IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

DNA鑑定はシロ そして事件は振り出しに

2006-08-29 15:03:03 | 犯罪
今週中に何らかの動きがあると思っていたけれど、ジョンベネちゃん事件に関与したとして逮捕されたジョン・マーク・カー容疑者のDNA鑑定が終了し、結果は見事にシロだったようです。これで、カー容疑者はジョンベネちゃん事件に関する全ての容疑で立件が見送られることになり、2001年にカリフォルニア州で児童ポルノビデオを所持していた罪だけが残る形となる。もともとカー容疑者の供述を疑問視するメディアが多かったのも事実なんだけど、彼が捜査当局に話したとされる「容疑者しか知りえない情報」の詳細や、一部のメディアが事件捜査の最後の切り札と報じていた筆跡鑑定(ラムジーさん宅に置かれていたとされる身代金要求のメモと、カー容疑者が1982年に高校の卒業アルバムに書いたメッセージに共通点が見られると言う報道だった)についての続報はほとんど出てきていない状態だ。これから検察関係者の進退問題に発展しそうな感じだけど、今日はこのニュースを。

1996年12月26日にコロラド州ボルダーで発生したジョンベネ・ラムジーちゃん殺害事件の容疑者として、タイのバンコクで逮捕されたジョン・マーク・カー容疑者だが、DNA鑑定の結果はシロだった。コロラド州ボルダーの郡検察は28日、容疑者から採取したDNAとジョンベネちゃんの遺体から採取した犯人のものと思われるDNAが一致しなかったとして、ジョンベンちゃん殺害容疑などでの立件を行わないと決定した。カー容疑者はタイのバンコクからカリフォルニア州ロサンゼルス近郊に移送され、それから数日後の24日にコロラド州ボルダーに再び移送されていた。ボルダーの捜査当局は先週末、カー容疑者の唾液と毛髪を採取し、ジョンベネちゃんの下着に付着していた血液から採取したDNAとの照合を行ったが、2つのDNAは一致しなかったという結論に達している。ジョンベネちゃん事件での立件を見送られたカー容疑者だが、2001年に起こした罪(児童ポルノビデオ所持)を裁くためにカリフォルニア州に移送される。

ジョンベネちゃん事件を担当するメアリー・レイシー地方検事は28日、法廷文書の中で「カー容疑者本人が何度も自らの関与を主張したものの、彼が犯罪に関与したと証明する事ができませんでした」と語り、事実上の「終戦宣言」を行っている。しかし、レイシー検事は「捜査そのものが終了したのではない」とも語っており、捜査は継続される見込みだ。結局、カー容疑者は殺人罪で起訴されることが一度も無かったわけだが、レイシー検事は「このままだと、逃亡したり、タイ国内で子供が狙われるかもしれなかった」と語り、今回の逮捕劇を正当化している。しかし、CBSニュースのアンドリュー・コーエン法律問題アナリストは、「確固たる証拠が存在しない状態で、カー容疑者がタイからボルダーに移送され、その間にメディアによる様々な推測が繰り返されました。ボルダー郡検察は面子を失った格好です」と語っている。

今回の逮捕劇でポイントとなった「容疑者しか知りえない情報」の詳細だが、AP通信は法廷資料として提出されていたカー容疑者とマイケル・トレイシー教授(コロラド大学)との間で交わされたメールの内容を紹介している。この中でカー容疑者はトレイシー教授に対して、「ジョンべネちゃんの手首を縛った状態で首を締め上げ、それからオーラル・セックスを行った」と語っており、ジョンベネちゃんが死亡したと分かった時には救命措置も試みたと説明していた。トレイシー教授からの通報を受けた捜査当局はカー容疑者のメールの内容に注目していたが、こういった告白が全て嘘だったことがようやく判明した格好だ。法廷資料によると、カー容疑者は過去数年にわたってトレイシー教授とメールのやり取りを行ってきたが、最近は電話での会話も何度か行っており、今年7月には1時間半以上もジョンベネちゃん殺害に関して話し続けていたのだという。

ボストンの友人とやっているポッドキャスティングの中で少し話をしたんだけど、メジャーリーグのワールドシリーズの語源について、僕も最近まで知らないことがあった。この国に住んでいる何百万人もの外国人と同じように、僕も最近まで「ワールドシリーズ」という名前が世界大会でもなんでもないのに、傲慢なアメリカ人の地理観によって名付けられたものだと信じ込んでいた。でも、野球の歴史が書かれた文献を最近読む機会があって、その時に分かったのが、今から約100年前のアメリカでは「World Series」ではなく、「World's Series」と呼ばれていた事実。その昔、ニューヨークでは「ニューヨーク・ワールド」というタブロイド紙が発行されていて、初期のワールドシリーズのスポンサーとなっていたのが、この新聞社だったのだ。つまり、「世界シリーズ」ではなく、「ワールド紙主催のシリーズ」という名前だったわけで、意外な発見に少し嬉しくなってしまいました。


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