新潟久紀ブログ版retrospective

燕市企画財政課21「地方創生交付金を活かせ(その4)」編

●地方創生交付金を活かせ(その4)

 「創造的産業振興」「コミュニティー振興」「文化スポーツ交流振興」の三つの柱で大きく再編した施策群により地方創生に向けた人口減少対策を進めていくという新機軸の打出しは、既往の取組みから見て非常にドラスティックなものであり、国の交付金欲しさに派手な目新しさだけのものではないかと誤解されずに国地方創生推進本部の事業計画承認を得るためには、その実効性を担保する仕組みの客観性ある明示が必要だと思われた。市の長期計画策定と進捗管理のために各界の有識者で構成される委員会を、地方創生事業のお目付け役的な機関に位置づけて取組みの評価と指導助言を頂く仕組みを講じたり、そのための定点観測の目安として、投じた事業量というインプット指標でなく、取組みで得られる成果で測るアウトカム指標でできるだけ設定することとした。
 更にダメ押しとして、地方創生推進本部に近い存在の例の"伝道師"を、燕市の地方創生の取組みの総合的なアドバイザーとなっていただくことを考えた。政府の方針と全国自治体の取組みに精通するこの御方から見守っていただき適宜のご指導ご助言を頂けることとできれば、地方の小都市に陥りがちな"井の中"の論理を越えた取組みにつながるという内外関係者の心証も高まるであろう。私は市長の了承を得て、くだんの"伝道師"(「燕市企画財政課20」を参照)にお会いするため上京することとした。
 色々な役職をお持ちのために各種の活動でとにかく忙しくあちこちを飛び回っておられる伝道師様は、12月の半ばにお会いできるお時間を頂けることとなったが、それも霞ヶ関の某省庁の課長との折衝面談を終えた後の隙間時間でということだった。日程調整の電話で伝道師様曰く「当該課長との面談はきっかり何時に終わるとは言えないので、なんならその課長面談から同席してみるか。国本省のキャリア官僚と私とのやりとりは勉強にもなると思うよ」。なんという破天荒か。しかし面白い。私は即座にお願いして、上京の当日に国某省の本庁舎玄関口で伝道師様と落ち合うこととした。
 果たして約束の時間。伝道師様は自身の事務所の幹部である年輩の男性一人と、中年の男女一人ずつを従えて現場に現れた。詳しくは書けないのだが、当該男女二人はとある生産団体の幹部であり、国へ制度改正について申し入れたいという思いをお持ちとのことだった。代議士経験者でもある伝道師様が国省庁の担当課長との面談を取り持ったということのようであった。我々地方自治体の課長などやっていると、日頃やり取りする国の相手方はせいぜい地方局の課長クラスであり、本省のキャリア官僚である課長などと容易に面談できるものではない。さすが伝道師様の神通力だ。その時点では既に国会議員では無かったが、その人柄や活躍ぶりで国本省の課長までもおびき出す力量だと推察できた。私は、この御方に是非とも燕市を応援していただきたいという気持ちを更に強くした。
 生産団体役員と国本省課長らとのやり取りは一時間ほどに及び、私がもともと伝道師様と予定していた面談時間を押してしまった。やはり国本省幹部との折衝から同席しておいたことで待ちぼうけを喰らうことがなくて良かった。それでも伝道師様は、わざわざ新潟の燕市くんだりから上京してきてくれた私との約束時間が押してしまったことを申し訳なく思ってくれて、国省庁の近くの公園にある行きつけと思しきテラスへと私を誘導しながらしきりにお詫びの言葉を掛けてくれた。私としては思いがけず国省庁と民官団体幹部との折衝に立ち合えて非常に面白く、むしろ有難かったとお礼を申し上げた。
 さて、伝道師様と事務所幹部、そして私の三人で公園テラスのカフェに入ると、コーヒーを飲みながら、私は、そもそも上京してきた目的である、燕市の地方創生の取組みのオブザーバーになって欲しい旨を申し入れさせて頂いた。1か月程前に伝道師様のお話を聴いて大いに刺激を受けたこと、短期間の間に大きく施策を見直し再構築して政策横断的な施策の展開により燕市として独自性の高い地方創生に取組む準備をしてきたこと、そのために地方創生推進交付金を最大限活用したいので、そのためのご指導ご助言を頂きたいこと、などなど、指定された限られた僅か数分間の時間の中で、情熱を込めて話させていただいた。

(「燕市企画財政課21「地方創生交付金を活かせ(その4)」編」終わり。県職員としては異例の職場となる燕市役所の企画財政課長への出向の回顧録「燕市企画財政課22「地方創生交付金を活かせ(その5)」編」に続きます。)
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