銀河夜想曲   ~Fantastic Ballades~

月が蒼く囁くと、人はいつしか海に浮かぶ舟に揺られ、
そして彼方、海原ワインのコルクに触れるを夢見、また、眠りにつく……

灰谷健次郎の死

2006年11月23日 23時53分55秒 | 絵本・童話・児童文学
今日午前4時30分、作家の灰谷健次郎氏が亡くなった。とても寂しく思う。

僕は彼の作品の全てには接していないが、しかしどの書籍を読み終えてもしばらくはじんわりした読後感に浸らせてもらえたので、現代の作家の中では非常に貴重な存在だと強く受け止めていた。

“ 兎の眼 ” という一等有名な作品があるが、主人公の女性教師の心境と保育園で働く僕のそれが重なって映り、どれだけ励まされただろう。
また、昭和53~54年入学の小学1年生が書いた詩を編纂した書籍 “ 一年一組 せんせい あのね ” には、子供の感性とその鋭さ・柔らかさに驚くと同時に、灰谷健次郎氏の子供と大人双方に対する想いがストレートに伝わってきて、何度この本を読み返しただろうか。

1997年に神戸連続児童殺傷事件が起きた際、新潮社の雑誌・フォーカスが当時中学3年生の加害少年の写真を公開した。これに対し灰谷健次郎氏は「加害少年も保護されるべき存在」であるとして、フォーカス関連記事について抗議のため執筆拒否を宣言し、同時に自身の全ての著作版権を引き揚げたとの事。--こうした行動を起こせる人物はなかなかいない。

72歳での逝去は、彼としてはまだ早かったように思う。非常に残念だ。できる事なら、子供についての四方山話をしてみたかった。

“ 一年一組 せんせい あのね ”の中で、特別に好きな詩がある。ここにそれを転載して、哀悼の意としたい。



かみさま
         やました みちこ

かみさまはうれしいことも
かなしいこともみなみています
このよのなか
みんないいひとばっかりやったら
かみさまもあきてくるんとちがうかな
かみさまが
かしこいひともあほなひともつくるのは
たいくつするからです




りんご
         たけつぐ けんじ

りんごのあじは
あかちゃんが
あそんでるときのによいだよ