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繊維筋痛症と交通事故

2016-12-31 11:17:06 | 傷害事故

 繊維筋痛症とは、全身やある部分だけが痛む慢性性の疾患です。軽度の痛みの場合もありますが、耐え難い痛みのときもあります。中高年女性に多いと言われています。精神性ストレスで発症することもあるものの、事故によって発症することもあると言われています。

 交通事故による繊維筋痛症と診断される例はありますが、裁判所はその認定には極めて慎重です。

 例えば、東京地裁平成26年1月29日判決は、現在の医学的知見を理由として、繊維筋痛症を後遺障害として認定しませんでした。

 また、東京地裁平成24年9月13日判決は、外傷以外の原因により生じた可能性を否定できないとして、繊維筋痛症と交通事故との因果関係を否定しました。

 以上のとおり、かなり繊維筋痛症については後遺症としての認定のハードルは高くなっています。しかし、従来認められなかった後遺症が認められていくのが交通事故裁判の歴史ではありますので、決してあきらめず主張を続けていくことが重要だと思います。

 

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                       弁護士 齋 藤 裕(新潟県弁護士会所属)

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胸郭出口症候群(TOS)をめぐる裁判例(交通事故)

2016-12-30 16:56:50 | 傷害事故

 胸郭出口症候群(TOS)は、胸郭出口及びその近傍における腕神経叢・鎖骨下動静脈の圧迫や伸長によって生じた上肢の痛みやしびれを有する症候群です。上肢の痛み・しびれ、手指のうっ血・むくみ、頭痛・吐き気・めまいなどの症状があります。これは非外傷性と外傷性のものがあり、交通事故により発生することもあります。

 さいたま地裁平成20年3月28日判決では、胸郭出口症候群(TOS)が交通事故により生じたものかどうかが争いになった事例で、因果関係を認めました。

 裁判所は、

ⅰ 原告には奇形など非外傷性TOSの要因となるものはなかった

ⅱ 事故前にTOSの症状を訴えていなかった

ⅲ 原告は事故により体の右側を強打したこと

などの事情から、事故前にはTOSはなく、交通事故によりTOSが生じたと認定しました。

 なお、裁判所は、首から肩にかけての痛みや右上肢母指側のしびれがあるとして、12級に該当する後遺障害を認定し、20パーセントの労働能力喪失を認めました。

 TOSについて公刊されている裁判例は少なく、参考になる裁判例と思われます。

 

 

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外側線の意味(交通事故)

2016-12-29 13:05:07 | その他

 車道の外側線は、歩道がある場合とない場合とで法的意味が違ってきます。

 歩道がない場合、車道の外側線は路側帯を表示する道路標示とされ、外側線の外側は車道ではないことになります。

 しかし、歩道がある場合、外側線と歩道の間は車道ということになります。

 広島高裁岡山支部平成26年8月7日判決は、車道の外側線にまたがった追い越しが過失と言えるかどうか問われた訴訟の判決ですが、歩道がある箇所の外側線をまたいだに過ぎないなどとして過失を否定しました。

 同じ外側線であっても、その位置を考慮して法的意味を検討する必要があるのです。

 

 

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バリアフリーマンションへの転居と損害賠償(交通事故)

2016-12-24 12:55:37 | 傷害事故

 交通事故で障害が残った場合、家屋を改造する必要がある場合もありますが、もともと賃借物件に住んでいた人であればバリアフリー物件に引っ越すこともありうるでしょう。

 東京地裁平成28年2月25日判決は、常に介護を要する後遺障害が残った被害者のバリアフリー物件への引っ越しに関し、一部賃料差額を賠償として認めています。

 被害者はもともと賃料月額16万3000円の非バリアフリーの物件に居住していました。それが事故を原因として、賃料月額20万円の物件に引っ越しています。差額は3万7000円となります。

 裁判所は、各マンションは間取りも立地条件も違うなどとして単純に差額を損害とすることはできないとして、月額3万円を損害額として認定しました。

 確かに、賃貸物件の場合には引っ越し前後の物件の賃料差額をそのまま損害額として認定することができない場合は多いと思われ、やむを得ない判断かと思われます。

 

 

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治療費は1点10円で計算すべきか(交通事故)

2016-12-10 15:17:44 | 傷害事故

 交通事故でケガをした場合、多くの場合医療機関は自由診療として治療をします。自由診療の場合、治療費をいくらにするかは医療機関の判断ということになります。そうすると、医療機関がいくら高い値段を設定しても加害者(保険会社)が賠償しなければならないのか問題となりえます。

 この点、東京地裁平成25年8月6日判決は、健康保険における診療報酬体系にならい、1点10円で治療費を算定すべきだとします。

 他方、東京地裁平成27年9月9日判決は、自由診療において健康保険における診療報酬体系にならう必要がないなどとして、実際に医療機関がそうしたように1点20円で治療費を算定すべきだとしています。

 患者が医療機関に対して一点10円でなければおかしいと言いにくい事情もあるでしょうから、1点10円で治療費を算定するとの扱いは妥当とは言えないと考えます

 

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保育料を損害として認めた事例(交通事故)

2016-12-08 19:22:50 | 傷害事故

 東京地裁平成28年2月25日判決は、保育料を交通事故の損害として認めています。

 この事例では、被害者は、外傷性クモ膜下出血などの重傷を負い、入院をしました。被害者の親は、被害者の付添をする必要があり、生後間もない被害者の弟について緊急一時保育の利用をし、32日間、計4万4800円を要しました。被告側はこれを争っています。

 裁判所は、この損害をすべて認定し、賠償を命じました。

 傷害の程度を考慮した場合、緊急一時保育を利用しないことは不可能と思われ、妥当は判決かと思います。

 

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飲食店経営者の逸失利益(交通事故)

2016-12-07 16:19:45 | 死亡事故

 交通事故で会社役員が死亡等した場合、必ずしも役員報酬そのものが逸失利益を計算する前提となる基礎収入となるわけではありません。会社役員の報酬には労務対価部分だけではなく、利益配当の部分もあると考えられるからです。

 東京地裁平成27年12月10日判決は、飲食店経営者(有限会社代表者)が死亡した交通事故について、労務対価部分に係る判断を示しています。

 この会社は、資本金300万円、従業員50名の同族会社でした。代表者が受領していた年間報酬は3600万円です。代表者は管理業務だけではなく調理業務も行っていました。

 裁判で、加害者側は、起訴収入を1500万円とする限度では争わないが、それを超える分については争うとしていました。

 裁判所は、賃金センサス上の飲食サービス業の部長級従業員及び調理師の全年齢平均賃金の合計額を勘案し、加害者側が争わないとしている年収1500万円をを超過する労務対価部分はないとして、基礎収入を1500万円と認定しました。

 労務対価部分の認定方法に関して参考になる判断かと思います。

 

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