陽が傾き始めるとソワソワするのは僕だけでしょうか・・・?
今日は、管理人@ガラス細工のように繊細な心 です。
いや、何もやらずにまた一日が過ぎたーと思うとすごい喪失感が。それだけ。
さてさて、今回は「クリスマス企画・番外編」でございます。
えーまだやんのー?という罵声が飛び交う中立ち上がる管理人。そして、こう叫んだ。。
「だって2日遅れて参加した人がいるんだもんっ!!」
そんな猛者の為に、書きます。
※ただ、現在「録画してた『ノッティングヒルの恋人』『めちゃイケ!』『オーロラの彼方へ』を昨日から連続鑑賞」「今夜からtvkで年末特別企画・水曜どうでしょう『ジャングルリベンジ』連夜放送」のせいで、軽く昂っております。そこにきて昨晩の「グリマーマン」。あの、まだ本題の長文は書いてない状態でこれを書いてるんですけど、滅茶苦茶になるかとぞ思ふ(古文)タイトルだけ今思いついたんですけど、ヒドイ。あやうく書くのを止めようかと思ったぐらい。でももう書く!どうぞ!!
「奪回!俺のサンタに手を出すな!」 コレの別バージョン。
・・・リビングの電気をつけて自分の身勝手さをトコトン呪った。そこにはシチューや七面鳥を小さくしたの、綺麗なサラダ、おそらく手作りだろうと思われるケーキが乗っかったテーブルがあった。しかし、真奈美の姿はどこにもない。呆然と立ち尽くすしか、なかった。格好悪くてもいい、形振り構わずに謝ろう、そう思った。慌ててケータイを探す。・・・と、テーブルには1枚の白い紙が乗っている事に気付いた。駆け寄ってひっつかむ。・・・意味が、理解できなかった。
「彼女は頂いた。明日の午後3時ちょうどに大黒ふ頭の○○番倉庫まで一人で来い。それ以前に以降に来ても、また一人で来なかった場合にも、彼女は我々の物になるだろう。」
ワープロで打ち出された文字が並んでいた。3回ほど目を通しても、何を言われているのか、意味が良く分からなかった。意味を理解した瞬間、心臓が奇妙な音を立てて波打った。そしてさらに次の瞬間、怒りという言葉では表せないほど凄まじい憤怒をおぼえた。しかし大声をあげるでも、物を壊すでもなく、驚くほどに冷静だった。その証拠に次に取った行動は、食事、入浴、睡眠だった。彼女が作ってくれた料理を残さずに食べ、ケーキだけはとって置く事にしたが、淡々と体を洗い、髪の毛を乾かすと、ベッドに横になった。どんなに目を瞑っても、眠気など起こるはずも無かった。が、彼女が使っていた枕を抱き寄せると、ものの数分で眠る事が出来た。
翌朝、いつもと同じ7時に起きた。彼女に揺すられても5分は動けないのに、今日はパッチリと目が覚めた。パンを2枚トースターにぶち込み、フライパンには卵を3つ落とした。そして一緒に牛乳を飲んだ。静か過ぎる朝食を済ませた後、会社に電話をした。ガミガミウルサイ癖に無能、誰よりも早く出勤することで威厳を保ったと思っている課長が出た。
ヨル「もしもし。今日は、会社をお休みさせて頂きます。」
課長「なぁーにぃー?お前な、会社っていうのは学校じゃねぇんだ!休みたいですつってそう簡単に休めるトコじゃないんだよっ!!ちょっと調子が悪いくらいなら出て来いっ!!」
ヨル「何よりも、優先しなければならない用事があります。貴方にわかってもらおうという気はありません、ご報告したまでです。それでは。」
課長「何っ!?何だその言い方はっ・・・ってもしもし!もしもーし!!くそっ!!」
それからジョギングをした。家に帰ると、ひどい寒気がした。風呂を沸かしなおした。温度計は46℃を指している。そんな風呂に入っても、寒気は取れなかった。
それからコンビニに買出しに行き、3つ弁当を買った。帰ると、まだ10時半であったが、すべて平らげた。
ふぅーっと大きく息を吐くと、何か書くものを探した。何も言わずに僕が消える事になったら家族が悲しむかな、と思ったので書置きを残す事にした。別に遺書にする気は無かったけど。色々なひとに色々な事について感謝の意を述べて、謝っておいた。
そして、クローゼットの奥底から、一つのダンボール箱を取り出した。
実は幼稚園から大学の終わりまでずっと、爺ちゃんに武道を習っていた。武道、といっても何か一つの分野ではなく幅広く習った。ボクシング、空手、柔道、合気道、剣道、フェンシング、柔術、ムエタイ、さらには分類が不可能なモノ、爺ちゃんスペシャルと呼んでいるのだが、まで長い時間を掛けて身体に叩き込まれた。
引っ張り出したダンボールは、大学を卒業してこっちに出てくる時に爺ちゃんから貰ったものだった。中には灰色のシャツ、濃い青と緑を混ぜたような色をしたGパンが入っている。爺ちゃんに「一番コレが動きやすいから!」と渡されたものだった。着替えると、身体によくフィットするがゆとりを持って動かせるこの格好が、すぐに気に入った。いつの間にか、寒気はとれていた。
時間は1時。そろそろか、と高校の時からの相棒である250ccの鍵をひっつかんだ。エンジンのかかりが悪かったが、苦笑しながら「頼むよ」と一言語りかけると、素直になった。それから、時計は気にしつつも出来るだけリラックスして、ツーリングを楽しむつもりで、大黒ふ頭まで走った。
2時50分、指定された倉庫に着いた。細く開いていた扉にアクセル全開で飛び込んだ。すると、正面一番奥に十字に縛られ猿ぐつわを噛まされたサンタ服姿の真奈美がいた。こっちを涙目で見ている。
ヨル「真奈美っ!」
バイクから降りて駆け寄ろうとした。すると、彼女の横に人が立っている事に気付いた。そして、そいつの顔を確認すると、ヘナヘナと座り込んでしまった。何故ならそいつは、加藤晴彦だった。さらに、扉がギギギと閉まった。両側から扉を押しているのは、品川庄司の庄司ともう一人はなんと妻夫木聡だった。何だ、ドッキリか・・・そう思うと、さっきまでとは違った怒りが沸き起こった。しかし、彼女が無事だったという事への安堵の方が大きく、笑いながら大声で抗議した。
ヨル「ひどいじゃないですか!手が込みすぎですよ!!」
加藤晴彦はニヤニヤと笑いながらこういった。
晴彦「3時ピッタリに来て下さい、って言ったじゃないですか。」
するといきなり真奈美の胸のあたりに位置する蝶ネクタイをピッとむしり取った。服が少しはだけ、彼女はうつむいた。
ヨル「!!や、やりすぎだぞ!!」
そう叫ぶと、肩をトントンと叩かれた。振り向くと庄司の顔が見えた。次に、庄司の拳が見えた。
ヨル「・・・!」
脱力していた俺は、吹っ飛ばされた。吹っ飛ばされながらようやく、こいつら本気だ、ということに気付いた。立ち上がるとまず、口にたまった血をぺっと吐き出し、二人をじっと睨み付けた。そして肩を震わせている真奈美に向かって、にっこり手を振った。彼女は驚いた顔をして、うん、と大きく頷いた。
目の前の二人が大声で笑うと同時に、突っ込んできた。左右に分かれて走ってくる。はさむ気だ。
俺はスゥっと息を大きく吸い込むと、感情を吐き出した。
ヨル「っ、ナメるなぁっっっ!!!」
二人は声を止め、ニヤリと笑うとタイミングを計りながらも一気に間合いを詰めて来た。左から庄司は拳を、右からの妻夫木は蹴りを繰り出してきた。俺は、歯も見せずに口をニィっと歪めた。二人から笑顔が消えた。
妻夫木の蹴りは、その打撃が最も威力を発揮する速度に達する前にスッと右足を差し出し、勢いを完全に殺した。庄司の拳は、左手の掌でがっちりと受け止めるとそのまま合気でぐるんと捻り回した。庄司は肩から地面に突っ込んだ。
庄司「ガッ・・・!」
声にならない悲鳴を庄司があげるのを見届ける事もせず、妻夫木の対処にとりかかった。蹴りが効かなかったと見てかなり焦りつつも正面に移動しすぐに同じ足を引いてもう一度、今度は足では防御出来ないほどの高さまで上げてテンプルを狙ってきた。
ヨル「右足しか使えないの?それじゃぁ、遅いんだよ。」
妻夫木「!!」
防ぐことはせず、素早くダッキングして下に逃げた。今度はその蹴りが最高速度に達した瞬間、軸足となっている左足のスネめがけて思いっきり蹴りを入れた。ぐるんと前につんのめり、こっちは顔面から地面に突っ込んだ。
二人はヨロヨロと立ち上がり、庄司は鉄パイプを、妻夫木はナイフを手に取った。今度は二人ではなくまず庄司が鉄パイプを思い切り振り上げ、うおぉ、と叫びながら走ってきた。
ヨル「2対1で凶器を用いるとは何たる事かっ!その腐った根性、叩きのめしてやるわっ!!」
庄司がパイプを振り下ろそうとしたその寸前、一歩踏み込みながら高速で半回転した。自分から庄司に背を向ける格好となった。いや、彼の胴に背を入れた。そして踏み込んだ膝をグッと伸ばすと同時に腰を突き出し、両手を彼の右手に添えた。
庄司「!!?」
庄司の身体は宙を舞った。完璧な一本背負いが決まった。本来、柔道では投げ技を決めた場合相手の袖を離さずに相手へのダメージを軽減することになっている。しかし、今は関係ない。添えていた両手を離すと落ちゆく庄司の鳩尾に正拳突きを叩き込むと、着地と同時に腕ひしぎをモロに極めた。
庄司「グハっ。。。」
奇妙な声を上げて気絶した。
妻夫木はそれを見て躊躇したのか、一瞬こちらを見つめていたが、すぐに駆け出した。
ヨル「素人の使うナイフほど、切れ味の鈍い物は無い。」
突き出されたナイフを左足の靴底で受け止めると、左足を下ろすと同時に右足を蹴り上げてアゴを狙った。咄嗟に左腕を出して防ごうとしてきたが、左腕もろともアゴに炸裂させた。無言で倒れた。フッと真奈美を見やると必死にモゴモゴ言っている。隣には晴彦の姿が無い。ハッとした時には遅かった。首をガッシリと極められた。
ヨル「・・・!」
晴彦「物凄く強いじゃないか!」
気配も無かった。俺は両腕で首に回されている右腕を引き剥がそうとした。しかしビクともしない。方針を変えて肘打ちを撃った。しかし左手で簡単に受け止められた。足の裏で蹴ろうとしても同様に足で止められた。ジタバタともがいた。
晴彦「ふふふ、でも終わりは案外あっさりだよね?」
この疑問に、俺はまたしても笑顔で応えてやった。「爺ちゃんスペシャル」の登場だ。爺ちゃんスペシャルを伝授する際、いつも爺ちゃんはこう言っていた。
「ピンチの時に君、普段どおりに身体が動くと思う?」
危機的状況に対応できる技、それが爺ちゃんスペシャルである。
俺はもう一度肘打ちを放った。奴の左手がガッシリと肘を捕らえた瞬間、両足で軽く飛び腰に絡ませた。そして、腹筋と背筋の持てる力を全て使って腰を挟み、右に倒した。
晴彦「くっ・・・!」
動物は反射的にバランスを取ろうとする。俺の首に回していた右腕でついつい手を着いてしまっていた。俺はというと、首から上へのダメージだけを気にして背中から思いっ切り落ちた。
ヨル「っふっ・・・!」
息が出来なかった。しかし、次の瞬間酸素を吸い込むと同時に立ち上がった。晴彦の方が早く立て直していたが、もう向き合えってしまえば負けはしない。今度はこちらから突進して胴めがけて二段蹴りを放った。晴彦はクロスアームで防御したが、それが間違いだった。
晴彦「ぐ、ぐあぁっ・・・!」
ヨル「手首とつま先、どっちが強いかもわからないとは。愚かさを知れ!!」
両腕をダランとさせた相手に対し、本来なら躊躇の一つもする所だが今回は違う、持てる技の全てを叩き込んだ。コークスクリューと正拳突きの合わせ技に始まりアッパーから踵落としのコンビネーション、とにかく気を失うまでボコボコにしてやった。
ヨタヨタと真奈美の側まで近づくと、お互い何を言うでもなく、キスをした。
そして、縄を外そうとするも、一旦手を止めて「ふむ。」と
ヨル「こうして見るとなかなかセクシーな状況になってますなぁ。」
真奈美「・・・!もう、バカ言ってないで早く取ってよぅ!」
縄から解かれると、彼女が抱きついて来た。俺もしっかりと抱き返す。また、キスをした。
ヨル「そうだ、帰ったらクリスマスプレゼントがあるんだ。」
真奈美「えっ?そっか、クリスマスだったもんね。うわぁ、楽しみ!でも・・・。」
ヨル「でも?」
真奈美「私からは無いんだ。料理を色々作るのに時間が掛かっちゃって、つい。。昨日帰って来たら「プレゼントはこの料理!それと、ア・タ・シ!」って誤魔化そうと思ったの。でも、プレゼントどころかお荷物になっちゃって。。」
俺は一瞬呆けた顔をした。しかしその次にまた黙って抱き締めて、バイクの後ろに乗せた。黙ってエンジンを掛けた。いつもより、ぴったりくっつかれている気がした。
家に着くと、もう0時を回ってしまっていた。それでも、2日遅れのクリスマスパーティーを、楽しくやった。
完
あとがき
うわぁ、エンターティメント性が溢れた文章ですね!直前まで観ていたDVDの影響でしょうか!?グリマーマンとノッティングヒルのみだろ。
何であの3人が悪役かと言うとTVで小西真奈美と羨ましい間がらを演じた事のある人たちだからです。そう、嫉妬だよ!・・・加藤晴彦は微妙ですが、他の二人はっていうか妻夫木聡はかなり好きです。
さて、全部読んじゃったクソ暇なで頂いた人、テンキュ~!!もう、絶対長文とかやんない!!(どーん)
今日は、管理人@ガラス細工のように繊細な心 です。
いや、何もやらずにまた一日が過ぎたーと思うとすごい喪失感が。それだけ。
さてさて、今回は「クリスマス企画・番外編」でございます。
えーまだやんのー?という罵声が飛び交う中立ち上がる管理人。そして、こう叫んだ。。
「だって2日遅れて参加した人がいるんだもんっ!!」
そんな猛者の為に、書きます。
※ただ、現在「録画してた『ノッティングヒルの恋人』『めちゃイケ!』『オーロラの彼方へ』を昨日から連続鑑賞」「今夜からtvkで年末特別企画・水曜どうでしょう『ジャングルリベンジ』連夜放送」のせいで、軽く昂っております。そこにきて昨晩の「グリマーマン」。あの、まだ本題の長文は書いてない状態でこれを書いてるんですけど、滅茶苦茶になるかとぞ思ふ(古文)タイトルだけ今思いついたんですけど、ヒドイ。あやうく書くのを止めようかと思ったぐらい。でももう書く!どうぞ!!
「奪回!俺のサンタに手を出すな!」 コレの別バージョン。
・・・リビングの電気をつけて自分の身勝手さをトコトン呪った。そこにはシチューや七面鳥を小さくしたの、綺麗なサラダ、おそらく手作りだろうと思われるケーキが乗っかったテーブルがあった。しかし、真奈美の姿はどこにもない。呆然と立ち尽くすしか、なかった。格好悪くてもいい、形振り構わずに謝ろう、そう思った。慌ててケータイを探す。・・・と、テーブルには1枚の白い紙が乗っている事に気付いた。駆け寄ってひっつかむ。・・・意味が、理解できなかった。
「彼女は頂いた。明日の午後3時ちょうどに大黒ふ頭の○○番倉庫まで一人で来い。それ以前に以降に来ても、また一人で来なかった場合にも、彼女は我々の物になるだろう。」
ワープロで打ち出された文字が並んでいた。3回ほど目を通しても、何を言われているのか、意味が良く分からなかった。意味を理解した瞬間、心臓が奇妙な音を立てて波打った。そしてさらに次の瞬間、怒りという言葉では表せないほど凄まじい憤怒をおぼえた。しかし大声をあげるでも、物を壊すでもなく、驚くほどに冷静だった。その証拠に次に取った行動は、食事、入浴、睡眠だった。彼女が作ってくれた料理を残さずに食べ、ケーキだけはとって置く事にしたが、淡々と体を洗い、髪の毛を乾かすと、ベッドに横になった。どんなに目を瞑っても、眠気など起こるはずも無かった。が、彼女が使っていた枕を抱き寄せると、ものの数分で眠る事が出来た。
翌朝、いつもと同じ7時に起きた。彼女に揺すられても5分は動けないのに、今日はパッチリと目が覚めた。パンを2枚トースターにぶち込み、フライパンには卵を3つ落とした。そして一緒に牛乳を飲んだ。静か過ぎる朝食を済ませた後、会社に電話をした。ガミガミウルサイ癖に無能、誰よりも早く出勤することで威厳を保ったと思っている課長が出た。
ヨル「もしもし。今日は、会社をお休みさせて頂きます。」
課長「なぁーにぃー?お前な、会社っていうのは学校じゃねぇんだ!休みたいですつってそう簡単に休めるトコじゃないんだよっ!!ちょっと調子が悪いくらいなら出て来いっ!!」
ヨル「何よりも、優先しなければならない用事があります。貴方にわかってもらおうという気はありません、ご報告したまでです。それでは。」
課長「何っ!?何だその言い方はっ・・・ってもしもし!もしもーし!!くそっ!!」
それからジョギングをした。家に帰ると、ひどい寒気がした。風呂を沸かしなおした。温度計は46℃を指している。そんな風呂に入っても、寒気は取れなかった。
それからコンビニに買出しに行き、3つ弁当を買った。帰ると、まだ10時半であったが、すべて平らげた。
ふぅーっと大きく息を吐くと、何か書くものを探した。何も言わずに僕が消える事になったら家族が悲しむかな、と思ったので書置きを残す事にした。別に遺書にする気は無かったけど。色々なひとに色々な事について感謝の意を述べて、謝っておいた。
そして、クローゼットの奥底から、一つのダンボール箱を取り出した。
実は幼稚園から大学の終わりまでずっと、爺ちゃんに武道を習っていた。武道、といっても何か一つの分野ではなく幅広く習った。ボクシング、空手、柔道、合気道、剣道、フェンシング、柔術、ムエタイ、さらには分類が不可能なモノ、爺ちゃんスペシャルと呼んでいるのだが、まで長い時間を掛けて身体に叩き込まれた。
引っ張り出したダンボールは、大学を卒業してこっちに出てくる時に爺ちゃんから貰ったものだった。中には灰色のシャツ、濃い青と緑を混ぜたような色をしたGパンが入っている。爺ちゃんに「一番コレが動きやすいから!」と渡されたものだった。着替えると、身体によくフィットするがゆとりを持って動かせるこの格好が、すぐに気に入った。いつの間にか、寒気はとれていた。
時間は1時。そろそろか、と高校の時からの相棒である250ccの鍵をひっつかんだ。エンジンのかかりが悪かったが、苦笑しながら「頼むよ」と一言語りかけると、素直になった。それから、時計は気にしつつも出来るだけリラックスして、ツーリングを楽しむつもりで、大黒ふ頭まで走った。
2時50分、指定された倉庫に着いた。細く開いていた扉にアクセル全開で飛び込んだ。すると、正面一番奥に十字に縛られ猿ぐつわを噛まされたサンタ服姿の真奈美がいた。こっちを涙目で見ている。
ヨル「真奈美っ!」
バイクから降りて駆け寄ろうとした。すると、彼女の横に人が立っている事に気付いた。そして、そいつの顔を確認すると、ヘナヘナと座り込んでしまった。何故ならそいつは、加藤晴彦だった。さらに、扉がギギギと閉まった。両側から扉を押しているのは、品川庄司の庄司ともう一人はなんと妻夫木聡だった。何だ、ドッキリか・・・そう思うと、さっきまでとは違った怒りが沸き起こった。しかし、彼女が無事だったという事への安堵の方が大きく、笑いながら大声で抗議した。
ヨル「ひどいじゃないですか!手が込みすぎですよ!!」
加藤晴彦はニヤニヤと笑いながらこういった。
晴彦「3時ピッタリに来て下さい、って言ったじゃないですか。」
するといきなり真奈美の胸のあたりに位置する蝶ネクタイをピッとむしり取った。服が少しはだけ、彼女はうつむいた。
ヨル「!!や、やりすぎだぞ!!」
そう叫ぶと、肩をトントンと叩かれた。振り向くと庄司の顔が見えた。次に、庄司の拳が見えた。
ヨル「・・・!」
脱力していた俺は、吹っ飛ばされた。吹っ飛ばされながらようやく、こいつら本気だ、ということに気付いた。立ち上がるとまず、口にたまった血をぺっと吐き出し、二人をじっと睨み付けた。そして肩を震わせている真奈美に向かって、にっこり手を振った。彼女は驚いた顔をして、うん、と大きく頷いた。
目の前の二人が大声で笑うと同時に、突っ込んできた。左右に分かれて走ってくる。はさむ気だ。
俺はスゥっと息を大きく吸い込むと、感情を吐き出した。
ヨル「っ、ナメるなぁっっっ!!!」
二人は声を止め、ニヤリと笑うとタイミングを計りながらも一気に間合いを詰めて来た。左から庄司は拳を、右からの妻夫木は蹴りを繰り出してきた。俺は、歯も見せずに口をニィっと歪めた。二人から笑顔が消えた。
妻夫木の蹴りは、その打撃が最も威力を発揮する速度に達する前にスッと右足を差し出し、勢いを完全に殺した。庄司の拳は、左手の掌でがっちりと受け止めるとそのまま合気でぐるんと捻り回した。庄司は肩から地面に突っ込んだ。
庄司「ガッ・・・!」
声にならない悲鳴を庄司があげるのを見届ける事もせず、妻夫木の対処にとりかかった。蹴りが効かなかったと見てかなり焦りつつも正面に移動しすぐに同じ足を引いてもう一度、今度は足では防御出来ないほどの高さまで上げてテンプルを狙ってきた。
ヨル「右足しか使えないの?それじゃぁ、遅いんだよ。」
妻夫木「!!」
防ぐことはせず、素早くダッキングして下に逃げた。今度はその蹴りが最高速度に達した瞬間、軸足となっている左足のスネめがけて思いっきり蹴りを入れた。ぐるんと前につんのめり、こっちは顔面から地面に突っ込んだ。
二人はヨロヨロと立ち上がり、庄司は鉄パイプを、妻夫木はナイフを手に取った。今度は二人ではなくまず庄司が鉄パイプを思い切り振り上げ、うおぉ、と叫びながら走ってきた。
ヨル「2対1で凶器を用いるとは何たる事かっ!その腐った根性、叩きのめしてやるわっ!!」
庄司がパイプを振り下ろそうとしたその寸前、一歩踏み込みながら高速で半回転した。自分から庄司に背を向ける格好となった。いや、彼の胴に背を入れた。そして踏み込んだ膝をグッと伸ばすと同時に腰を突き出し、両手を彼の右手に添えた。
庄司「!!?」
庄司の身体は宙を舞った。完璧な一本背負いが決まった。本来、柔道では投げ技を決めた場合相手の袖を離さずに相手へのダメージを軽減することになっている。しかし、今は関係ない。添えていた両手を離すと落ちゆく庄司の鳩尾に正拳突きを叩き込むと、着地と同時に腕ひしぎをモロに極めた。
庄司「グハっ。。。」
奇妙な声を上げて気絶した。
妻夫木はそれを見て躊躇したのか、一瞬こちらを見つめていたが、すぐに駆け出した。
ヨル「素人の使うナイフほど、切れ味の鈍い物は無い。」
突き出されたナイフを左足の靴底で受け止めると、左足を下ろすと同時に右足を蹴り上げてアゴを狙った。咄嗟に左腕を出して防ごうとしてきたが、左腕もろともアゴに炸裂させた。無言で倒れた。フッと真奈美を見やると必死にモゴモゴ言っている。隣には晴彦の姿が無い。ハッとした時には遅かった。首をガッシリと極められた。
ヨル「・・・!」
晴彦「物凄く強いじゃないか!」
気配も無かった。俺は両腕で首に回されている右腕を引き剥がそうとした。しかしビクともしない。方針を変えて肘打ちを撃った。しかし左手で簡単に受け止められた。足の裏で蹴ろうとしても同様に足で止められた。ジタバタともがいた。
晴彦「ふふふ、でも終わりは案外あっさりだよね?」
この疑問に、俺はまたしても笑顔で応えてやった。「爺ちゃんスペシャル」の登場だ。爺ちゃんスペシャルを伝授する際、いつも爺ちゃんはこう言っていた。
「ピンチの時に君、普段どおりに身体が動くと思う?」
危機的状況に対応できる技、それが爺ちゃんスペシャルである。
俺はもう一度肘打ちを放った。奴の左手がガッシリと肘を捕らえた瞬間、両足で軽く飛び腰に絡ませた。そして、腹筋と背筋の持てる力を全て使って腰を挟み、右に倒した。
晴彦「くっ・・・!」
動物は反射的にバランスを取ろうとする。俺の首に回していた右腕でついつい手を着いてしまっていた。俺はというと、首から上へのダメージだけを気にして背中から思いっ切り落ちた。
ヨル「っふっ・・・!」
息が出来なかった。しかし、次の瞬間酸素を吸い込むと同時に立ち上がった。晴彦の方が早く立て直していたが、もう向き合えってしまえば負けはしない。今度はこちらから突進して胴めがけて二段蹴りを放った。晴彦はクロスアームで防御したが、それが間違いだった。
晴彦「ぐ、ぐあぁっ・・・!」
ヨル「手首とつま先、どっちが強いかもわからないとは。愚かさを知れ!!」
両腕をダランとさせた相手に対し、本来なら躊躇の一つもする所だが今回は違う、持てる技の全てを叩き込んだ。コークスクリューと正拳突きの合わせ技に始まりアッパーから踵落としのコンビネーション、とにかく気を失うまでボコボコにしてやった。
ヨタヨタと真奈美の側まで近づくと、お互い何を言うでもなく、キスをした。
そして、縄を外そうとするも、一旦手を止めて「ふむ。」と
ヨル「こうして見るとなかなかセクシーな状況になってますなぁ。」
真奈美「・・・!もう、バカ言ってないで早く取ってよぅ!」
縄から解かれると、彼女が抱きついて来た。俺もしっかりと抱き返す。また、キスをした。
ヨル「そうだ、帰ったらクリスマスプレゼントがあるんだ。」
真奈美「えっ?そっか、クリスマスだったもんね。うわぁ、楽しみ!でも・・・。」
ヨル「でも?」
真奈美「私からは無いんだ。料理を色々作るのに時間が掛かっちゃって、つい。。昨日帰って来たら「プレゼントはこの料理!それと、ア・タ・シ!」って誤魔化そうと思ったの。でも、プレゼントどころかお荷物になっちゃって。。」
俺は一瞬呆けた顔をした。しかしその次にまた黙って抱き締めて、バイクの後ろに乗せた。黙ってエンジンを掛けた。いつもより、ぴったりくっつかれている気がした。
家に着くと、もう0時を回ってしまっていた。それでも、2日遅れのクリスマスパーティーを、楽しくやった。
完
あとがき
うわぁ、エンターティメント性が溢れた文章ですね!直前まで観ていたDVDの影響でしょうか!?
何であの3人が悪役かと言うとTVで小西真奈美と羨ましい間がらを演じた事のある人たちだからです。そう、嫉妬だよ!・・・加藤晴彦は微妙ですが、他の二人はっていうか妻夫木聡はかなり好きです。
さて、全部読ん