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南房総館山・なぎさの自然詩

南房総館山の自然や海での出来事を紹介しています。

館山湾のコチドリ 2024年観察記録その1

2024-04-18 21:27:36 | コチドリ

今年のコチドリの初見は2024/03/22でした。
この時は館山湾南側の海岸で3羽のコチドリを確認。
そして2024/04/05には館山湾北側の海岸で4羽、おそらく2組の夫婦と思われます。
その後館山湾南側の海岸でも2羽、1組の夫婦がいました。
今のところ4組のコチドリ夫婦が館山湾で子育てを始めようとしているようです。
館山湾で3月下旬頃から見られるコチドリは、遠くはフィリピン等の東南アジアで越冬し、繁殖の為にはるばる数千kmを渡って来るのです。
大きさはスズメ位の大きさですが、砂浜を歩くスピードがとても速くて驚きます。
体色は繁殖期特有の黄色いアイリングとおでこにある黒色、嘴から目を通る黒色模様があり、首にはぐるっと白色の筋があります。
目の後ろの羽毛が色が濃いのがオスで、淡い褐色がメスです。
上の写真のコチドリは目の後ろが淡い色なので、おそらくメスだと思います。
英名はLittle ringed plover、アイリングのある小さなチドリと言います。
和名であるコチドリの名の如く日本で最小のチドリです。
更に千葉県ではレッドリストのカテゴリーB重要保護生物に指定されています。


気温が上がり始めた2024/04/13には館山湾南側のコチドリが求愛行動していました。
オスが尾羽を広げ、その下にメスが潜り込んで頭を上下して、その後交尾をしていました。

2024/04/16は館山湾南側の別の海岸でも求愛行動し、この時はオスが体を膨らませてメスを追いかけていました。
オスが近づくとメスが逃げる素振りを見せて交尾を拒否しているようです。
その後砂浜に移動して、2羽で穴を掘る行動をしていたので不思議に思っていました。

そして砂丘の植生を見ていたら、コチドリが作ったと思われる小さなくぼみがたくさんあり、それを見ていたらなんと偶然に卵を見つけました。
ウズラ卵位の卵が4個あり、その卵の下には小さな貝殻の欠片が綺麗に敷き詰めてありました。
既に卵を産んだ後だったので交尾をしなかったのだと納得出来ました。
2024/04/16に見つけた卵はいつ産んだのか分かりませんが、産卵後約3週間で孵化するので、ヒナが見られるのは早くて2024/05/07です。
捕食等されずに無事にヒナが孵化してほしいと願っています。
コチドリの生態について少し触れますと、孵化した後のヒナは直ぐに歩き始め、自分で餌を探し食べ始めます。
コチドリは樹上で営巣する鳥と違い、親がヒナに餌を運び与えることをしないのです。
ヒナが採餌中に親鳥は側にいて、常に周りを警戒し、外敵の危険があれば鳴き声で知らせます。
孵化したヒナが飛べるようになるまで約3週間かかるので、どのように危険を回避するかというと、その場でジッとして動かなくなるのです。
海岸で特殊な子育てをするコチドリですが、様々なハプニングがあります。
観察を始めて今年で4年目になりましたが、毎年無事にヒナが成長することはあまりなく、今年は何が起こるのか不安に思うこともあります。
今年こそは生まれた4羽のヒナ達が全て成長し、無事に巣立つ姿を見られたら嬉しいです。

















館山湾の春を告げるコチドリ

2024-03-23 20:52:57 | コチドリ

春の南房総は例年だと南西風が強く吹く事が多いのですが、今年はそれに加えて北風が強く吹く日も多くて、海岸へ行く事が少なくなっています。
3月になると、いつ頃海岸にコチドリがやって来るのか気になり始め、頻繁に海岸へ通ってコチドリを探しているのです。
今年は強風の為になかなか海岸へ出られず、3月に海岸へ行ったのは限られた日数だけです。
昨日(2024年3月22日)も午前中に北風が強く吹いていた館山湾でしたが、午後から風が収まり始めました。
早速海岸へ行くとまだ風が強かったのですが、砂浜を歩くコチドリがいました。
館山湾内のこの海岸では今季始めて見たコチドリです。
しばらく観察していると小川へ移動して餌を探すように、チョコチョコ歩いていました。


そしてもう1羽、磯で採餌していたコチドリです。


更にもう1羽、砂浜の漂着物のそばで片脚をしまい休憩中のコチドリです。
この海岸には全部で3羽のコチドリがいて、それぞれが自分のペースで過ごしていました。
毎年3月になると海岸へやって来て子育てをし、10月頃になると別の場所へ移動して行きます。
卵やヒナが捕食される事の頻度が高く、いろいろと問題があるのですが、今年も無事に子育て出来るか見守りたいと思っています。


コチドリを観察しているとカモメ類が騒がしく飛び交っていたので、よく見てみるとカンムリカイツブリの群れが魚の群れを追いかけて移動していました。
その上をユリカモメやウミネコが飛び回り、更にアオサギも近くの磯へ降りてきたようでした。


すっかり夏羽へ変化していたカンムリカイツブリへ近づくユリカモメ。


いつも漁港で見かけるアオサギも、騒ぎを見つけて飛んできました。
魚を捕まえようと何度も潜っているカンムリカイツブリと、それをジッと見ているアオサギ。
魚の群れを追いかけてカンムリカイツブリが別の場所へ移動して行くと、カモメ類はそのあとを付いて行き、海岸は静かになりました。
結局魚にありつけなかったアオサギが1羽、磯で佇んでいました。


鳥達の活動を見た後、ビーチコーミングをしながら歩いているとたくさんのクラゲが打ち上げられていました。

透明で丸いゼリー状でかなりの弾力がありそうです。
これはミズクラゲで、このクラゲはほとんど毒が無く、刺されても痒みを感じる程度だそうです。
触っても大丈夫なのですが、アンドンクラゲの痛みを想像してしまうので、怖くて触れません。
ここ最近ミズクラゲが大量発生していると聞きましたが、冬にもクラゲが多い事に驚きました。


木の実の様な不思議な物もありました。
海岸には貝殻はほとんど無く、木の葉や枝、海藻類の漂着物ばかりが目立っていました。
ビーチコーミングしていても、去年の冬からずっと新しい貝殻の打ち上げが極端に少なかったのです。
そんなとき、今年は海水温が高いと漁師さんが仰っていたのを聞き、海水温が高ければ、寒い冬を生き延びる貝達も多かったのだと想像できます。
暖かな海中では、たくさんの貝が元気に過ごしているのかもしれません。


先日から砂浜へ出てきてしまっていた、以前解剖し調査して埋葬されたウミガメの甲羅の上にはカメフジツボが見えていました。
ウミガメにしか付着しない珍しいフジツボです。
白い三角形の殻が6枚重なった様な形が綺麗に残されていました。

2024年3月22日が今年のコチドリの初見日となりました。
館山湾にこれから約半年間滞在して、繁殖活動をする小さなチドリ。
小さな体からは想像できないくらい勇敢な鳥です。
春になってコチドリが海岸へやって来ると、他の動物達が卵やヒナを捕食しようと狙っています。
一例として、カラスに向かってコチドリが飛んでいくのを度々見ているので、親鳥としての本能がそうさせているのだと思います。
コチドリが春を告げて春本番の館山湾ですが、今年は気温が低く、なかなか暖かくならない南房総です。







館山湾のコチドリ 2023年の観察記録

2023-09-23 19:38:12 | コチドリ

春になると繁殖の為に館山湾へやって来るコチドリ。
毎年3月頃に海岸で見かけるようになります。
2023年3月29日撮影。


コチドリオスの求愛行動です。
嘴で地面を突いた後で尾羽根をパッと広げて、メスにアピール中。
2023年5月30日撮影。

無事にペアとなったコチドリが交尾をしていました。
2023年4月29日撮影。


砂浜で抱卵中のコチドリ。
砂丘の奥にある植生に巣作りしました。
巣と言っても砂浜に凹みを作って白い貝殻を敷き詰めたシンプルな感じで、2〜4個の卵を産みます。
卵や孵化したヒナをカラスやトビに狙われるので、それらが近づくと親鳥はその場から離れ、擬傷行為をして守ります。
2023年6月10日撮影。

大潮の海岸でのコチドリの親子。
手前が幼鳥です。
幼鳥はまだ飛べない様子で、メスが近くで見守っていました。
この時見た幼鳥は一羽だったので、他の幼鳥は捕食されてしまったのか、何かトラブルがあったのだと思います。
2023年7月18日撮影。


熱い砂浜で小さなヒナを一羽連れたコチドリ夫婦がいました。
卵やヒナが捕食されてしまい、再度産卵したために孵化がこの時期にずれ込んでしまったようです。
2023年7月27日撮影。


小さかったヒナが成長した姿。
よく見ると脚には水かきのようなものが見えました。
親鳥の脚には水かきは無いので、ヒナの時だけあるようです。
2023年8月12日撮影。


海岸で子育て中のコチドリが警戒して近づいて来ました。
7/27の時には親鳥二羽でヒナを守っていましたが、8/1以降親鳥は一羽だけ。
何があったのでしょうか。
2023年8月5日撮影。


メダイチドリと一緒のコチドリの若鳥。
好奇心旺盛なメダイチドリがコチドリの方へやって来ましたが、コチドリは羽繕いに忙しそうです。
2023年8月22日撮影。


大潮の磯にいたコチドリの若鳥。
別の若鳥がもう一羽いて、興味津々で近づいて来ました。
2023年8月31日撮影。

今年の館山湾では二組のコチドリ夫婦の繁殖を観察していました。
6/10に砂浜の植生に巣を見つけ卵を4個確認しましたが、6/19に同じ場所でコチドリが抱卵しておらず、卵が無くなっていたので捕食されてしまったようです。
同日同じ海岸で交尾行動を見ましたが、卵が無くなると直ぐに次の準備を始めるコチドリの逞しさに驚きました。
野生動物の本能を目の当たりにして悲しく切ない感情と、小さな体のコチドリを応援したくなるような複雑な気持ちになります。
二組のコチドリ夫婦の観察は夏の間は頻繁に出来ませんでしたが、どちらも無事に成長したヒナは一羽だけでした。









アオイガイとコチドリ

2022-09-06 20:06:48 | コチドリ
今日海岸に漂着していたアオイガイです。
アオイガイ(葵貝)の和名の由来は、2個を左右対称に重ねた形が葵の葉に似ているからだそうです。


空が青くてアオイガイの白がとてもよく映えます。



ビーチコーミングで見つけたサンゴ2つと貝殻です。



更に堤防の上で休憩するイソシギの姿もありました。



この堤防がお気に入りのようで、再び座っているのを見かけ、正面からの姿はとても可愛いです。
たびたび座っていたので、脚に怪我をしているのかと心配になりましたが、ちゃんと二本脚で歩いていたので、安心しました。



そして磯にいたコチドリです。
今日はいつもより空気が澄み、後ろには三浦半島が見えています。


このコチドリは親子のようで3羽を確認する事が出来ました。
黄色いアイリングが薄くなって、冬羽に近づいているみたいです。



そして一緒にいた幼鳥。
一週間くらい前に同じ個体を見ていたのですが、その時は1羽だけでしかも初見だったのでメダイチドリの幼鳥かと思っていました。
しかし今日は親鳥と一緒にいたので、コチドリの幼鳥だと確信する事が出来ました。
体色にまだ幼さが残るけれど、親鳥と同じくらいに成長し、今年の子育ては終わりのようです。
間もなく南房総の海岸から居なくなるのかと思うと少し寂しい気がします。
来年の春までお別れですが、また戻ってきて再び出会えるように願っています。

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よろしくお願いしたします。




コチドリ二度目の抱卵

2022-07-02 21:55:20 | コチドリ


気温が下がり始めた午後の海岸へ行くと、コチドリの姿がありました。
河口ではカルガモやカワラヒワ等たくさんの鳥たちが集まり、思い思いに過ごしている様子でした。


コチドリは岩場や砂浜で食べ物を求めて素早く歩いたりして、しばらく観察していると座り込み、どうやら抱卵しているようでした。



コチドリがその場を離れた隙に、卵を3個産んであるのを確認しました。
貝殻や流木などに紛れ込むようにして、卵を目立たないようにしている感じです。
今回の巣も河口近くにあり、そこへやって来る鳥たちの中で特にカラスを警戒していました。
1度目のように卵が全て無くならずに、2度目の卵が無事に孵化し、元気に動き回るヒナを心待ちにしています。


コチドリを観察しながら、海水に足を浸すとひんやり冷たくて快適です。



午後の海岸は堤防で釣りをする人がいましたが、ほとんど人気も無く静かでした。


クチグロキヌタとウチムラサキ。



カニの甲羅。



小さなヒマワリに似た姿のネコノシタの花畑。