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冷温停止?事故収束?、冗談は顔だけにしてね野田首相

2011-12-18 01:25:59 | ニュース
野田ドジョウ首相は16日、東京電力の福島第一原発事故に関し「原子炉は冷温停止状態に達し、事故そのものが収束に至ったと確認された」と述べ、事故収束に向けた工程表の「ステップ2」が完了したと宣言したのである。
野田首相は更に「不安を与えて来た大きな要因が解消される」とコメントしたのだが、これは原発事故への対応の成果を国内外にアピールする狙いがあると見られるが、海外の反応はと言えば。

福島第一原発の原子炉が「冷温停止状態」になったと日本政府が宣言した事に付いて、国際原子力機関(IAEA)は16日、工程表の「ステップ2」を日本政府と東電が「計画通り年内に終えた」と評価した。
来日中のナイズ米国務副長官も「復興へのステップの一つ。非常に喜ばしい」と述べた。

一方、英BBCと米CNNは野田首相の会見を生中継する等、相次いで速報して関心の高さを示したが、海外メディアの多くは懐疑的な見方をしている。
AFP通信は冷温停止状態に付いて「安全が確保されたと言う意味では無い」と解説し、ルモンドは「原子炉の解体、環境の回復には相当の時間を要する」と長期的な取り組みの必要性を強調。

APは、「(旧ソ連の)チェルノブイリ事故以来で、最悪の原子力危機から3ヶ月を経て、大きな区切りになる」とした上で、「専門家は(福島第一)原発が尚、脆弱な状態にあり、廃炉には何十年も掛かるとしている」と伝えた。
ニューヨーク・タイムズも宣言に付いて「年末迄に冷却システムを回復させるとの日本政府の約束を反映させたに過ぎず、原子炉が依然として抱える危険から注意を逸らせる恐れがある」と指摘した。

福島第一原発事故を受けて脱原発を決めたドイツでは、DPA通信が「福島の原発の廃虚が制御された」と速報したが、「まだ安全な状態には程遠い。これで冷温停止を宣言するのは意図的な嘘と紙一重。日本政府は国民の判断を誤らせている」として、批判する専門家の意見も報じている。
海外メディアは「原発の安全が確保された訳では無い」等と宣言を疑問視し、厳しい見方をしている。

因みに今回の「冷温停止状態」は、政府と東電が福島第一原発の事故に合わせ、原子炉の安定を示す言葉として7月に定義したもので、圧力容器の温度が概ね100度以下で、放射性物質の追加放出を大幅に抑えた状態の事。
核燃料が圧力容器に閉じ込められ、水に浸かっている通常の原子炉で、容器内の水温が100度未満になり、燃料の核分裂反応が止まった状態を意味する本来の専門用語である「冷温停止」とは異なる。

つまり今回の「冷温停止状態」は、通常の「冷温停止」とは異なり、政治的なアピールをする為の単なる「言葉遊び」と言える。
国民新党の亀井静香に「出鱈目、班目委員長」と揶揄された原子力安全委員会の班目春樹委員長は、「原子力安全委員会として、使った事は無い言葉。冷温停止状態に付いて何か物を申す気は無い」と、メルトダウンした1~3号機に正常な原子炉の用語を使う事に強い抵抗を示している。

工程表では、冷温停止状態を圧力容器の底部の温度等を目安に定義したが、「意味が無い」と認めない専門家も多いと言う。
そもそも東電は、原発事故の現場を目視で確認しておらず、現在の原子炉の状態を把握していない為、推測でしか判断出来ない訳だ。
そんなだから、圧力容器や格納容器の状態も当然として判らず、核燃料は行方不明であり、冷温停止と言っても既に容器の中は空っぽなのかも知れない。

福島第一原発は暗澹冥濛なのに、野田首相は「冷温停止」更に「事故収束」迄も宣言したのは、正気の沙汰とは思えない。
野田首相は、自身の内閣支持率が釣瓶落としと言う事に焦っており、支持率アップを目論んで宣言を行ったのかも知れないが、拙速としか言い様が無い。
原発事故から約9ヶ月の月日が経っても事故処理は進まず原発は不安定なままで、放射能汚染による被害が広がっている事への懸念も判断力を鈍らせたのかも知れない。が、余りに拙速である。

野田首相が宣言した舌の根も乾かぬ17日、東電は1号機原子炉建屋にある使用済み燃料プールの代替冷却装置から、放射性物質を含まない二次系冷却水が約100リットル漏れたと発表した。
ポンプ近くの安全弁のハンドル位置がずれて開いたのが原因で、二次系冷却水の循環が約3時間停止したが、プール水温は13度から上昇しなかった模様。
この報告を受けて何を思う?・・・野田首相。
冗談は顔だけにしてね、野田首相(ハート)。では。

【ネッタイムス・東坊京門・作】