中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

貴州省黔東南苗族トン族自治州壮族の村下堯村のご馳走

2018年08月07日 | 少数民族の祭り

貴州省黔東南苗族トン族自治州从江県加榜郷下堯村は壮族と云う少数民族が住む村です。私は、壮族が住む村を訪れたのはこれが始めての事です。苗族、トン族、水族、タイ族等が住む村を訪れた事は何度かあるのですが、壮族の村は初めての経験です。

この村の事を知ったのは、2012年に放送されたドキュメンタリー番組「舌尖上的中国」と云う番組を見ての事です。このブログでも何度か触れた事もあるのですが、加榜郷は苗族、トン族、壮族が集まり住む地区の事です。また、この番組の中では、その昔長江流域に住んで居た呉や越の国の人々はモチ米を主食として居たとも述べています。秦代や漢代に北方民族が南下するに伴い、呉や越の人々は、糯米と共にこの地方に移り住んで来たとしています。

中国では地域に拠り、糯米は江米とも呼ばれるとの事ですが、この場合の江とは長江(揚子江)を指すとの事。糯米はその昔は、長江流域で栽培されていたとしています。

良く知られている様に糯米は生産量が少ないため、中国では1960代の頃から生産量の多い粳米(うるちまい)への切り替えが行われ、この地域に住む苗族、トン族、壮族も糯米を主食とする生活から、粳米を主食とする生活に切り替わったとしています。

しかし、貴州省に住む苗族、トン族、壮族等の少数民族の村では、特別な日には、糯米が食べられ、モチも搗かれる様です。苗族の正月である苗年には、苗族の住む村では、モチが搗かれ、糯米が食べられます。トン族の場合も祭りの際には、祭りのご馳走として必ずモチ米が食卓に並びます。また、場所に拠ってはモチも搗かれます。

この番組の中では、下堯村の壮族の新米節と云う祭りの日に開かれる長卓宴の場面が出てきますが、その場面を見て一度は、この下堯村に行って見たいと思っていたのですが、今回漸くこの村に行ってきました。この日には、特別に餅が搗かれ、糯米が食べられる様子が写し出されています。お強は、黒と黄色に色付けされたお強が食卓に並んでいました。餅つきの様子も、テレビには写し出されていますが、この下堯村では、木製の丸臼と、木製の縦杵でモチを搗くようです。

加榜郷下堯村の壮族の祭りの日のご馳走は、貴州省黔東南苗族ドン族自治州に住む苗族やトン族とほぼ同じで、牛瘪、紅肉、腌魚、腌肉、稲花魚(田んぼで飼っている魚)、香豚(豚の一種。大きくても60キロ程度の特別の豚でこの地方の名産の一つ。)、糯米、糯米で醸造した酒等が並びました。ここの酒は糯米を原料としていますが、蒸留した酒ではありません。他の民族も糯米が原料ですが 蒸留した所謂焼酎が多いのが実情です。

幸運にも、祭りの日ならではの特別ご馳走にもありつく事が出来ましたが、そう意味でも得難い経験をする事が出来ました。実を云うと、翌日開かれた下堯村の長卓宴に並んだ料理は、新米節に並んだ料理とは違い、糯米で作った酒や紅肉、稲花魚等は出されませんでした。そのような事情を知らない観光客は、長卓宴に出された料理を見て、これが壮族の祭りのご馳走と思った人も多いと思いますが、実は料理の品数は可成り少なく本物の長卓宴とは違うのです。

祭りの前日の本物の御馳走。


腌魚と呼ばれる物。腌肉と呼ばれる物もありますが、その場合は豚肉で、一種の保存食です。

 

糯米で作られたお酒。この村では、蒸留はしない物が出ました。

 

とても良い匂いがすると共に大変美味しい。他の村では、原料は糯米ですが蒸留した焼酎が多い。

 


下堯村では、依然としてこの様に家々で酒が造られています。この様なお酒を飲んだのはこれで二度目の事です。


香豚と云われる豚で从江県の特産品の一つです。普通の豚と比べるとかなり小さく60キロ位。値段もかなり高いです。

 

祭りの宴会の様子。この席に集まったのは親戚や友達です。私は特別に招待されて参加した次第ですが、荘族の村での宴会は初めての事で、大変貴重な経験となりました。



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