中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

大理の映画博物館と野外映画の思い出

2019年05月29日 | 中国事情

大理古城内には映画博物館と云う物があります。元々は映画を上映していた建物が、今では映画博物館となっている様です。この大理博物館を覗くと、1980年代には、大理自治州内の魏山県、剣川県、弥度県、雲祥県等の各県内には思いの外沢山の映画館が在った事が分かります。

その後農村部でも各家庭にテレビが普及した事等の理由で、雲南省内の県レベル、特に農村部では映画館が姿を消している様です。農村部では、映画館が殆ど姿を消しつつあるのに引き換え、都市部では、寧ろミニシアター等の映画館は増えている様です。最近大理古城内にもミニシアターが出来ましたし、二年前に出来た大理市の中心部の新商業地区にも新しく映画館が二軒出来ました。(注:中国では、行政組織は、省(又は、直轄市)、市、県、郷(鎮)、村となる)

雲南省の都市部では、このように寧ろ映画館が増えているのですが、農村部では以前在った映画館も閉鎖され、その後は新しく映画館は出来ない様で映画館は次第に姿を消しつつある様です。

私が最初に雲南省に足を踏み入れたのは1989年2月の事ですが、その旅行中に雲南省西双版納の某村の映画館で映画を見た事があります。昼にチケットを買って、夜映画館に入ったら、野外式映画館でビックリした事を覚えています。中には白く塗られコンクリートの壁があり、それがスクリーンで、当然椅子も無く芝生の様な上に適当に腰を下ろし映画を観ると云う具合でしたが、どの様な内容の映画を観たかは全く覚えが無いのですが、その野外映画館の事は鮮明に覚えています。一応周辺には塀を巡らして在ったので切符を買った際には、まさか内部が野外式の映画館とは想像もしなかったので余計驚いた事を覚えてます。

1989年には雲南省昆明市で語学留学していたので、国慶節等の祭日に麗江市を旅行した際にも、麗江市石鼓鎮でも映画を見た事がありますが、そこはチャンとした映画館でしたが、立ち見も出る様な超満員だった事を覚えてます。この村は、張芸謀監督「千里歩単騎」(注:高倉健主演)の舞台になった所で、少数民族納西族の住む村で、石鼓村と云う村です。

この映画の中に「長街宴」の様子が出てきますが、その「長街宴」が開かれた場所が、この石鼓鎮の村なのです。1989年には、この様な辺鄙な村にも映画館があったのです。実は6年前その村に再度行った際、その映画館を観た場所に行ったのですが、当然の如くその映画館は無くなっていました。また、この映画に拠って長街宴(又は長卓宴とも云う)が有名になった様に思います。

1989年・1990年と雲南省に滞在中に旅行した際には、何度か農村で映画を見た記憶があります。別の村でも映画を観たのですが、その時は当然、野外式の映画館で、広場の両端に棒を立てそこに白い幕を張り、それがスクリーンとなり、そこに映画を映すと云う物でした。そこで初めて映画放映隊を見た事を覚えています。

大理映画博物館を参観すると、映画館の無い様な農村部では、1980年代には、映画放映隊が農村を巡回して、映画を放映した様子が記録されています。その映画放映隊は、若し車があれば、大変恵まれた状態で、馬や徒歩で、映画機材を担いで農村を巡回して映画を上映した当時の話が出てきます。

雲南省滞在中には、何度かの農村部で映画を見た経験があるのですが、その頃の農村部ではコンクリートの壁に白いペンキを塗り、それをスクリーンとして使うと云う形が多かったのを覚えています。偶々1989年当時何度か農村で野外で映画を見たので、農村部巡回して映画を上映していた事は知ってましたが、貴州省のトン族の住む村では、古楼の一角にスクリーンを張り、そこに映画を映していました。つまり古楼が臨時の映画館となっていた訳です。

但し、一年を通して野外で映画の上映が出来るのは雲南省ならではの事かも知れません。雲南省は総じて真冬でも左程寒く無い上に、雨期を覗いては雨が殆ど降らないからです。この映画博物館の前に広場があるのですが、実は今でも毎晩夜の8時から野外で映画上映会が行われています。観客は多い時で2,30人程度、少ない時は10人程ですが、冬でも毎晩野外映画会が催されています。実は、大理古城にはもう一か所野外映画会場があります。この様な事が出来るのも雲南省だからかもしれません。5月が間もなく終わりますが、5月になって未だ一度も雨は降っていません。

私が中国に留学した1988年頃は中国では、北京、上海等の大都市部でも、家にテレビがあるのは、まだまだ珍しかった様な時代でから、農村部にはテレビ等は無論無く、唯一の娯楽は映画と云う様な状態でした。

 賓川県の映画館。大理映画博物館を見学すると1980代初から中頃に掛けて農村部では沢山の映画館が建設された様です。

 

 

巍山県映画館。大理映画博物館からの写真。

 


1962年に建設されたと云う大理州の映画館。

 

1950年代の映画放映隊。大理映画博物館より。この頃はこの様に馬に機材を積んで農村を巡り映画を上映して回った様です。


この様に人力で機材を担いでいた放映隊もあった様です。

 

1989年代の映画上映の様子。大理映画博物館より

 

大理映画博物館は2011年に、映画館から映画博物館となった様です。入場料は要りません。無料。

 

1989年に映画入場料が幾らだった全く覚えてません。また、この頃撮った写真も沢山あったのですが、残念ながら今はその時の写真も手元にありません。


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