練金術勝手連

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※ 練金術(ねりきんじゅつ)とは『週刊金曜日』練馬読者会的やり方という意味です。

●五輪東京招致狂騒のこと

2013年09月10日 | みんなの日記
 2020年に東京で次期オリンピックが開催されることになったことについて、ネットであれこれ否定的・批判的な意見を表明すると袋叩きの憂き目にあいますよと警告してくれた人がいる。

 ご心配はありがたいが、私はこの「コクミン的」浮かれ騒ぎを無視しているだけである。つまり今の狂騒には乗らない。
1964年の東京五輪のとき、私は浪人生だった。予備校の庭から航空自衛隊が代々木の上空に煙で描いた五色の輪を眺めた記憶があるが、それ以外は大会前に都心のあちこちで土木工事があってやたらにやかましかったことしか印象に残っていない。
 物心がつく頃から、なんであれ、熱狂とか狂騒のたぐいは避けるようになった。そういうのはうっとうしいのである。

 今回の安倍首相の招致主導パフォーマンスはマスメディアと大衆の動員において大成功した。対中韓外交が自分の極右的な歴史認識と強硬な「領土」防衛発言によって袋小路におちいり、シリア攻撃を強行しそうなオバマ米大統領に対する卑屈な姿勢が批判され始めているなかで、ここ一番求心力アップの正面突破を図る作戦が効を奏したのである。

 それにしても、日本の「コクミン」はなぜこうやすやすと安倍政権の見え透いた手に乗ったのだろうか。
 昔日の「経済大国」の勢いはとっくに失われ、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は夢のまた夢、国際社会における地位低下はもはや覆いようもない……、一口に言えばそういう〈落日の寂寥感〉にとらわれ始めていたから「ここで一発、盛り上がってみたい」という心理が働いたのだろう。

 これは、アジアの「遅れた」劣等国の地位を脱して列強に伍する(肩を並べる)ことを国家の至上目標にした「明治期」の支配層に近似する発想である。

 安倍はロシアで開催されたG20を中座してブエノスアイレスに向かい、IOC総会で東電福島第1原発からの放射能汚染水漏出について「状況はコントロールされている。今までも、現在も、将来も問題ないと約束する」とぶち上げたが、マスメディアはこの明白な犯罪的デマを正面から批判しない。

 危なくなってきた。暗雲漂うとはまさにこういうことだ。
(井上澄夫)            ページトップ              にほんブログ村 地域生活(街) 東京ブログ 練馬区情報へ

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