銀河夜想曲   ~Fantastic Ballades~

月が蒼く囁くと、人はいつしか海に浮かぶ舟に揺られ、
そして彼方、海原ワインのコルクに触れるを夢見、また、眠りにつく……

思い出

2012年02月22日 00時49分14秒 | 散文(覚書)
窓辺を海に見立てると

夢は舟になり

白い雲を連れてくる

そうしてわたしは

白雲に

幾多の幻影を預けてみる



駆け抜けた青春

寂れた夢

芳しい母の横頬

石塊

嘆き……

そうだ

無粋な隣人もいたが

あどけない笑顔も星のようにあった



けれど

引き出せる記憶は限りがあるようだ



手に届かなくなってしまった思い出よ

お前たちは今

どこにいる









思い出は

あなたの周りに確かにある

あなたの頭上に

肩向こうに

その唇の先に



謙虚でいるあなたの傍らに

思い出は

そっと息づいている

生まれてきたあなたを

安らぎ見守ってくれた人たちのように



木の葉を透かす木洩れ日は



あなたの手の中を通り抜けようとして

芳情なその手の中にある