中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

中国の米線と米粉について=その1

2018年02月14日 | 少数民族の食べ物

中国には、「米線」や「米粉」と呼ばれる「米」で作られた食べ物があります。「米線」を中日辞典(小学館)で調べると「やや太めに作られたビーフン(米粉)」とあります。「米粉」と云う言葉は載っていません。愛知大学扁の中日大辞典(注:大修館・第二版)には、米線と云う単語は載っていませんが、「米粉」については、「ビーフン。米の粉で春雨のように作った食品」とあります。但し、米線は中国語(普通語)では、mi xianと云う様に発音され、米粉は、mi fenと発音する。

現代漢語辞典には「米線」に付いては、「米線は方言で、米粉と云う」との説明があり、「米を水に浸しドロドロにしてから丸め、その後に麺状に加工した食品」と云う様に説明してあります。私が見る限りでは、何れの辞書・辞典も説明が不十分だと思います。また、正しい説明とは云えない様に思います。

これが米粉と呼ばれる物で、中国語ではmi fen と発音する。


分かり難いですが、手前の物が細い米線で奥に見えるのが米粉。


これが米粉。

 

「原味雲南」(雲南人民出版社)の中では、雲南省で食べられる様々な「米線」に付いてのかなり詳しい記載があります。この本の中では、雲南省では「米線」は、干奬米線と酸奬米線の二種類に分けられ、さらに干奬米線は、新鮮米線(生の米線)と干米線(乾燥させた物)に分けられるとしています。

干米線とは、その名の通り米線を作った後、乾燥させた物を指し、雲南省では、何方かかと云えば新鮮米線と呼ばれる乾燥しない種類の米線が食べられる事が多い様で、これは蒸したり、湯通ししてあるので、新鮮米線の場合は、これに冷たいタレをかけてそのまま食べる事が出来ます。

「原味雲南」の中では、米線の食べ方として、「熱吃」「冷吃」とに分けています。熱吃とは、湯に入れて食べる(注:中国語の湯とは、スープを意味する。)また、煮たり、炒めたりして食べる食べ方。「冷吃」とは、米線にタレをかけて食べる食べ方を指す。今私が滞在中の大理古城では、鶏肉冷米線が有名ですが、これは米線に鶏肉等が載っていて、その上に冷たいタレを掛けて食べます。

雲南省は一般的に暑いので夏などは冷米線が良く食べられている様に思います。私は三年程貴州省に滞在していたのですが、貴陽市にある有名な「花渓羊肉米線」には、冷たいタレを掛て食べると云う食べ方は無かった様に思います。スープを張って食べる食べ方で所謂「熱吃」のみでした。


貴州省貴陽市の花渓にある有名な「羊肉米線」。


これが、冷米線と呼ばれる物で、米線に冷たいタレをかけて食べる。

 

これは「炒米線」と呼ばれる物で、米線を肉や野菜で炒めた米線。


これは「小鍋米線」と云う物で土鍋や銅鍋で米線を煮込む。米線に味が染みて美味しいです。昆明市内には小鍋米線を売りにしている店もあります。大理等では「砂鍋米線」とも呼びます’。


土鍋等で煮込んだ後、この様に普通の丼に移し替えて出す店もある。良く味が浸みていて美味しい。


有名な雲南省の過橋米線も「熱吃」の一種類と云う事になります。雲南省の米線と云うと日本などでも過橋米線を専ら思い浮かべる人が多いと思いますが、これも「熱吃」の内の一種類で、昆明市内でも過橋米線は、一杯18元から25元と高いので、普段地元の人が食べるのは普通の湯米線か冷米線が多い様です。どちらかと云うと過橋米線は、米線の食べ方としては、特別な食し方と云えると思います。中国では、広西省の桂林米線、南寧の螺子(タニシ)米線、貴州省の花渓羊肉米線、六盤水の羊肉米線等が有名で、その土地毎に色々な米線があります。


過橋米線も、色々ある熱米線の食べ方の一つですが、色々な形がある。基本は具とスープが分かれて出されてきます。雲南省建水県の過橋米線。


これは昆明市にある有名な建新園の過橋米線。昆明の本店は今も18元です。

 

米線には店に拠っては、やや太めの米線と細めの米線があり、自分で好きな方を選ぶ事が出来ます。注文する時に「粗」(注:粗(cu)とは太い)か、「細」(中国語で、細(xi)は細いと云う意味)かを聞かれる場合もあります。無論その様な区別のない店もありますが、一般に太い米線と細い米線があり、雲南省の保山市の米線は、日本の素麺の様に細いです。


こちらはかなり細かい米線。日本の素麺の様に細い所謂「細の米線」。米線の上に載せる物の種類で、牛肉米線、羊肉米線、饍魚米線(田うなぎ)、豆花米線、鶏肉米線、土鶏米線等に分かれる。

 

米粉とは、米を水に浸しドロドロにしてその後、薄く伸ばして蒸して、それを細く切った物を指す様です。米線は、そのドロドロにした物を麺状にしたものですが、米粉は麺の様ではなく、かなり幅広いです。ヒモカワと云う麺がその昔日本にあったと思いますが、あのような感じです。

これは貴州省犂平県の「湯粉」。上に乗っているのは羊肉です。中国では、麺の中でもラーメンの様なスープを張って食べる、食べ方を一般に「湯麺」と云うが、これは米粉で、米線ではありません。

 


こちらは米粉を炒めた物。広東省では、河粉と云うとの事で、大理古城に最近できた広東料理の店の「炒河粉」は大変美味しいです。

 

 

これらの写真を見ると「米線」と「米粉」の違いがよく分かると思います。これが米粉と云う物でタレをかけて食べる。冷米粉。

 

「ビーフン」をブリタニカ国際百科事典で調べると、「米を原料とする麺類の一種類。うるち米を水に浸け、臼で引いたものを熱湯の中に線状に押し出してゆでて麺とし、冷水中で冷やし天日乾燥する。台湾で昔から利用されてきた加工食品。水で戻して肉類や野菜類と炒めて食用とする」とあります。

百科事典マイぺディアもほぼ同じですが「主に台湾、中国南部で作られる。うるち米を水に浸して砕き、熱湯で練って麺状に押し出し、ゆでて乾燥する。細くて堅く水に浸けたり熱湯に入れて戻して料理する。肉類や野菜と炒めたり、スープに入れたり、油で揚げたりして食べる」とあります。

日本には、この様に米を加工した米線や米粉はない様に思いますがどうなんでしょうか?。小麦を加工したうどんや素麺やラーメン等の麺類はありますが、米を加工した麺類はない様ですが、何故日本には米を加工した麺類が生まれなかったのか不思議に思います。

貴州省や湖南省では、米豆腐と云う物もありますが、これも同じように米を加工した食べ物です。

雲南省の色々な過橋米線 

 いろいろな米線 その1



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