新潟久紀ブログ版retrospective

燕市企画財政課7「市議会の県議会との違いに驚き」編

●市議会の県議会との違いに驚き

 市役所勤務で一番の驚きは、県と大きく異なる議会の作法である。
 県庁勤めにおいては課長職ではなかったので、本会議はもとより委員会で答弁する経験は無かったのであるが、本会議は庁内ライブ放映で閲覧していたほか、委員会では説明補助員として部長や課長ら答弁者の後ろに控えて傍聴したり必要に応じて答弁を補助するためのメモ渡しなどをしていたので、県の議会の進行や作法というのは熟知していた。
 県の議会は、大雑把に言えば、本会議の開会が先ず最初にあって、議案を説明する連合委員会や、県政全般にわたって知事や部長に質すために会派の代表が総括的に行う代表質問と個々の議員の立場で行う一般質問が本会議のメインとして行われ、次いで政策分野に分かれた常任委員会において各々に委員として配属された県議達が部課長達に実務的な内容等の質疑を行い、委員会で乾かなかった論点について最後に連合委員会で知事に質すというのが基本形である。
 一方で、市議会においては、本会議の開会前に全員協議会というものが開催されて、提案予定の予算などの議案について担当課長から説明を受けた議員の誰もが質疑できるという、本会議の前捌き的な会議があるのだ。会議の時間に制約はないのだが、さすがに全員が気の済むまで質疑していてはいつまでも議事が終わらない恐れもある。なので、燕市においては、一議員が一案件についての質問は3回までという議会運営ルールが設けられていた。
 それでも事前通告なしで現場でいきなり思いついた質疑に応じるわけだし、3回の質問がどのように展開していくかは議員次第で全く予知できない。私が赴任する以前には、重い案件などあると、朝の9:30から始めて夜の8時頃まで掛かったとか、時には翌日にまで延長したこともあるとか、大変なこともあったという。
 更に、施策の方針や計画案の説明など議案以外の"事柄案件"についても、議会時期に併せて議員に説明して質疑を受けることが多く、それは議員協議会と称する場で行われ、作法などは全員協議会とほぼ同じものとなっていた。つまり、本会議の開催時期になると、その数日前に全員協議会が必ず、殆どの場合において議員協議会が併せて開催され、本会議の前に議案や懸案の実質的な質疑応答がやり尽くされるという形になるのだ。
 加えて大変なのが、議会といえば県においては、6月、9月、12月、2月と四半期ごとに開会される定例会が基本であるが、市町村では定例会以外のその合間に臨時会が頻繁に開催されるのが常態となっている。例えば、県が定例会で市町村向けの補助金などの補正予算を新たにもしくは増額などして議決すると、それを適時に受け入れて執行するために市町村側は即座に補正予算を組まねばならない。そのためには、数件の予算議案であっても議会を開会して議決する必要が生じるのだ。
 私が赴任した平成28年度は、国による地方創生関係の交付金制度の推進がめざましいころで、次々と地方への配分方策が展開されるものだから、その都度機を逃すまいと補正予算で受皿を作る必要が生じており、毎月のように臨時議会を開会する状況になっていた。
 地方創生関連の制度は創設まもなく、県や市町村の現場では馴染みの薄いものであったので、そもそも論から重箱の隅をつつくようなものまで、ありとあらゆる気づきから生まれる自由な質問が議員から浴びせられ、オーソドックスな財政制度には長けていた私も応答に相当難渋したものだ。
 市政を超えた天下国家を問うような質問からドブ板の極みのような質問まで、議員さん達の自由闊達な質疑には本当に苦労させられ、辟易たる出向の2年間であったが、丁々発止で応答していくといういわば真剣勝負の経験は、県に戻っても必ずや活かしていけるだろうと感じたものだ。

(「燕市企画財政課7「市議会の県議会との違いに驚き」編」終わり。県職員としては異例の職場となる燕市役所の企画財政課長への出向の回顧録「燕市企画財政課8「行政改革推進委員会」編」に続きます。)
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