いよいよ10月のジャパンコンベンションで、すごいチャンスが訪れる。ちなみに「10年に一度のチャンス」は、去年あったばかりだから、また今年もあるのはおかしな話だ。ともかく、今回も画期的な「スゴイ製品」が用意されている。
今回のキーワードはミトコンドリア。
細胞内のミトコンドリアは生命活動の基となり、次の特徴がある。
・ミトコンドリアは、食品(カロリー)をエネルギーの形に変換する細胞の発電機-ATP合成して細胞が使うエネルギーとなる
・ATPはすべての生物学的機能を持つ燃料
・加齢(老化)がミトコンドリアの数と効率を劇的に減少させる
・ミトコンドリアの機能低下が加齢に伴う活力損失の原因
簡単に言えば、ミトコンドリアを活発にすれば若々しさを取り戻せる。つまり細胞内の小さな発電機を正常に回してあげれば、ひとつひとつの細胞から構成される組織・臓器はしっかりと機能を取り戻し、結果として全身は元気になるというもの。特に、ミトコンドリアが豊富に存在する脳・心臓・筋肉3つの組織の活力を維持できる。きわめて順当な論法だ。間違っていない。
しかし今回の発表には(日本で10月に発表される)、落とし穴が二つある。
ひとつは、技術の内容と製品の直接的な関連が不明確なこと。「ミトコンドリアの正常な機能維持に関連する372個の遺伝子群を特定した」という発表は画期的なのかも知れないが、それらは「リセットが可能な成分を特定」しただけであって、372個の遺伝子に対して選択的に直接作用する成分あるいは方法が開発されたわけではない。遺伝子が特定されたとしても、新製品が特定して作用するわけではない。新しい製品は、従来からある成分をブレンドしたに過ぎないので、それならば同等もしくはそれ以上の製品がすでに市場にある。製品説明に使う論法が目新しいに過ぎない。
二つ目は、バイオフォトニックスキャナー(以下BPS)に関連する。新製品の内容(おそらく日本とアメリカでは成分と配合比が異なるであろう)は、従来からある抗酸化系の成分がメインとなるが、結果を証明するはずのBPSが効果的に活用できない。BPSは日本でも特許が成立(ただしニュースキンの特許ではない)し、特許庁からその内容が公表されている。それにはカロテノイドの検出が目的であると、特許のタイトルにも本文の明細書にも書いてある。栄養について勉強した人なら、抗酸化食品はカロテノイドだけではないことを知っているはずだ。
だから新製品を熱心に食べ続け、多少は体調が良くなったとしても、BPSの結果はそれほど上がらない事態が予想される。新製品は良くてもBPSはあらためて無用の長物と証明するようなものである。これは新製品が出て半年は経たないと、誰も気づく者はいない。
【補足】
カロテノイドの検出は日本で同じ原理により、みかんのおいしさをチェックする特許がBPSより一足先に別の団体が権利化している。ここで使われている約450nm~約520nmの波長域のレーザー光は、対象が生体か柑橘類なのかが違うだけで、カロテノイドを検出する原理はまったく同じである。
・柑橘類果実の非破壊味覚検査方法(特許第3102801号)