の慰謝料額(交通事故)

2016-08-18 09:59:57 | 傷害事故

 前回に引き続き、民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(赤本)下巻2016年版所収「裁判例における死亡・後遺症慰謝料の認定基準」を素材に慰謝料額の検討を行います。

 今回は後遺症1級事案の慰謝料額を検討します。

 赤本基準では、後遺症1級障害の慰謝料は2800万円とされています。その他、近親者の慰謝料も認められるとされます。

 上記論文掲載の図によると、後遺症1級障害の本人分慰謝料額は、2200万円から3000万円の範囲内で分布しています。もっとも多いのが2800万円であり、次は3000万円という状況です。

 近親者の慰謝料は、100万円程度から1000万円程度まで幅広く分布しています。特定の金額が多いという傾向はないようです。

 本人慰謝料が2200万円の場合に近親者慰謝料が100万円となっているという組み合わせがあり、年齢や事故態様により慰謝料額が低めになっている可能性があります。

 逆に、本人の慰謝料3000万円の場合には近親者慰謝料が3百数十万円から900万円、2800万円の場合には近親者慰謝料100万円以下から1000万円までと、かなり幅広く分布をしています。この場合も、近親者慰謝料について特定の金額に集中している傾向を見ることはできません。

 以上から、後遺症1級事案について、本人の慰謝料は2800~3000万円の範囲(どちらかというと2800万円寄り)で認定される傾向がありつつ、近親者慰謝料については個々の事情に強く影響され定型化されないで金額が認定されていることが明らかとなります。また、本人慰謝料+近親者慰謝料のトータルが決まっているという実態もなさそうであり、むしろトータル額は近親者慰謝料額に大きく左右される傾向がありそうです。

 

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死亡した方の年齢と慰謝料について その2

2016-08-17 18:22:26 | 死亡事故

 赤本は、一家の支柱が亡くなった場合、母親・配偶者が亡くなった場合、その他の方が亡くなった場合と場合分けし、従来その他の方については死亡慰謝料は2000万円から2200万円とされてきました。2016年版では2000~2500万円と改定されています。

 前回ご紹介した民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(赤本)下巻2016年版所収の「裁判例における死亡・後遺症慰謝料の認定水準」はこのその他の方の慰謝料についても裁判における認定額の分析をしています。

 そこでは、0歳から20歳までの年齢層では、1800万円から3300万円程度とかなり広いばらつきが見られます。しかし、2200~2800万円の間で認定された事例が多いように思われます。

 これが60歳から80歳になると、2000万円から2600万円の範囲にすべて収まります。

 80歳以上となると、2000万円から2400万円の範囲にかなりのものが収まることになります。ただし、2500万円程度の事例もあります。

 その他の方の事例から見ても、裁判所が年齢を重視する傾向にあることが明らかです。

 また、そうはいっても、80歳超で2500万円という赤本基準の上限程度の慰謝料が認められる事例もあるため、個別事情の立証の重要性も確認されるべきでしょう。

 

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死亡した方の年齢と慰謝料について

2016-08-15 18:38:04 | 死亡事故

 いわゆる赤本(民事交通訴訟 損害賠償算定基準)の2016年版下巻に「裁判例における死亡・後遺症慰謝料の認定水準」との論文が掲載されています。

 これは、各種裁判例について統計をとり、実際裁判所でどの程度の慰謝料が認定されているかを検討したもので、参考になるものです。

 今回、同論文中、裁判例における母親・配偶者の慰謝料額の分布について記載した部分について紹介をします。

 赤本2016年版上巻では、母親・配偶者死亡の場合の慰謝料は2500万円とされています(従来は2400万円)。

 上記論文では、母親・配偶者死亡の場合の慰謝料としては2400万円から2500万円の裁判例が多いと紹介されています。

 統計上は、2000万円を下回るものから3200万円を超えるものまで、かなり幅広く分布しています。

 30代から50代までは大部分が2400万円を超えており、2600万円を超える事例も数多くあります。少数ながら各年代で3000万円以上の事例もあります。

 ところが、60代になると2200万円、2300万円という事例も散見されるようになります。2800万円が上限という状況となります。

 70代となると、3000万円を超える事例もありつつ、2200万円以下の事例の割合が増え、2000万円という事例も出てきます。

 80代となると、上限が2500万円であり、2000万円を下回る事例さえ出てきます。

 これらは、

 ⅰ 60代を超えると慰謝料額が低くなる傾向がある、80代を超えるとそれが顕著になる

 ⅱ そうはいっても、個別の要素によっては年代を問わず高額の慰謝料が認められることもありうる

ことをしめしていると思われます。

 おそらく裁判所は平均余命を慰謝料額算定の上で考慮していると思われます。

 60代を超える方の慰謝料については、その方とご遺族との関係性、加害の悪質性などをより丁寧に主張立証していく必要がありそうです。

 

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交通事故と障害年金 その12 支給停止期間

2016-08-12 13:42:00 | その他

 交通事故で障害年金を受給する場合に注意しなければならないのは、損害賠償等を受け取った場合に、障害年金の支給が事故から最大3年間停止がなされる可能性があるということです。

 これは、損害賠償金のうち、生活補償費に相当する金額と障害年金との調整を行うものです。ですから、慰謝料や医療費が支給されても障害年金の支給が停止されることにはなりません。

 なお、年金が先に支給され、その後に賠償がされた場合、保険支給後に年金支給が停止することになります。その場合、事故から最大でも3年間たてば再び年金が支給されることになります。ただし、3年経過後、3年経過前に支払われた年金部分の精算のため、2分の1支給となる場合もあります。

 このように交通事故による損害賠償と障害年金とは支給調整がされますが、それでも障害年金を受給した方がプラスになることも多いと思いますので、障害年金の請求ができる場合には積極的に対応した方がよいと思います。

 

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