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原発再稼働、

2012年08月23日 01時15分05秒 | シリーズ 日本国
産経新聞より、抜粋

関西電力管内など西日本地域で実施している数値目標付きの節電期間が残り約2週間で終了する。家庭や企業で節電が浸透し、今のところ計画停電に至るほどの需給逼迫(ひっぱく)は起きていない。ただ、九州電力管内で火力発電所のトラブルが相次ぐなど電力供給の不安は残ったまま。原発停止がこのまま続けば、火力燃料費の増大による電気料金値上げも現実味を帯び、国民生活や経済活動に打撃を与えるのは必至だ。

 電気事業連合会が20日に発表した7月の電力需要実績(速報)では、電力10社合計の販売電力量は前年同月比6・3%減の684億8200万キロワット時で、2カ月連続で前年水準を下回った。特に10%の節電要請をしている関電管内は前年同月比10・6%減と下げ幅が最も大きかった。

 政府は7月2日以降、西日本を中心に数値目標付きの節電要請を実施。これまで最も需給が厳しかったのは7月26日の九州電力と同27日の中部電力で、ピーク時の電力使用率はともに約93%。まだ7%の供給余力があり、「『安定的』と呼べる範囲内」(資源エネルギー庁)で推移している。

 ◆気温急上昇リスク

 ただ、供給力は火力発電所のトラブルなどで一気に落ち込む可能性があり、楽観できない。九電管内では8月21日、配管の蒸気漏れで停止していた新小倉発電所5号機(北九州市、60万キロワット)を運転再開したが、別のトラブルが発生し停止。他電力からの電力融通で乗り切る事態に陥った。

 急激な気温上昇もリスク要因だ。関電は8月3日のピーク需要が2682万キロワットを記録。大飯原発3、4号機(福井県おおい町)が再稼働しなかった場合の供給力(2542万キロワット)を上回っており、「原発がなければ厳しい状況」(八木誠社長)に変わりはない。

 一方、関電以外の電力会社では原発再稼働の見通しは立っておらず、代替の火力発電への依存が避けられない。火力を増強すれば、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出量は増加。原油や液化天然ガス(LNG)などの燃料費もかさみ、電気料金の大幅な値上げを招きかねない。

 日本総合研究所の試算では、大飯3、4号機以外の再稼働がない場合、電力10社の平成24年度の火力燃料費は、原発が稼働していた22年度に比べ3兆7千億~4兆3千億円増加する見通し。電気料金に転嫁すると、22年度比で最大31・3%の値上げが必要という。

 ◆製造業の収益圧迫

 電気料金の大幅な上昇は、電力を大量に消費する半導体や化学、鉄鋼、自動車部品など多くの製造業の収益を圧迫する。日本総研の藤山光雄副主任研究員は、事態が長期化すれば「基幹産業の衰退や生産拠点の海外シフトで国内雇用が失われる」と指摘する。

 燃料輸入の増加が続けば年間3兆円もの国富が流出、貿易赤字の定着化や経常赤字への転落も現実味を帯びる。中東情勢が緊迫化すれば「化石燃料の輸入がままならなくなる可能性」(資源エネルギー庁幹部)すらあり、脆弱(ぜいじゃく)な電力供給力を放置すれば、国力の低下は避けられない。

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