IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

203センチと145センチの共演

2006-08-23 15:32:57 | ハリケーン「カトリーナ」関連
スパイク・リー監督のドキュメンタリー『防波堤が崩れるとき』の後半が今夜HBOで放送された。昨日の夜見た前半部分だけでも大きな衝撃を受けたんだけど、後半でも復興がままならないニューオーリンズの現状が被災者達のインタビューから浮き彫りになっている。この作品では州知事や市長、さらにはカニエ・ウエスト(ハリケーン後に生放送されたチャリティ番組で台本のセリフを無視して、「ジョージ・ブッシュは黒人のことを全然気にかけていないんだ」と発言したラッパー)やショーン・ペンといった面々も当時を振り返っていて、それぞれの主張が凄く興味深いものとなっている。インタビューの中である大学教授が指摘していたんだけど、ルイジアナ州の天然資源(ガスなど)を管理しているのは連邦政府で、これまでルイジアナ州に利益が還元されることは無かったそうだ。サウジアラビアやUAEとまではいかないだろうけど、もし州政府が天然資源の管理を行っていたら、防波堤の強化や教育・犯罪問題の改善など、市民が本当に必要とする事柄に資金が投入されていたかもしれない。あくまでも、仮定の話だけど…。さて、今日はハリケーンに対するアメリカ人の危機感についてのニュースを。

ハリケーン「カトリーナ」が米南部湾岸地域を直撃してから1年を迎えるが、今年はこれまでにハリケーンによる被害は全く報告されておらず、ハリケーンの当たり年だった昨年と比べてみると、極めて静かな夏となっている。カトリーナ後のアメリカ国内では「最悪の事態は過ぎ去った」という認識が市民の間に浸透しているが、気象関係者は昨年以上のハリケーン被害がアメリカ国内で発生する可能性があると警告している。南部湾岸地域で少なくとも1339人の死者を出し、800億ドル以上の経済的損害を出したカトリーナだが、国立ハリケーンセンターのマックス・メイフィールド所長は「それ以上のハリケーンが将来上陸する可能性は高い」と語り、市民に対して防災に対する心構えを忘れないようにと警告している。「多くのアメリカ人がカトリーナで最悪のハリケーン被害を経験したと考えているようですが、われわれの考えは異なります」、メイフィールド所長はフロリダ州の国立ハリケーンセンター内でロイター通信の取材に対してそう答えた。

「将来、かなり大型のハリケーンがアメリカ国内の主要都市を直撃する可能性は高く、場合によってはカトリーナの時よりも規模の大きな災害が町を襲う事になるでしょう。もちろん、多くの犠牲者が出るでしょうね」、メイフィールド所長はそう語る。メイフィールド所長は大型ハリケーンがアメリカの主要都市を直撃する時期については言及しなかったが、多くの町が海岸線の近くにあるため、ニューオーリンズのような洪水被害はいつでも起こりうるのだと強調した。カトリーナがニューオーリンズを直撃する2日前、国立ハリケーンセンターはすでにハリケーンの進路を完全に予測することに成功しており、「ニューオーリンズ上陸時にその規模が大きくなる可能性がある」との警告を発していた。しかし、ニューオーリンズ市内では、「40年前に発生した大型ハリケーンのときも大丈夫だったから」といった漠然とした理由で、避難に消極的な市民が少なくなかった。

ハリケーンといえば、どうしてもフロリダやテキサス、そしてルイジアナといった南部をイメージしてしまうが、メイフィールド所長はニューヨークにハリケーンが上陸する可能性も少なからず存在するのだと語った。「あくまでも可能性としての話ですが、ニュージャージー州の湾岸地域やロングアイランドに上陸するケースだって無いとは言えないのです。また、ハリケーンによってハドソン川が氾濫を起こすケースも想定できます」、そう語るメイフィールド所長は2000年から積極的に防災キャンペーンを展開しており、東部や南部の湾岸部に住む約5000万人は「常に備えるべきだ」と主張する。しかし、最近実施された調査によると、こういった地域に住む人の60パーセントがハリケーンに対する準備(非常食や電池などの備蓄や、脱出ルートの確保など)を全く行っていないという結果が出ており、メイフィールド所長は「2年連続でハリケーンの当たり年を経験したというのに、ハリケーン被害を深刻に考えていない人が増えているというのは理解に苦しみます」とコメントしている。

今日は最後にリトルリーグの話題を。少し前からアメリカ国内でリトルリーグのワールドシリーズが行われているんだけど、この大会にダーラン(サウジアラビア)の代表チームのメンバーとして参加している13歳の少年がちょっとした話題になっている。ダーランのチームといっても、メンバーはみんなアメリカ人で、石油業界で働くお父さんやお母さんを持つ子供達だ。このチームでファーストを守るのがアーロン・ダーレイ君。本当は野球よりもバスケットボールの方が好きだというダーレイ君の身長は6フィート8インチ(約2メートル3センチ)で、体重は256ポンド(約113キロ)となっている。ちなみにボストン・レッドソックスのデービッド・オルティスの身長が6フィート4インチで、最近はエラーばかりしてA-RODではなくE-RODと呼ばれるようになったニューヨーク・ヤンキースのアレックス・ロドリゲスで6フィート3インチ。繰り返しますが、ダーレイ君の年齢は13歳です!まだ成長は続くんだろうけど、バスケットボールの日本代表に来てくれないかな…。

写真:22日の試合でファーストの守備につくダーレイ君。彼の横にいる選手(ベネズエラのチーム)の身長は4フィート9インチ(約1メートル45センチ)だ。 (AP通信より)


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2 コメント

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世界びっくり人間大賞 (ジャネット)
2006-08-23 22:55:41
よくサイズを比較するのに、タバコが使われますがベネズエラチームの少年を見て、タバコを思い出しました(笑)



バスケット選手になった方が彼の希望にも添えるし、身長を生かせるし、いいような気がしますね。
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ありがとうございました (ひろふみ)
2006-09-05 10:47:52
ジャネットさん、コメントありがとうございました。13歳だけに、これから身長がもっと伸びるんだろうし、本当にバスケの方がいいかもね。野球だと、逆にストライクゾーンが広すぎて苦労するんじゃないかな…などと、老婆心でいろいろと考えちゃいました。
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