銀河夜想曲   ~Fantastic Ballades~

月が蒼く囁くと、人はいつしか海に浮かぶ舟に揺られ、
そして彼方、海原ワインのコルクに触れるを夢見、また、眠りにつく……

ラロ ピアノ三重奏曲

2007年06月20日 02時54分24秒 | クラシック音楽
ラロというと専ら “ スペイン交響曲(ヴァイオリン協奏曲第2番) ” で有名だが、全3曲あるピアノ三重奏曲は先曲程のインパクトはないにせよ意外と粒揃いで、演奏会やCDでもう少し取り上げられても良いと思われる。必ずしも傑作であるとは言い難いのだが、室内楽作品を愛好する人が耳にしたら生演奏に触れてみたいという気にもなるだろう。
各作品は、

第1番 ハ短調 作品7
第2番 ロ短調 作品番号なし
第3番 イ短調 作品26

と、いずれもが短調であり、且つ4楽章構成になっている。
また、第1番と第2番が1850年頃に作曲されたのに対して、第3番は30年程経た1880年に完成されている。
第2番に作品番号が与えられていない理由は不明。

聴いていて特に感情を揺すぶられるのが、第1番の第1楽章。言葉にならない胸の痞(つか)え、人知れず胸の内で抗いながらも、結局は消し去る事のできぬ過ちの残像…。そうしたものが時折ふと姿を現す日常の中の自然と綾を成し、それが何ら作為なく生きていく人の絵姿となって浮かんでは消える。終盤に近付くにつれて想いの丈は声高に撒かれてゆき、その憤りとも悲愴ともつかない渦は最後の最後で噴出する。

トップ画像のディスクで演奏しているパルナッスス・トリオ(Trio Parnassus)は扇情的な演奏を主体としていないながらも、一貫して好感の持てるアプローチで以って作品を描いている。

尚、第3番の第2楽章を改作した管弦楽曲に、“ スケルツォ ” がある。