『焼き場に立つ少年』は何処へ―ジョー・オダネル撮影『焼き場に立つ少年』調査報告 | |
吉岡 栄二郎 | |
長崎新聞社 |
初めてこの写真を見た時に心が千切れるような気持ちになった。
長崎に原爆が落とされ、背負っているまだ乳飲み子と思われる愛らしい少年の弟は眠っているかのようだが、弛緩した身体は既に絶命している。
彼を荼毘に臥すために沢山の死者を焼却している焼き場で少年は順番を待っている。
死亡者は夥しい人数であろうかと想像するに難くない。
いつから少年は順番を待っているのだろうか。弟をきちんと天に帰す為に彼は辛抱強く立ち順番を待ち続けている。
彼らの親はどこにいるのだろう。写真は悲しい事実を想像させる。親は動けない状態なのだろうか。それとも既にこの世に存在しないのか。
今朝のNHKでこの少年の身元を捜している男性の紹介があった。彼は85歳。少年と会話をしたという。少年も存命であれば同じくらいの年齢だろうか。
けれど少年の手がかりはなかなか見つからない。
このモノクロ写真をカラー写真にして被爆症に詳しい医師に見てもらった。少年の黒目の周りが灰色に変色しているという。
目から出血した跡らしい。
鼻にも詰め物がある。鼻からの出血を止血しながら立っているのだろうか。
症状から判断した医師は「おそらくは、1グレイ(1シーベルト=1000mmシーベルト)は被爆してるでしょう」と悲しげに答えた。
とんでもない線量を彼は被爆していた。そのときは生きられていても、後で白血病や癌を発症する可能性が高い。
子供は被爆の影響が強い。同じ線量を被爆しても老人の方がぴんぴんしてる。
でもグレイクラスの被爆ではあまり差がなさそうではあるけど。でもチェルノブイリの老人たちは汚染された茸を食して生活している。生きるために。
2011年3月11日以来耳慣れた単位シーベルト。
しかしそれはマイクロシーベルトではなかったか?かれはその何倍もの線量を被爆しているのだ。計算するのも恐ろしい線量を。
私の過去の書き込みには100mmシーベルト被爆すると癌を発症すると書いてあった。
少年が存命であることを望む。どんなに微かな希望であっても。そして生きてローマ法王と面会できますように願っている。
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